第三回放送~小さな少女の大きな決意~  ◆CgCz1GHD8o



飛行船のとある一室。
そこにイリヤスフィール・フォン・アインツベルンは眠っていた。

少女は夢を見ていた。
自分のサーヴァントであるバーサーカーが沢山の相手と戦っている夢を。
幾多の敵と戦う夢を。
だけど、バーサーカーはやられてしまい、少女の体に刻まれてる令呪がドクンと疼いた。
そして最後。
バーサーカーの死ぬ瞬間に少女はこう声をかける。

「バーサーカーは強いね」

あの、故郷の森でかけたのと同じ言葉を。
少女の誇りである、最強の英霊――バーサーカーに。

――最後まで私の為にありがとう

★★★★★★★★

「んっ……」

夢から覚めたイリヤは自分の体の異変に気付く。

(これは……。そう、やっぱりあの夢はそうだったのね、バーサーカー……)

先ほどまで見ていた夢の内容を思い出し、イリヤは顔を伏せる。

 (ううん、悲しいけどしっかりしなくちゃ。まだシロウは生きてるんだから)

そう思い頭を上げたイリヤの目には決意の炎にが宿っていた。
そして部屋の中にある、あるものを手に取る。

「サキ、そっちは大丈夫?」

手の中にある物。
通信機に私は話しかける。

『うん。何とか大丈夫だよ』

答えてくれたのは私と同じく囚われているサキ。
サキはこの飛行船に居るノドカのっていう女の子の友達でその人質らしい。
私が連れてこられた理由とは違うものだ。
だって、私が連れてこられた理由はこの大規模な聖杯戦争の為だから。
そしてこの飛行船の核が聖杯であり、サーヴァント以外の魂は全てそっちに入っている。
 そこまでして叶えたい願いは何かっていうのは知らないけど、確かな事が一つだけある。
それは――絶対阻止する事。
これを考えた奴らはきっとろくなことに使わない。
だから私が止めないと。
シロウの為にも――。

『イリヤちゃん、そっちはどうだった?』

「安心して、こっちも大丈夫だったわ……ケホッ」

そう言って、さっきの事を思い出す。

★★★★★★★★

私の部屋に投げ込まれた一個の通信機。
それからしばらくして聞こえてきたサキの声。
誰がくれたかは分からないけど、私たちは自分と似たような境遇だったので直ぐに打ち解けれた。
そして、出てきた話題。
このふざけたゲームをぶち壊すという事。
そんなとき、咲に麻雀の話が来た。
そこで考え付いたある計画。
それは――放送を私たちが操るという計画。
そして、私の所に昼食を持ってきた黒服に対して、それを行う。
そう、麻雀で遠藤が死ねば代わりの放送を行う者が必要になるはずだ。
だから私が自分の魔眼をかけたのにそれをやって貰う。
そうすれば少しだけだが放送を操れる。
魔眼をかけるのには成功し、あとは放送を待つのみという状況になったわけだ。

★★★★★★★★

『イリヤちゃん、咳大丈夫?』

「えぇ、平気よ」

これは嘘。
咲には私の聖杯に関する事だけは伝えていない。
余計な心配をかけたくなかったからだ。
流石に4体もの魂が入ると辛くなってくるけど、私はしっかりと意識を保つ。
頭の中にお兄ちゃんの姿を浮かべて――。

★★★★★★★★

その頃の放送室では今まさに放送が行われようとしていた。

『ゲーム開始より18時間が経過しました。
 第三回の定時放送を行いたいと思います
 今回も言いますが、くれぐれも聞き逃さないよう注意してください。

 ……………………。

よろしいでしょうか? では連絡事項です
先ほどの放送で伝えた電車の事ですが、【B-4】駅~【C-6】駅間 【F-5】駅~【D-2】駅間の電車の復旧が完了しました。ただし【C-6】~【F-5】の区間に関しては他の交通手段を使ってください。

 次に今までと同じく禁止エリアの発表に移ります。
 第一回、二回と同じく三時間後の午後七時より禁止エリアが三つ増加します。

 では、今回の禁止エリアを発表します。今回の禁止エリアは【】【】【】の三つです。

 では、第二回放送からこの第三回放送までの死亡者の発表に移りたいと思います。

トレーズ・クシュリナーダ
 【伊藤開司
 【明智光秀
 【神原駿河
 【アーチャー
 【ヴァン
 【海原光貴
伊達政宗
張五飛
平沢唯
【バーサーカ-】

以上の11名が今回の死亡者になります。これで残りの人数は26名になりました。それでは、今回の放送はこれで終わりとなります』

『おっと……。まだ終わりじゃないぞ。俺が残っている……。
 とはいってもだ。今回は特に連絡事項などは無い。また何かあると思ったか? そうそうルールを追加することは無い。さて、諸君。この闇が辺りを覆い尽くしていくこの時間色々な事があっただろう。大事な人を失った者などもいるだろうな。だから俺はあえて言おう。諸君らは殺し合うしかないという事を……』

カチッ

そんな音が会場に一瞬だけ響き、放送が止まる。

カチッ

再度、その音が会場に響く。

『……な! 以上で俺からの放送は終わる。また6時間後に』

★★★★★★★★

放送室では騒ぎが起きていた。
発覚した織田信長の首輪に、謎の女。
そして突然止まった放送。
カセット担当していた黒服はなんも押してないという。
そんな空気など、お構いなしに舞台は次のステージへと移っていく。

★★★★★★★★

シロウ、私も頑張ってるから。
だからシロウも絶対に死んじゃ駄目だよ。
ううん、絶対死なせないから。

私はシロウの――お姉ちゃんなんだから。


第三回定時放送終了(ゲーム開始十八時間経過)@残り27名】

【イリヤスフィール・フォン・アインツベルン@Fate/stay night】
[状態]:疲労(中)
[服装]:
[道具];通信機
[思考]:
基本:帝愛の元からの脱出
1:咲と協力してゲームを内側から壊す
2:この部屋からの脱出を図る
3:お兄ちゃんに会いたい。
[備考]
  • 飛行船のどこかの部屋に閉じ込められています
  • 部屋の中には放送が流れます
  • 黒服の一人に魅了の魔眼をかけました。放送後の効き具合は後続の書き手に任せます。



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最終更新:2010年03月28日 23:41