第四回定時放送 ~十二時(リミット)~ ◆SDn0xX3QT2



太陽が沈んだ頃から、空模様は不安定だった。
月はその光を惜しみなく地上へ降らせていたかと思えば、厚い雲に覆われ姿を隠す。そんなことを繰り返していた。

雨が降ることこそなかったが、それもこの先はわからない。
月明かりは頼れるものではなくなりつつある。
そして―――


一日が終わり新たな一日が始まったその瞬間、ヒトが作りだした灯りはあっけなく、島の中から消え失せた。


   ◇  ◇  ◇


『こんばんは、インデックスです。
 バトルロワイアル開始より二十四時間が経過しました。四回目の定時放送を開始します。
 内容の問い合わせには応じられませんので、お聞きのがし無きようにご注意ください。

 ……
 …………
 ………………

 よろしいでしょうか。それでは連絡事項を伝えます。


 現在、島内全域で停電となっております。
 島内の電力システムに不具合が発生した為、修復のために電力供給をストップ致しました。
 復旧は六時間後、午前六時の予定です。

 この停電によって、島内の首輪換金ボックスならびに無人販売機は使用不可能となっております。
 施設サービスはご利用が可能です。

 また、列車は電力システムが別となっているため通常通り運行中です。
 線路の一部が禁止エリア内を走っていますが、車内は禁止エリアとはなりませんのでご安心ください。


 続いて、禁止エリアの発表です。
 三時間後の午前三時以降、【A-4】【D-4】【F-7】の三ヶ所が新たに立ち入り禁止エリアとなります。


 次に、第三回定時放送から現在までに死亡が確認された参加者を発表させて頂きます。


 以上四名です。


 私からの連絡事項は以上です』

『こんばんは、諸君。遠藤だ。
 突然の停電に驚いた者も多いだろう‥‥‥

 だが、夜とは本来こういうもの‥‥!
 暗いからこそ夜‥‥ この闇こそが、正しい夜の姿っ‥‥‥!

 夜は眠り身体を休める‥‥それもいいだろう‥‥‥
 闇に紛れ行動する‥‥それもいいだろう‥‥‥


 ‥‥
 ‥‥‥‥
 ‥‥‥‥‥‥


 ‥‥俺が何かいい情報でも喋ると思って待っているのか‥‥?

 だとすれば、それは大間違い‥‥!
 ‥‥愚か‥‥ あまりにも、愚かっ‥‥‥!!

 自分で考え、自分で動き、自分で確かめ、自分で決める‥‥ それが出来ない者は、生きていないも同然っ‥‥‥!


 さあ‥‥ 今から六時間後‥‥
 午前六時の次の放送の時に、果たして何人が生き残っているかな‥‥?

 諸君らの健闘を祈るっ‥‥‥!!』



   ◇  ◇  ◇


放送が終わった島の中に光は無く、だが、バトルロワイアルの会場のすべての場所から光が失われたわけではない。

たった一ヶ所の例外。
会場の中でありながら、島の中ではない場所――――ギャンブル船。


闇の中でその船だけが、人工の光に溢れていた。



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最終更新:2010年07月29日 22:41