オープニング――開幕――  ◆WWhm8QVzK6






「さて、これから君たちには殺し合いをしてもらう」


想定外の言葉だった。
まともな神経の持ち主なら誰だってそう思うだろう。
この場で発するにしてはそれほどに馬鹿げていて、滑稽なものだった。

「ま、待てよ!いきなり何言ってやがる!」

そう叫んだのは一人の少年だ。
容貌と発した言葉からしておそらく日本人か。黒髪のツンツン頭が印象的だ。

「理解できなかったか?その程度の脳味噌の持ち主は此処にはいない筈だが……」

少年の言葉を適当に流して言葉を続ける。
もとより誰の相手もする気はないようだ。
だが、それで収まる少年ではない。

「ふざけ……――?」

では、なかったのだが。

体が動かない。
それは彼の周りにいた者達にも当てはまった。
皆、必死に体を動かそうともがいているのだが、誰一人として指一本すら動かなかった。
意識はあるようだが、各々の体勢のまま停止している。
一体どういう仕組みか。いや、理解したところで何も出来ない。

「私に何か言いたい者も幾人かいるようだが一々取り合っていてはキリがないのでね。
 私の話が終わるまでおとなしくしていてくれ」

ここまで異常な事態を誰が経験しただろうか。
目が覚めたと思ったらいつの間にか見知らぬ場所にいて。
同じように集められたたくさんの人がいて。
そして、目の前には、殺し合いをしろとのたまう男がいる。

格好からして神父だと思われる男はニヤリと口端を歪めると、説明に入りだした。

「君たちは今からとある場所で、最後の一人になるまで殺し合いをしてもらう。
 拒否権はない。生き残るには、自分以外の全員を排除せねばならない」

男が言ったルールをまとめると大体こんな感じだ。
  • 殺し合いは此処ではない別の会場で行われ、0:00ジャストに開始される。
  • 殺し合いに必要な武器は行動において必要な物と一緒に各自に配られる。
  • 開始から6時間毎に放送が行われ、そこで死亡者と禁止エリアを発表する。
  • 細かいルールは配られるルールブックに書いてある。
しかし、説明はこれだけではなかった。

「さて、ここで重要な事が二つある。それは禁止エリアと首輪についてだ」

声色を強めて、男は言い放つ。

「先程も言った禁止エリア。此処に立ち入ると首輪にあるセンサーが反応し、爆発する。
 死にたくなければ放送を聴き、注意することだ。そしてこの首輪。これが爆発すれば
 誰であろうと死ぬ。例外はない。喩えそれが人外であろうとな」

以上だ。と、男が言葉を切ると見えない拘束が解放された。
但し、首から上だけだが。

「さて、何か質問はあるかな?」

質問はない。

「言峰!お前――」

衛宮士郎。お前が何か訊くことがあるのか?」

「あるさ、……なんでお前が生きてるんだ!!」

何人かが一斉にその少年に注目した。
あくまでも少年の言葉に驚いたからなのだが。
だがそれすらも、神父にとってはつまらないものだったようで、

「その質問に何の意味がある。この場では何の意味もないというのに。
 それに、この場こそ貴様が最も望んでいたものではなかったか?」

「な……」

それ以上言峰は続けなかった。
いつかの再現をするつもりはないらしい。

「そろそろ時間か。……その前に一つやっておかねばなるまい」

「ハッ、何をするつもりかは知らねえが……俺は今動けてるぜ」

オレンジ色の髪の青年が走り出した。どのように拘束を解いたのか、手には禍々しい得物を持ち、言峰に接近する。
そして武器を投げようとするが、言峰は全く避ける素振りすら見せない。

「ルキアーノ・ブラッドリー、君に一つ質問だ。どうして君だけが動けるか解るか?」

「ハ…そんなもん――ッ!?」

振りかぶる直前、気付いた。どうして自分だけの拘束が解けたのか。
どうしてあの神父は、武器を目の前にして避けようともしないのか。

「君の投擲より私の指の一押しの方が早いだろうな」

瞬間。ボン、という火薬音と共に青年の首が爆ぜた。
鮮血が吹き出す。焦げた肉片が飛び散る。辺りからは悲鳴が沸き起こる。
あまりにも、一瞬の出来事だった。

「やっておきたかったというのはこういうことだ。爆弾はダミーではない。淡い期待は、持たないことだな」

静寂が訪れる。もはや、誰も口を開かない。

「それでは最後に。生き残った者にはどんな願いでも叶えよう。死者の復活、記憶の再生、通常不可能なことでも構わない。
 精々最後まで生き残るがいい。それではこれより、ゲームを開始する」

その言葉と同時に、周りにいた者たちは音も無く消えた。
物音一つしない。そうして、誰もいなくなったかと思われた其処には。

「成程…上条当麻、君には効かないんだったな」

「……ッ」

「どうした、何か言いたいことでもあるのか?」

「お前…何でこんなことをするんだ!今すぐ止めろ!」

「止めるつもりはないな。それに私では止められん」

「何……?」

「私は、あくまでも監督役だからな。協力者であるが故に、このゲームをどうこうする権限はないのだよ」

「人の命を弄ぶなんてそんなのはゲームじゃねえ!こんな下らねえ殺し合いは俺が止めてやる!」

「少し静かにしていたまえ」

「!!」

一瞬で、後ろに回られた。それは純粋にこの男の技術によるものだと上条は分からない。
分からないまま、後ろを振り返り拳を突き出そうとして、

そこで彼の意識は途絶えた。


「さて、何処に運ぶか……」

今すぐ放り込んでもここから近場になってしまうだろうが、どの道この施設は使わない。
ゲーム開始まであと2分。それまでに放置すればいいのだ。
そうして言峰に担がれた少年は、共に闇の中に消えていった。






【ルキアーノ・ブラッドリー@コードギアス 反逆のルルーシュR2  死亡】
【残り六十四人】


オープニング登場キャラ
【上条当麻@とある魔術の禁書目録】
【衛宮士郎@Fate/stay night】


監督役【言峰綺礼@Fate/stay night】

主催者:不明



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最終更新:2009年10月22日 15:27