9話 柏木寛子の憂鬱
「ああ、寒い……」
I-10エリアにある灯台の最上部、巨大な回転灯が設置された部屋で、
茶色の長い髪を持った少女、柏木寛子は震えていた。
外のベランダ部分へ繋がる入口から海から吹く潮風が入り込む。
寛子は現在、くたびれたカッターシャツと丈の短いスカート、首輪のみを
身に着けている。下着や靴は無い。
「何で……もう嫌だ、私の人生こんなのばっかり。もう死にたい」
柏木寛子は少し前までは、ある富豪家の令嬢だった。
優しい両親の元、不自由無く暮らし、彼女も優しく、誠実な少女に育った。
だが幸せな生活はある日突然一変する。父親の突然の事故死。
そしてそこから追い打ちを掛けるように、莫大な借金が彼女と母親に圧し掛かった。
しかし、父親の会社、家財道具、果ては家までも売りに出したと言うのに、
それでも借金は完済には至らなかった。
そして、ついに借金取りは最後の手段に出る。
寛子と母親の二人を、性奴隷販売を専門とする非合法地下組織に売却したのだ。
寛子は母親と離れ離れになり、稲葉憲悦と言う灰色の人狼から、
性奴隷になるための徹底的な調教を受ける事になった。
着る物もロクに与えられず、鎖に繋がれ、あっさり純潔も奪われた。
毎日、就寝時間と食事の時間以外は憲悦や助手と思われる獣達によって、
寛子は蹂躙され、奉仕を強要された。
最初は抵抗を見せていた彼女も、次第に身体が快感に順応して行き、
いつしか自分から行為を要求するようになってしまっていた。
「
殺し合いかぁ……あの薄暗い部屋で毎日やられるよりは……。
いや、どっちもどっちだね……」
突然、何の前触れも無く始まったこの殺し合い。
首には爆発する仕組みの首輪がはめられている。
寛子は半ば自分の人生に諦念を抱いていた。これから先生きていても、
自分は性奴隷に調教され、売り物になり、どこかへ売り飛ばされ、
一生を慰み者として生きていくだけだろう。
なら、いっその事、ここで殺されてしまうか、自分で命を断ってしまう方が良いのでは?
寛子の思考はネガティブになるばかりである。
「でも……死にたくないよ、やっぱり」
だが、やはり生への執着はあった。
簡単に自分の命が断てる程彼女は思い切りは良く無い。
一方で生きる事への未練も死への恐怖も当然あった。
「そう言えば、支給品って……」
支給品が入った黒いデイパックの事を思い出し、寛子は傍に置かれていたそれを手に取り漁る。
名簿が出てきたので、広げて羅列されてる名前に目を通す。
その中の一つを見付けた瞬間、寛子の目が一際大きく見開かれた。
稲葉憲悦――忘れもしない、自分を調教し、淫らな身体に改造した人狼の名前が載っていた。
「あいつもこの殺し合いにいるのか……」
憎んでいない訳では無い、殺したいと思わ無い訳でも無い。
だが、例え憎しみのままに憲悦を殺したとしても、その先に何が残るのか。
いや、何も残らないだろう。
もう二度と自分は昔の生活には戻れない。
優しかった両親も、もう戻って来ない。
それが十分分かっているだけに、何ともやりきれない思いで寛子は一杯になった。
憲悦の事は一先ず置いておき、この殺し合いにおいて自分はどう行動するかを考える。
デイパックには名簿や地図、食糧品等の他、古めかしいデザインの大型自動拳銃と、
予備弾丸と思われる金具に纏められた弾薬が入っていた。
説明書によれば、自動拳銃は「マウザーC96」。7.63㎜×25弾を使用する、
かなり昔の自動拳銃。弾薬の補充、装填は予備弾を纏めている金具――クリップを
使って行う、と説明書には書かれている。
当たりの部類に入る支給品ではあるが、寛子は銃を扱った事など無い。
ましてやかなりの重量のあるC96は、元来女性が扱うのには向いていない。
しかし、構えるだけでも威嚇にはなるだろう。寛子はC96を装備した。
「……しばらく、ここにいよう……」
無理して出歩く必要は無い、ここが安全ならば、出来るだけ動かない方が良い。
そう判断した寛子は、当分の間灯台に身を潜める事にした。
【一日目/朝方/I-10灯台最上部】
【柏木寛子@オリキャラ・新規組】
[状態]健康
[装備]マウザーC96(10/10)
[所持品]基本支給品一式、7.63㎜×25弾(クリップに10発単位で纏められている、3個)
[思考・行動]
基本:死にたくない。出来るだけ灯台から動かない。
1:稲葉憲悦は取り敢えず放置。遭遇したらその場その場で対応。
2:襲われたら……。
[備考]
※特に無し。
≪支給品紹介≫
【マウザーC96】
マウザーM1896とも呼ばれる、
ドイツのマウザー社が1896年に発売を開始した大型自動拳銃。
別名「マウザー(モーゼル)ミリタリー」「ブルームハンドル」。
本来はストックを兼ねたホルスターが標準装備されているが、本ロワでは
銃本体及び予備弾のみの支給となっている。
≪オリキャラ紹介≫
【名前】柏木寛子(かしわぎ・ひろこ)
【年齢】16
【性別】女
【職業】元高校生、性奴隷(調教中)
【性格】元は優しくおっとりとした性格だったが過酷な調教を経て、
やや荒み気味になってしまった。また、以前より淫乱になった
【身体的特徴】茶色のロングヘアの美少女。年の割にグラマー体型
【服装】憲悦から与えられた古着(くたびれた白のカッターシャツに濃い灰色のミニスカート)
【趣味】今は無し(昔は作詩や恋愛映画観賞)
【特技】教え込まれた男を悦ばせるテクニック(昔は暗記、暗算、英会話)
【経歴】富豪の令嬢だったが父親の突然の事故死をきっかけに没落、
母親と共に性奴隷販売地下組織に売却された(母親の行方は不明)。
調教師、稲葉憲悦によりじっくりと調教され、すっかり人格が変わってしまった。
【備考】無意識の内に性的な行為に走る可能性有り
最終更新:2010年06月29日 23:12