15話 兎と侍の合わせ技
「びっくりしたわ…扉を開けたらいきなり鎧武者が立っているんだもの」
「いやあ、すまん。驚かせるつもりは無かったんだが」
エリアE-5に存在する学校二階の教室にて、
ブレザー姿の兎耳少女鈴仙・優曇華院・イナバと、
和風鎧姿の男、ムシャは他愛も無い会話を交わしていた。
二人は数分前、この市役所にて遭遇した。
「それで……ムシャ、だったっけ? あなたはこの
殺し合いは乗っているの?」
「乗る訳無いだろ。こんな殺し合いなんて馬鹿げている」
ムシャはゲーム開始直後より、この殺し合いを潰す決意をしていた。
この殺し合いには勇者アレックスとその仲間数人、
自分と同じ魔王軍四天王であるドラゴナス(何故か女体化していたが)とダーエロ、
開催式で首輪を爆破されたディオナの仲間であるアンデッドナイ軍のクレアスとエロリアがいる。
アンデッドナイ軍の二人は注意するべしだとは思ったが、
他の6人はこのような殺し合いに進んで乗るとも思えない。
合流し、仲間を集め、何とか殺し合いからの脱出を目指していた。
支給品は木刀だった。出来れば真剣が良かったがこの際文句は言えない。
木刀でも彼にとっては十分適性のある武器である。
「れい…うどんげ…えーと」
「イナバで良いわ」
「イナバ。お前は……」
ムシャがイナバにこの殺し合いに乗っているのかどうか問おうとした時。
面に隠れたムシャの顔面に冷たい銃口が突き付けられた。
言葉にせずともその行動が全てを物語っていた。
「ごめんなさい、ムシャ…私はこの殺し合いに乗る。優勝して生きて帰る」
「……」
鈴仙・優曇華院・イナバは拳銃――シグザウアーP225の引き金を引いた。
ダァン!!
薄暗い会議室がフラッシュし、銃声が響いた。
「え……!?」
しかし次の瞬間イナバは驚愕の表情を浮かべた。
銃口の先にあったはずの鎧武者の顔面はどこにも無かった。
ドスッ!
「ぎぁ…!」
鳩尾に重く鋭い一撃を受けるイナバ。
呼吸困難に陥り、その意識はあっさりと飛んでしまった。
ドサッと床に倒れ失神した少女を見下ろすのは木刀を携えたムシャ。
銃撃の寸前に思い切りしゃがみ込み、隙を突いて強烈な木刀の一撃を加えたのだ。
「はぁ…はぁ…危ない所だった…」
寸での所で危機を逃れ一息つくムシャ。
止めを刺す事も考えたが、流石に少女を殺すのは忍び無かった。
仕方無く、ムシャはイナバの持っていた拳銃と、デイパックの中の予備マガジンを回収し、
無力化した。
「こいつの目が覚めない内に別の場所へ移動するか…」
これ以上この学校に留まるのは危険と判断し、ムシャは足早に学校の出入口へ向かい始めた。
「ドラゴナス、ダーエロ…それにアレックス達も…無事だと良いんだが」
◆
「うう……私、どうしたんだっけ……」
十数分後、イナバは腹部の痛みに顔を歪めつつ目を覚ました。
そしてムシャがいない事、自分の武器が無くなっている事に気付く。
「やられた……あの至近距離で銃弾をかわすなんて。
何者なのあのムシャって奴……いや、それより参ったな、代わりの武器を確保しないと…」
これから先、殺し合いを勝ち抜き、生き残っていくためには武器が必要。
能力も全て封じられてしまっている今、支給品であった拳銃は大いに頼りになる
武器だったが、状況から考えてムシャが自分を気絶させた後奪ってしまったようだった。
現在位置である学校はそれなりに広い。隈なく探せば武器になりそうな物の
一つや二つはあるだろう。
「探してみよう…」
まだ鈍痛の残る腹部を擦りながら、イナバはデイパックを持ち、
学校内部の探索に向かった。
【一日目/深夜/E-5学校周辺?】
【ムシャ@VIPRPGシリーズ】
[状態]健康
[装備]木刀
[所持品]基本支給品一式、シグザウアーP225(7/8)、シグザウアーP225マガジン(8×3)
[思考・行動]
基本:殺し合いを潰す。ドラゴナス、ダーエロと合流したい。
1:どこに向かうか…。
2:殺し合いに乗っている者とは戦うつもりだが出来る限り殺したくは無い。
3:真剣が欲しい。
[備考]
※鈴仙・優曇華院・イナバの名前と容姿を記憶しました。
【一日目/深夜/E-5学校二階】
【鈴仙・優曇華院・イナバ@東方Project】
[状態]鳩尾部分に鈍痛
[装備]無し
[所持品]基本支給品一式
[思考・行動]
基本:殺し合いに乗る。優勝を目指す。
1:学校内で武器になりそうな物を探す。
[備考]
※特殊能力は一切使えなくなっています。
※ムシャの名前と容姿を記憶しました。
※E-5学校周辺に銃声が響きました。
≪支給品紹介≫
【木刀】
木材で日本刀を模した物。日本の剣術で形稽古に使用するために作られ、
剣道、合気道においても素振りや形の稽古で使用される(実戦に用いられることもある)。
修学旅行生が何の考えも無く土産屋で買ってしまう物としても有名。
【シグザウアーP225】
シグザウアーP220の小型モデルの自動拳銃。
旧西ドイツ警察の制式拳銃トライアル用に開発された。
最終更新:2010年09月26日 02:56