中世の屋敷を思わせるようなレンガ造りの部屋に、55人の男女が集められていた。
いや、「集められた」では少々語弊がある。 「収容されていた」と言った方が正しいだろう。
何故なら彼らは、拉致されて此処に連れて来られたのだから。 当然「拉致」だから、本人の承諾は得ていない。
たとえ元居た世界が終わりに瀕していたとしても、拉致した側にとっては関係なかった。
全員の首には、金属製の首輪がはめられている。
かなり頑丈な作りになっているようで、無理やり外そうとしてもそれはビクともしない。
人々は、今現在自らが置かれている状況に困惑していた。
何故自分は此処にいるのか。 何故自分の首には首輪が付いているのか。
――――誰が、何のために。
『やぁ諸君、目は覚めたかな?』
不意に、声がした。
変声機を使っているのだろうか、その声は、低く、そしてくぐもっている。
『初めまして。 そして、ようこそ。「我々の世界」へ』
男は話を続ける。その声からは、感情らしいものは全くと言っていい程感じられなかった。
「世界」という言葉に反応した者が「まさかお前らも大ショッカーの手先なのか」と問いかけたが、
男はそれを無視して話を進める。
『突然だが諸君には……ちょっとしたゲームをしてもらう』
ゲーム。
少なくともそれが決して楽しいものではない事は、誰にでも想像できた。
だが、何をするのかまでは誰にも分からない。
得体の知れないそれに、人々の一部は小さく身震いをする。
『ゲームの内容は至ってシンプル。 最後の一人になるまで殺し合う――言わば「バトルロワイアル」だ』
男がそう言った瞬間、会場は時が止まったかのように硬直した。
「
殺し合い」。
突然飛び出した、あまりにも非現実的な単語に、人々は驚愕し、恐怖に震えた。
「冗談だろ?」と言い、その言葉を認めない者も居れば、
冷静になって今の状況を理解しようとしている者も存在していた。
殺し合いを待ち望んでいたかのような素振りをみせた者も居る。
『……私は本気だ。 その証拠を見せてあげよう』
男がそう言ったその直後。
部屋の中央付近から光が弾け、それと同時に、パァン、と爆発音が全体に響き渡った。
人々は一瞬、何が起こったのか理解出来なかった。
何が光った? あの音は何だ?
「嫌ぁああぁぁぁあああぁぁあぁぁぁぁああぁあぁ!!!」
悲鳴が木霊した。
ロングヘアーの少女が――秋山澪が、目の前にある「何か」を見て、叫んだのである。
顔色は死人の様に青白く、歯をガチガチと音が聞こえる程に震わせていた。
「何か」の正体。 それは――ツインテールの少女――中野梓の、生首。
それが、辺りに血を撒き散らしながら転がっていたのである。
少女の悲鳴により、人々は何が起こっているのかを理解した。
――――人が死んだ。否、殺された。男の言っている事は冗談ではない。
『諸君らが付けているその首輪……それは私の意志で何時でも爆破する事が出来る。無駄な抵抗はしない事だ』
首輪に触れていた者が、反射的に手を離す。
つい先程までは唯の無害な物質だった筈の首輪が、今ではおぞましい殺人兵器に見えた。
――――ああ、本気なのだ。この男は本気で、自分達に殺し合いをさせようとしている。
人々は生唾を飲み込んだ。
今起きている事が紛れも無い現実である事を、改めて思い知ったのだ。
『殺し合いに優勝した者には「どんな願いでも叶える権利」を与えよう。
一生金に困らない生活。 永遠の栄光。 大切な人の蘇生。
どんな内容でも構わない。必ず叶えてあげようじゃないか』
「願いを叶える」。
その言葉に、数人が動揺する。
もし、それが本当なら、もし自分の願いを叶えてくれるとしたら。
『……そろそろ時間だ。 では、始めようか』
男がそう言った直後、人々の足元に魔法陣が出現した。
青白く光り輝くそれによって、彼らは一人ずつ殺し合いの舞台――絶海の孤島へと転移されていった。
『…………フフ…………フフフ……フハハハハハハハ! さぁ諸君! 頑張って殺し合ってくれ!』
初めて感情の篭った声で、男が笑う。
その声は、小さな子供が本当に楽しい時に発する笑い声に、よく似ていた。
【中野梓@けいおん! 死亡】
◆ ■ ◆
今回、不幸にも殺し合いに巻き込まれてしまった55人の参加者達。
彼らは、此処――バトルロワイアルの世界で何を思い、何を決意するのか。
残念ながら、それは誰も――この殺し合いを始めた者にすら、分からない。
さぁ、賽は投げられた。
――――楽しいゲームの始まりだ。
【残り55人】
【バトルロワイアル 開幕】
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時系列順 |
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投下順 |
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| GAME START |
秋山澪 |
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| GAME START |
中野梓 |
GAME OVER |
| GAME START |
??? |
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最終更新:2010年09月20日 12:58