復讐と服従、読みはちょっと似てる

54話 復讐と服従、読みはちょっと似てる


銀鏖院水晶は、エリアD-8に存在する図書館を訪れていた。
先刻の放送では、近くのエリアE-7が禁止エリアに指定されたものの、
そこに行く予定は無いため気にする事は無いだろう。
発表された14人の死者の中にクラスメイトの名前は無かった。
かと言って水晶にとって気になる事では無いが。

「多分、私が撃ったあの少年……私も少女だけどね……の名前も入ってたんだろうけど、
名前聞くのは忘れたからな…まあいいか」

自分の武器である突撃銃AKS-74を携えながら、水晶は図書館奥へ足を進める。

多くの書籍が収められた棚が並び、広々とした読書スペースがある。
観葉植物や子供用スペースも見える。

「!」

背後に気配を感じ、水晶は振り向いた。

「……あなたは?」
「……」

入口付近に、自分とは恐らく別の高校に通っていると思われる、
狐耳に尻尾、そして爆乳を持った金髪の美少女が幽鬼のような表情を浮かべ立っていた。

「私の後を着けてきたの?」
「……そうだよ」
「…私は銀鏖院水晶。あなたは?」
「…源ちずる。ねぇ、銀鏖院さん、聞きたい事があるの」
「…何かしら?」

金髪狐耳娘――源ちずるは、目の前の少女の特徴を確認していた。
あの時――愛する小山田耕太少年が死ぬ間際に言い残した襲撃犯の特徴。
――銀髪の少女――目の前にいる銀鏖院水晶という少女は、銀髪。
更に、突撃銃を装備している――耕太少年を死に至らしめたのは機関銃系の武器。
下手人たる状況証拠は十分に揃っていた。

「…エリアC-6辺りの橋で……」

そこまで聞いた水晶が眉を動かした。
それを見た時、ちずるはほとんど確信した。

「……少年を殺した?」
「……殺したけど」

水晶はさも当然の如く返事を返した。そして。


ダダダダダダダダダダダッ!


「うぐぁっ…!!」
「そして、あなたもここで殺してあげる」

ちずるが何かアクションを起こす前に水晶はAKS-74の引き金を引いた。
銃声の直後、ちずるの胴体に幾つかの穴が空き、その穴と口から血が流れ出た。

「く……まだ死ねない!!」
「!」

激痛に耐え、ちずるは持っていたM4A1突撃銃の銃口を水晶に向け引き金を引いた。


ダダダダダダダダダダダッ!


「なんの!」

しかし、激痛で視界が霞んでいたせいか狙いが外れ水晶は掃射を回避してしまう。
読書スペースのテーブルと椅子、床、奥の本棚に無数の穴が空いた。

「死ね!」
「あっ!」


ダダダダダダダダダダダッ!


普段のちずるならまだしも妖力を封じられている上浅からぬ傷を負っていたちずるに、
二回目の掃射を避ける余力は残されていなかった。

自慢の巨乳や胴体が蜂の巣となり真っ赤になったちずるはごふっと大量に血を吐き、
持っていたM4A1を床の上に落としてカウンターにもたれ掛かるようにズルズルと崩れ落ちた。
床に血溜まりが広がって行き、ちずるは悪寒を感じた。

(あ――私、死んじゃうんだ―――耕太君と同じように―――)

耕太少年と同じ死に方を辿る事になってしまった自分の不甲斐なさを呪うちずる。
本人からは「生きてくれ、死なないでくれ」と死の間際に言われたと言うのに、
その約束は果たせなくなってしまった。

「…ごめん……ごめん…ね……ごめ…んね……」

ちずるの目から大粒の涙が溢れる。遠退く意識の中、彼女は謝り続けた。

「うっ……ごめんね…こ…うた……くん…や…くそく…まも……れ――――」


ダァン!


止めの一発がちずるの頭部に撃ち込まれ、美しい金髪を持った頭部は、
高圧力のライフル弾の威力に耐え切れず破裂し無惨な様相になってしまった。

「ふぅ…危ない所だったわ…あの少年の知り合いだったのね…」

ガチャガチャとAKS-74のマガジンを交換しながら、ほっと一息つく水晶。

「……それで、そこにいる人、隠れてるつもりだろうけど無駄よ。出てきなさい」
「ひっ」

低い棚が陳列されている場所に向かって水晶は声を掛けた。
すると、両手を上げ、一人の黒髪の美少女が出て来る。

「……何あなた、その格好。ふざけてるの?」
「ふざけてないですよ…これが私のデフォルトなんです。私クオリティなんです」

黒髪少女――宿禰千恵の破廉恥極まり無い格好に水晶は銃口を向けたまま
呆れた表情を浮かべる。無理も無い、千恵の格好は首輪、白いニーソ、革靴という、
ほとんど全裸。透き通った美しい肢体が惜しげも無く露わになっているのだから。

「露出狂?」
「そんなんじゃないですよ! あ、でも見られるのは確かに好き…かも」
「…言い残す事はある?」
「うわああ待って待って待って!! あ、あの、銀鏖院さんでしたっけ!?
さっき名前聞きました! あの、あなた殺し合いに乗っているんですよね!?」
「…そうだけど?」
「私も乗っているんですけど、いかんせん武器に恵まれてなくて、それでその、
もし良かったら途中まで一緒に戦いませんか!?」
「は?」

今一つ理解に苦しむ提案をする目の前の裸ニーソ少女に首を傾げる水晶。
一方、裸ニーソ少女こと千恵は、必死に共闘する事の利を説く。

「ほ、ほら、多分、殺し合いに抵抗している人達って大勢で行動してると思うんですよ!
でも、殺し合いに乗ってる人って基本味方がいないじゃないじゃないですか。
だからどうしても数的に不利になると思うんです、私達乗っている側が」
「……成程、確かにあなたの言う事にも一理あるわね」
「で、でしょう!? だから、あの、その」
「……けど」

「それでもあなたは必要無いわ、ごめん」


ダダダダダダダダダダッ!


銃声が響き、千恵の白く柔らかな肌は赤黒い穴が沢山に穿たれ、
そして、千恵の身体は仰向けに倒れ、二度と動かなかった。
水晶自身は千恵の提案に考える所が無かった訳では無かったが、
それならもっと使えそうな参加者が良いと思った末の射殺である。

ちずるが持っていた武器弾薬、アーミーナイフと千恵が持っていた
中華包丁とノートパソコンを回収し、水晶は図書館を後にした。



【源ちずる@かのこん  死亡】
【宿禰千恵@オリキャラ  死亡】
【残り26人】



【一日目/早朝/D-8図書館周辺】
【銀鏖院水晶@自作キャラでバトルロワイアル】
[状態]健康
[装備]AKS-74(30/30)
[所持品]基本支給品一式、AKS-74マガジン(30×3)、コルト ガバメント(7/7)、
 コルト ガバメントマガジン(7×3)、M4A1カービン(12/30)、M4マガジン(30×5)、
 S&W M27(6/6)、.357マグナム弾(18)、アーミーナイフ、中華包丁、ノートパソコン
[思考・行動]
 基本:殺し合いに乗る。優勝を目指す。
 1:クラスメイトと会っても容赦しない。
[備考]
 ※本編死亡後からの参戦です。
 ※超能力は封印され、使えなくなっています。
 ※ライガー(名前は知らない)の容姿を記憶しました。



※D-8図書館周辺に銃声が響きました。
※D-8図書館内に源ちずる、宿禰千恵の死体と、
二人のデイパック(どちらも基本支給品一式入り)が放置されています。



死をも許されぬ傀儡 時系列順 父よあなたは
死をも許されぬ傀儡 投下順 父よあなたは

復讐の女神 銀鏖院水晶 耳障りな誘惑、花椿の香り
復讐の女神 源ちずる 死亡
宿禰千恵の憂鬱 宿禰千恵 死亡

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最終更新:2010年10月17日 14:34
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