さあ皆さんご一緒にあの台詞を

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夜神月は、燃えたぎるような怒りを抱えていた。
その怒りと屈辱たるや、初めて“L”と名乗った男に接触された時以来のものだった。
そう、彼は主催者の一連の行為を、酷く屈辱的なものだととらえていた。
“キラ”たる己の前で、大量殺人のふざけた余興を催したことに。
自身がその余興の中で、殺し殺される駒のひとつとして扱われていることに。
“新世界の神”である夜神月の前で、あろうことか“神”と称したことに。
そして何よりも――

――それに世の中には、顔とフルネームが分かっただけで人を殺せる、まがいものの神様もいることだし。

何よりも、『キラ』である夜神月自身を、『まがいもの』呼ばわりしたことに。

その言葉を、月は『清隆』からの密かな挑発だと考える。
あのタイミングでわざわざ『キラ』の話題を出したということは、清隆という男は『参加者の夜神月こそがキラだ』と知っている可能性が高い。
会ったこともない男が、どうしてキラの正体を知るに至ったのか、不本意ながら見当もつかないが、彼が口にした“魔法”という未知の技術が関係しているのかもしれない。
『キラ』の正体を知られているのならば、なおのこと『清隆』を生かしておくわけにはいかない。

何としてでも生き残る。
必要ならば、宿敵のLとも手を組んでみせよう。
Lとの決着は生還した先でもつけられるし、途中でLを死なせて生還することになっても、それはそれで月の完全勝利となる。
生き残った上で、『清隆』と名乗った神様気取りの男に裁きを下す。
命を握られた屈辱を、倍にして返してみせる。



(お前がふざけて騙った『神』の名が、どれほど重いのか思い知らせてやる……)



その為に、夜神月は考えを巡らせる。
激怒しているからこそ、冷静に、慎重に、考える。

何よりも欲しいのは情報だ。
殺し合いを生き延びる為の情報。
『清隆』に関する情報。
清隆が握っている“魔法”に関わる情報。
あらゆる情報が、現段階では圧倒的に不足。
その為にも、他の参加者への接触は必須と言えるだろう。
現に、見せしめとなった少女は『清隆』のことをよく知っている風だったし、彼女の首が爆発し悲鳴が上がった時も、彼女の名前や清隆の名前を呼ぶ人間がいた。
つまり、参加者の中には間違いなく『清隆』の知人もいるのだ。
そして、あの男はこんなことも言っていた。

――ファーストネームだけで失礼させてもらうよ。私の身元が知られると、余計な面倒を背負う参加者もいるからね。

つまり、清隆が名字を告げることで、少なからず影響を受ける参加者がいると見ていい。
夜神月は名簿を一読して、70人の姓名をたちまちに記憶する。
「高町」が二人。
「柊」が二人。
あいうえお順に並んだ名簿は、同じ姓が並ぶとよく目立つ。
姉妹か親子かは分からないが、身近な人間同士が集められている可能性は大いにある。
ならば、この70人の中に清隆と同じ姓を持つ人間もいるのではないか。
そして、わざわざ『余計な面倒を背負う参加者もいる』とヒントを与えたからには、その参加者はこのゲームで何らかの『役割』を持たされているのではないか。
(この殺し合いゲームで、主催者から役割を与えられて送り込まれている……安直に考えれば、殺し合いを誘発させる、いわば『ジョーカー』という可能性があるが)
もし『清隆』が『ジョーカー』の可能性を示唆することで、参加者を焦らせようとあのような発言をしたのだとしたら、一応の筋は通る。
(……しかし、そうだと断定するのは早計に過ぎるな。単に参加者を焦らせたいなら、もっと直截的な言い方でも構わない)
しかも、『清隆』はこの殺し合いを『実験』と称した。
ということは、単に殺し合わせることが目的ではなく、その殺し合いによって何らかの『結果』を得る目論みがあることになる。
だとするなら、清隆の縁者は、その目論みの為の役割を持つ可能性もある。
何にせよ、その『清隆の縁者』は最優先で確保したい相手だ。
しかしその縁者も、同じく清隆の演説を聞いて、身元には注意を払っているだろう。
加えて、主催者に繋がる直接の糸となれば、相応の実力を見込まれている可能性が高い。
だからこそ、その縁者が敵であれ味方であれ、月の方が優位に立つ関係を築くことがベストだ。

その時だった。
その奇声が聞こえたのは。



「……うらうらうらうらうらぁ!!」



威勢の良い奇声と共に、ぎゃりぎゃりぎゃりぎゃり、とタイヤが地面を削るような音が近づいて来た。そして、

「沢村ぁぁぁぁぁぁ!! 雨苗ぇぇぇぇぇぇ!!」

絶叫と共に、自転車が空を飛んできた。
違う、あまりに勢いをつけて走ってきたので、自転車が地面を離れて大ジャンプをしたのだ。
自転車は、がしゃがしゃん、と鈍い音をたてて月の眼前で着地する。
勝気そうな顔つきの少女がそれに乗っていた。どこかの高校の制服を着ている。
頭頂部からぴんと跳ねたアホ毛が、ジャンプの余韻でぴょこぴょこ揺れていた。
「おい、そこのお前! 沢村っていう金髪のかっこいい高校生と、雨苗っていう嫌味な美少女を見なかったか!?」

状況はまだ分からなかったが、女が色々と規格外だということだけは分かった。



再び走り去りそうな少女をどうにかなだめて、月は情報交換へとこぎつけた。
少女の名前は関口伊万里というらしい。
彼女の知りあいで、沢村史郎と雨苗雪音という高校生、それに、同じく知り合いの浅月香介という中学生も、この場に呼ばれているらしい。
沢村史郎は同級生で、関口伊万里は彼に恋愛感情を持っているらしい。
雨苗雪音も同級生で、沢村をめぐる恋敵にあたるらしい。
どうやら主催者とは無関係な一般市民であり、ありふれた青春を過ごしている高校生のようだ。
「つまり、伊万里さんは友人の雨苗さんがこの状況下で早まった真似をされるのではと心配しているというわけですね」
「そう! 雨苗の奴、『私はもうすぐ死ぬ』とか言って消えやがったんだ。
そんな時に『殺し合い』なんかに巻き込まれたら、あっという間に死んじまいそうじゃないか。
だから一刻も早くあたしが止めてやらにゃならんのだ!」
雨苗という少女、自殺願望者か?
月はとても親身になっている風を装い、優しげな声を出す。
「それは心配でしょう。しかし、やみくもに探しても却って効率が悪くなるだけです。それに、女性をこんな状況下で一人にするわけにもいきません。僕と一緒に行動しませんか?」
「え? そりゃあ人が多い方が見つけやすいけど……でもなー、メガネの中学生ならともかく、若い男と二人でいたら沢村に誤解されそうだし……」
「いや、ご友人が危ないのにそんなことを言ってる場合ではないでしょう」
月の対女性用勧誘スマイルが軽くひきつる。

……駒としては、松田以下かもしれない。

しかし、女子高生の同行者がいれば、他者に警戒を解きやすいだろう。頭の悪そうな少女だが、それでも同行するだけのメリットはあった。
伊万里を信用させる手前『雨苗雪音探し』を優先することにはなるが、『他の参加者と情報交換した方が効率がいいはず』などと適当に丸めこんで月の目的に沿わせればいいだけのことだ。
信用を得るため改めて身分を名乗り、過去に警察庁に助言をして認められた実績が――キラ事件に関わっていることはまだ伏せておく――あることや、同じく警察庁勤務の父からも緊急時の対応を教わっていることなどを説明した。
「おぉ、あんた探偵みたいなもんだったのか? ならメガネの小僧よりかは頼りになりそうだな」
僕は浅月なる中学生と同レベルか、と内心で突っ込んだ月だったが、続く伊万里の呟きを聞いて耳を疑った。

「うん、それに、鳴海清隆にメガネを紹介された時よりは胡散臭くないし」

「あの……今、『鳴海清隆』とおっしゃいました?」
「あぁ? あの主催者の白スーツの男が鳴海清隆だ。事件を通して知り合ったよく分からない男だな。ついでに言うとメガネや沢村、それからさっき見せしめにされたロリも鳴海の知りあいだ」
「伊万里さん…………主催者と、お知り合いだったんですか?」
「会ったのは2、3回だけどな。『警視庁の名探偵』って呼ばれてるぐらい優秀な刑事で、解決できない事件はないそうだぞ。
それが何でこんな犯罪をやってるのかは分からんが」



そ れ を は や く 言 え。



(……どう考えても、それを先に話すべきだろう!)
たとえ友人の安否が気になるとしても、普通は知り合いに拉致されて殺し合えなどと言われ、あまつさえ知り合いの首が爆破されたらそっちを問題視しないか? 
主催者と知り合いなら、対主催派の人間に真っ先に伝えるべきじゃないか? 
しかも、鳴海清隆を庇おうと知らない振りをしていた様子でもない。
月はキレそうになった理性を繋ぎとめながら、思考を巡らせる。
(警視庁の名探偵、か……不可解な話だな)
警視庁と警察庁という志望先の違いこそあれ、日本の警察組織について熟知している月だが、『名探偵』などと呼ばれる男の存在は聞いたこともない。
何より、それほどに頭の切れる男ならば『キラ事件』に際して何の動きも見せていないというのは不自然だ。
しかし、ひとまず接触すべき該当者は見つかった。
名簿には一人だけ『鳴海』の姓を持つ人間がいる。

鳴海歩。

ナルミ・アユム。いや、アユミだろうか。
この名前からでは性別も――兄弟なのか姉妹なのか、あるいは妻なのかすら――判断しづらい。
「では、この参加者名簿に書かれた『鳴海歩』という人は、清隆氏の親族か何かでしょうか」
「さぁな。あいつのプライベートのことなんか知らんぞ。沢村以外の男の個人情報なんていらん」
やや落胆しながらも、月は次の情報源として、浅月香介、沢村史郎を候補に入れておく。
とにかく、この関口伊万里は主催者と接触のある第一級重要人物だ。
引き出せるだけの情報を話して貰わねばならない。

「ご友人の安否を一刻も早く確認したい気持ちは分かりますが、鳴海清隆について知っていることを教えてくれませんか。
……主催者の手がかりを得ることが、間接的にこの状況を打開することにもなるかもしれない」
しかし、関口伊万里は機嫌の悪そうな顔になった。
「おい、なんか勘違いしてるみたいだから言っとくけど、あたしは別に雨苗を心配してるわけじゃないぞ。というか、あんな奴大嫌いだ」
「ではどうして雨苗さんの捜索を?」



関口伊万里はすっくと立ち上がり、拳を高々と振り上げて熱弁した。
「だって、沢村は雨苗に惚れてるんだぞ!
こんな極限の状況で雨苗が欝な死に方したら、一生のトラウマになってあたしの入る隙間がなくなるじゃないか!
だから徹底的に邪魔してやる! 雨苗なんかよりあたしの方が、絶対に沢村の彼女にふさわしいんだぁーっ!!」


(だ……)
夜神月は、かつてとある女性に思ったことを、彼女に対しても思う。





早     /::::l:::l::、:::::、:::::ヽ::、::::::::::::\:::\:::::::ヽヽ::::::ヽ   駄
 .く      /:::!::::i:::!:::ヽ:::ヽ::::::ヽ::ヽ、::::::::::\:::ヽ:::::ヽヽ::::::',   目 
 な.     /:l::::!::::ヽ!::ヽ:::::::ヽ:::::::\:::ヽ、::::::::ヽ:::ヽ::::::!::i:::::::!  だ 
 ん   ハ:::l:::::、::::ヽ::::\:::::\:::::::\:::`ヽ、:::ヽ::ヽ:::::!::!::::l
 と   /:::::::l::::::!ヽ:ヽ::::、:::::ヽ:::、:\::::: \::::::\::::!::::ヽ:!:i:::l:l  こ
 か  !:/!:::::!::::::!::ヽ:ヽ{:::\:::ヽ::::\:::\::ヽ:::::::ヽ!:::::::}!::::l::li|   い
 し  j/:::l:::::!:、:::!::ト、:、:ヽ:::::`ヽ{、::::::\::::\{、::::::::::::::i::!::l:l !   つ
 な    l:i:l::::i::i:、:l::lテ=-、:ヽ、_、::\_,≧ェュ、_、\:::::::i::li::!::リ   :
 い   !ハト:{:!:i:トN{ 、ヒ_ラヘ、{ > 、{ 'イ ヒ_ラ  》  \::l::!:ト!!:l::l!     :
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             リl::l゛、   `二¨´       /  |/:/
         rー''"´ト!:: {\            /  / !:/
        / ^ヽ  ヾ   ヽ _,,、'´     /  j/




【A-1/森の中/一日目深夜】

【夜神月@DEATH NOTE】
[状態]健康、『清隆』に対する激しい怒り
[装備]なし
[道具]基本支給品一式、不明支給品1~3(確認済み)
[思考]基本:手段を問わず生き残り、その上で『清隆』を殺す。
1・関口伊麻里から『鳴海清隆』の情報を聞き出す。
2・自らの生存に有利な情報を集める。Lと協力するかどうかは状況しだい。
※第一部からの参戦です。
※関口伊麻里から、鳴海清隆のフルネームと刑事だということを聞き出しました。
※鳴海清隆の縁者(鳴海歩)が、ジョーカーとして参加している可能性を考えています。

【関口伊麻里@スパイラル・アライヴ】
[状態]健康、暴走モード
[装備]はやぶさ号@スパイラル・アライヴ
[道具]基本支給品一式、不明支給品1~2(確認済み)
[思考]基本:雨苗の好きにはさせん!
1・沢村を探す。雨苗が死ぬのも断固阻止する。
2・夜神月についていく? それとも……
※参戦時期はアライヴ5巻、雨苗に別れを告げられた直後です。
※当たり前ですが、浅月香介を、『アライヴ』の浅月香介(『推理の絆』から二年前の時点の浅月香介)だと思っています。

【はやぶさ号@スパイラル・アライヴ】
関口伊麻里が、謎の美少女占い師(正体は二年前の『結崎ひよの』)からもらった自転車。

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GAME START 関口伊万里 Next:023偶然の一致
最終更新:2011年06月18日 20:24
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