何かが足りないパンドラの箱

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かつて、ゼウスはパンドラという女性を作った。
人間に火をもたらした罰として送り込まれたともいえるパンドラに、神々は様々なものを与えた。
アフロディーテからは美しさを。
アポロンからは音楽と癒しの力を。
そしてゼウスからは好奇心を。

その好奇心から、決して開けてはいけないと言われていた黄金の箱は開かれてしまった。
そして、開かれた箱から出てきたものは――
病気、嫉妬、盗み、憎しみ、悪だくみ――そう、『災厄』。
ありとあらゆる災厄が人の世を覆い尽くした。

開かれた箱を閉じようとした瞬間、声が響いた。
「私も出して下さい、私は『希望』です……」
それから、人はどんな災厄が起きても希望をもつようになったのだった……



広瀬康一はこの殺し合いに放り込まれ途方に暮れていた。
彼にはこの殺し合いに乗るなんて事は出来なかった。
しかしだからと言ってどうする事も出来なかった。
当然ながら、彼は人を殺した事は無い。
それどころか、命の危険を覚えたような事すら経験していない……
尤も、彼はこの殺し合いに巻き込まれなければ、地元の町を舞台にした奇妙な事件に巻き込まれる運命なのだが。

康一は、行くあてもなく歩きだす。
ただ、誰にも会わないでくれと切に願っていた。
額から脂汗がじわじわと溢れ出る。
眼を閉じれば先ほどの惨劇――女性の首が吹き飛ばされた、あの光景が目に浮かび更に脂汗が浮かぶ。
怖い。
ただ、純粋に怖い。
その恐怖はどんどん膨れ上がり、康一の心を圧し潰さんと迫りくる。
それから逃げるように、康一は歩を進めていた。

そして、出会ってしまった。
地面にへたり込み、さめざめと泣いている小学生くらいに見える女の子に。


康一は、怯えていたとはいえ芯の強い少年だった。
確かに恐怖心はあった。
だがそれ以上に、目の前の女の子を放ってはおけない、そう思っていた。

「あ、あの、君。」
「すん……すん……」
目の前の女の子は顔を手のひらで覆うようにして泣いていた。
これでは名前を聞く事はおろか、その女の子の顔を拝むことすらできない。
どうしたらいいのだろうか。

「あ、あの…僕は殺し合いになんかのってないよ。」
「…本当?」
しゃくりあげる音が一瞬止まり、か細い声が聞こえてきた。
「本当だよ、僕は殺し合いに乗って無い…本当だよ。」
「……本当、なの?」
「勿論だよ。」
泣いていた女の子は泣きやむと、そっと康一の顔を見つめた。
その可憐な顔に、康一は思わず頬が染まる。
「…あなた、本当に乗ってない?」
「ああ。」
「…そう。」
「とにかくここにずっといたら危ない、ひとまず学校かどこかに」

ぱあん、と軽い、あまりにも軽い音が響いた。
それとほぼ同時に、康一の眉間に紅い孔が開き、血が溢れる。
力を失った脚が膝からがくりと折れ、先程まで広瀬康一『だった』――今は物言わぬ躯が血に倒れ伏した。
それが、広瀬康一という一人の少年の最期だった。



「…バカな人。」
先程自らが殺した少年の死体を前にして、源静香はぽつりとつぶやいた。
その表情は、先ほどまで泣いていたとはとても思えないほどに冷酷で、吐き気を催す邪悪を秘めていた。
先程までの涙は、欺くためのもの。
自分でも怖くなるぐらい、『作戦』は成功した。
とはいえ小学生(あくまでも表の顔、ではあるが)の彼女にできることなど高が知れている。
この殺し合いの場にいるのは、人種や恐らくは世界観すら違うものが多くいる、と静香はあの大広間で確信していた。
そこで、彼女は一つの作戦を考えた。
彼女――源静香の『作戦』、それは単純に言ってしまえば乗る気のない参加者をだまし、殺す事。
彼女は康一に出会う前に、彼の姿を確認していた。
静香から見た彼の姿――呆然と立ち尽くし、脂汗を滲ませているだけのその姿は、はっきりいって使えるとは思えない。
それでいて見ず知らずの自分に軽々しく声をかけてきたその不用心さ。
彼はとてもこの殺し合いに生き残れない、そう静香は判断した。
だから、こっそり隠し持っていたデリンジャーの引き金を引いた……





これは、殺した静香はおろか殺された康一本人にすら知らない事なのだが……
この殺し合いの場に、山岸由花子という女がいる。
彼女は広瀬康一の事を愛している――それも傍から見れば異常とみられるほどに。
非常に身勝手でキレやすく、思い込みの激しい性格ながらその性格をそのままに苛烈に、純粋に彼女は康一の事を愛している。
もし、そんな彼女が「康一が殺された」なんて事実を突き付けたらどうなるであろうか?
彼女は泣くだろう、それも激しく。
彼女は怒るだろう、それも激しく。
彼女は狂うだろう、それも激しく。

そして彼女は壊すだろう、何もかもを、激しく。

そうなるであろう事を、殺した静香はおろか、殺された康一も夢にも思わない。



箱は、開かれた。
開かれたその箱からは、無限とも言えるだけの災厄が津波のように押し寄せるだろう。
だが、その箱の中には、パンドラの箱のように『希望』は一切入っていない。





【広瀬康一@ジョジョの奇妙な冒険 死亡】

【C-4住宅街/1日目朝】
【源静香@ドラえもん のび太のBIOHAZARD】
[状態]:健康
[装備]:ハイスタンダード・デリンジャー@BATTLE ROYALE
[道具]:基本支給品一式(アイテム確認済み)、康一の支給品一式(アイテム未確認)
[思考]1:殺し合いに乗る、出来る限り自分の手は汚さないようにするが殺すことにためらいはない。
   2:利用できそうな人は利用する。
   3:出木杉と合流する…?

[備考]:研究所でのび太に正体を明かす前からの参戦。

[備考]:広瀬康一の参戦時期は四部開始直後、承太郎と出会う前からの参戦でした。



【支給品情報】

【ハイスタンダード・デリンジャー@BATTLE ROYALE】
源静香に支給。
原作では月岡彰に支給された。
非常に小さく、重量も軽いため奇襲や暗殺にもってこいだが、その小ささゆえに撃ち合いには向かない。また、装填できる弾数も2発と少ない。

025:混乱の予兆 投下順 027:会談レストラン
025:混乱の予兆 時系列順 027:会談レストラン
GAME START 広瀬康一 GAME OVER
GAME START 源静香 [[]]
最終更新:2011年06月24日 22:35
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