「みことぉぉぉぉ!!!!」
鬼の表情を浮かべた彼女の後ろから現れる巨大な炎の龍。
龍は剣の突き刺さった耳元まで避けた口を開く。
湯気が立ち上がる中、龍は前にいるものを見据える。
前にいたのは、小柄な黒い髪の少女に向けられていた。
少女は蛇に睨まれた蛙のごとく、身動きが出来ない。
鬼女は首元を掻き毟りながら、唇を噛み切った血を流していた。
炎の龍の腹部から昇りあがる、閃光…。
「カグヅチィィィ!!!!」
……時は少し、遡る。
「時は満ち、祭が始まる…」
男の声は、やけに大きく響く。
それはその場所がただの部屋ではなく、大きな空間であるということを証明していた。
冷たい空気が漂い、男の後ろには幾つものテレビモニターが搭のように、無数につけられており、そこには様々な映像が映し出されている。
世界中の暴力、環境破壊、それによる災害…。
男の前に立つ女性…その女性は、男を見つめて静かに冷たく微笑む。
その女性は黒い制服と帽子を身につけ、長い金髪の髪をおろしている。
スタイルもよく、美女という言葉がふさわしい存在であろう。
「長年の研究成果を、証明して見せるときがようやっときました」
その言葉はやんわりとしていたが、話す女性の目つきは鋭い。
「君達の実験成果は、僕の計画にとても重要な部分になる。
そのために東京に捨てられかけた君達を、僕ら一番地が摂取し、計画を進行させたんだからね」
男は、大きなイスの上に横になりながら話しをする。
女性のほうなど見る気はないようだ。興味もないのだろう。
「凪、人数は揃えたか?」
その言葉が聞こえると、女性の後ろから白髪の小柄な少年が姿を現す。
女性はその存在に気がついていなかったのか、少し驚いた表情をする。
その言葉が聞こえると、女性の後ろから白髪の小柄な少年が姿を現す。
女性はその存在に気がついていなかったのか、少し驚いた表情をする。
「言われたとおり、HiMEに近い年齢、環境を持つ多種多様な人間を集めたよ。中には、HiMEと同等の力を持つものまで」
凪と呼ばれた白髪の少年は、面白そうに告げる。
男はほぉーっと言葉を漏らす。
「鷹野三佐…これは所謂、前夜祭だ。思う存分にやってくれてかまわないよ。
僕は結果だけ手に入ればかまわないからね」
男の言葉の後、凪が鷹野と呼ばれた女性のほうを見る。
鷹野は、薄気味悪い凪のほうを見つめ返す。
「わかってるよね?これがもし失敗したら、君の唱えた説は、机上の空論っていうことになるんだから。
失敗は…許されないんだからね」
凪の言葉に、鷹野は唇をかみしめると、あきらかに不愉快という表情を見せて、そのまま、後に振り返って去っていく。
執念に満ちたその表情は、狂気さえ感じさせる。
「おぉ~こわっ。とりつかれた女の人は、それが誰であれ怖いものだねぇ」
凪は去っていった鷹野のほうを見ながら、ケラケラ笑いながら言う。
「目前に迫った蝕の祭……。良い前夜祭になればいいんだけどね。僕らにとっても彼女にとっても…」
その男…神崎黎人は、頭上にあるたくさんのテレビモニターのほうに顔をあげた。
テレビ画面に光がつく。それはこれから祭が始まることを意味していた。
最終更新:2008年08月24日 20:12