太陽が空高く昇り切り、島中の時計が、昼の12時を指す。
島中の至る所に設置された高音質、大音量のスピーカーから、
この
殺し合いの参加者達に取って決して忘れられない、若い男の声が響いた。
あの教室で、殺し合いの開催を宣言した、あの謎の男である。
『はーい、みなさんお元気ですかー?
お久しぶりでーす。開催式の時以来ですね。俺ですよ。覚えてますかー?
出来れば覚えておいてほしいんですけどねぇ。
じゃないと俺泣くかもしれませんよ。
……まあ、そんな事いいから早く要点を言えって方が多いでしょうから、
記念すべき第一回目の放送、始めたいと思いまーす。
それじゃあまず、死んだ人の名前言いまーす。
死んだ順番です。では言いますよー。
以上、23人が、記念すべき第一回放送までの死亡者です。
えー、素晴らしい。素晴らしいです! いやもうホントに!
まさかたった6時間で、半分近くも脱落するとは、俺も予想外でした!
皆さん思ったよりもやる気になられている方が多いようで安心しましたね。
これなら、24時間誰も死ななかったら全員処刑、なんて言わなくても良かったかも。
優勝者が決まるのもそう時間はかからないかもしれないですねぇ。
このペースで頑張って下さーい!
では、続いて禁止エリアの発表です。地図を出して、よく聞いていて下さいねー。
では言いまーす!
午後1時より、G-2!
午後2時より、D-5!
午後3時より、B-1!
分かりましたかー? 指定された時間後に入ると首輪が作動しますからねー。
聞いて無かった人はもう知りませんよー。
最初の6時間を生き抜いた27人の方、頑張って次の放送が聞けるよう生き抜いて下さーい。
それじゃあ、また次の放送でお会いしましょう! さようならー!」
放送は終了した。
殺し合いの会場である島は、再び静穏に包まれる。
◆
数多くのテレビモニターが並び、画面には各エリアの詳細及び参加者の位置が表示され、
床や天井にはまるで蛇のように連なる配線の数々。
椅子に座って画面を見つめ続ける、黒い軍服に身を包んだ兵士達。
人間、狼獣人、狐獣人、犬獣人……種族も多種に渡る。
少ないが、女性の姿も見える。
マイクを置き、缶に入ったカルピスを飲む、ボサボサ頭の若い人間の男。
くたびれたスーツを身に纏い、座っているので分かりにくいがかなりの高身長。
恐らく190センチはあるだろう。
「柴田司令、お電話です」
銀狐獣人の女兵士が、携帯電話を柴田司令と呼んだ男に差し出す。
柴田は銀狐女兵士に礼を言うと、携帯電話を受け取り、通話ボタンを押し、耳に当てる。
「もしもし……ああ、これはこれは……はい? ええ。予想を遥かに超えたペースで進んでいます。
最初の6時間で半分近くも脱落しました」
畏まって礼儀正しく話す柴田。どうやら電話の向こうの人物は、柴田より高い地位にある者のようだ。
「はい、はい。その辺りはぬかり無く……既に国家警察やマスコミは完全に支配下にあります。
嗅ぎ回っていた者は全て大金を渡したり、口封じのために……ええ、はい。心配ありません。
ご安心を……」
柴田はしばらく電話の向こうの人物と話した後、電話を切り、
携帯電話を持ってきた銀狐女兵士に携帯電話を手渡す。
「ふぅ……残り27人ねぇ。次の放送までに、何人が生き残れるかな……?」
参加者一人一人の詳細な資料を見ながら、柴田は再び缶入りのカルピスを口に運ぶ。
この柴田司令――柴田行隆こそ、参加者達が開催式の時に声だけ聞き、
「謎の男」と呼んだ者の正体である。
【残り27人】
最終更新:2009年10月13日 19:31