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殺戮幕開

アパートの一室。
テーブルすらない殺風景なリビングに一人の長身の男が立たずんでいた。
男は無造作に置かれている巨大な黒い球体をじっと見つめている。
男がそうし始めてからほとんど時間をおかず、球体から光が放たれ別の人間を『転送』した。
新たに部屋にやってきた人物を見て最初にいた男は顔を綻ばせる。

「計ちゃん」
「加藤……」

男、加藤に声をかけられ「計ちゃん」と呼ばれた男はそちらへ目を向け、少し驚いた顔をする。

「加藤、お前、スーツは?」
「え?」

言われてようやく自分の服装が妙なことに気付いたらしい。
自分が学生服を着ていることを確認して酷く動揺し始める。

「あっ、れ? なんで……確かに転送されるまでちゃんと」
「はぁ……? え、俺もスーツ着てねぇ……!?」

二人して着ていたはずの「スーツ」がないことに焦りを滲ませる。
そんな二人をよそに、黒い球体から次々と人が『転送』されてきていた。

「なんだここは!?」
「アキ、龍可と龍亜も……」

「あれ? 私、会場にいたはずなのに……あ、原村さん!」
「宮永さん! いったいここは……?」

「な、なんなのよこれー!」
「まさかまた『悪魔』関係の事件か……!?」

「……花村、ジュネスって随分思い切った改装したね」
「ねーよっ! つーかどこだよここ!?」

『転送』されてきたのは学生が多いようだ、コスプレにしか見えない格好の者や小学生ぐらいの子供も混じっているが、9割が高校生ほどの少年少女で占められている。

「多いな……」
「!?」

最初の二人の側に現れた男は部屋に『転送』された人々をざっと見渡しぽつりと呟く。
その男に目をやった二人は動きを止め、絞り出すように声を上げた。

「えっ、あっ……い、ずみ……!?」
「?」

和泉と呼ばれた男は、信じられないといった様子の二人に僅かに首を傾げ自分の服装に目を落とし表情を歪める。

「スーツが……?」
「いつのまに生き返らせたんだ、こいつ」
「西……」

続けて現れた西と言う中学生は和泉に目を向け、続けて自分も含めた全員の服を見て同じように表情を変えた。
状況がわからず右往左往するだけの他の人たちとは違い、この四人だけは若干の焦りを滲ませながら黒い球体をじっと睨みつける。

「ガンツは何をする気なんだ……?」
「なにって……ミッション、だろ?」
「チッ、スーツ無しでかよ」
「……」

「ええい冗談ではない! いつまでもこんなとこにいられるか!」
「落ち着けジャック、叫んでも仕方ない」

不可思議な現象にしびれを切らした長身の男が叫び、部屋から出ようと扉へと手をかけようとするがその手はどうしてもノブを掴むことができない。
目を丸くする男に加藤が声をかけようとした瞬間、一部の人間を除いては馴染み深い歌が黒い球体から流れ出す。

『あーたーらしーいあーさがきたー♪ きーぼーうのあーさーがー♪』

「なんなの、この変な歌……」
「へ? ラジオ体操?」
「体操、したほうがいいのかしら」
「いやキャプテン、そんなわけないですって」

その場の全員が音源である球体に目を向け、表面に浮かびあがってきた文字に目を見張る。

『これからてめえ達には殺し合いをしてもらいます』

「…………は?」

『今回はいつもと趣向を変えようと思ったしだいでして……』

「なんだそりゃ……」

『詳しいことはてめえ達に渡すCOMPに書いてあるので、頑張ってくだちい』

「きゃあ!?」
「宮永さん!?」

球体に文字が最後まで表示されると同時に悲鳴があがる。
そちらに視線を向けると、一人の少女が頭の先から消失していく姿があった。

「な、なんなのこれ!? は、原村さんどこ!?」
「み、宮永さん! 宮永さん!!」
「咲ちゃん!?」

その光景を見て、計ちゃん……玄野は球体の側に駆け寄り叩きながら声を荒げる。

「おいっ! ガンツ! 殺し合いってどういうことだ! 答えろっ!」

玄野の叫びに球体は何も反応を示さない。
それでも叫ぶのをやめない玄野だが、背後から襟首を掴まれて強引に振り向かされる。
その痛みに反射的に睨みつけようとし、相手が自分より遥かに長身なことに気付いてわずかに萎縮してしまう。

「貴様! ここがどこなのか知っているのか!」
「あっ、いやっ、知ってるっつーか……」
「よせ、ジャック」

玄野へ怒声を浴びせる男を仲間らしき男がやんわりと制止する。
真っ白なコートと濃紺のコート、更にまともなセンスとは思えない髪型、奇妙としか思えない姿の二人に玄野だけでなく他の人間も目をきょとんとさせている。
仲間の制止にも納得のいかない様子の男へ、加藤が止めに入ろうとしたところで先ほどの少女と同じように玄野も頭の先から消失していってしまう。

「あっ」
「計ちゃん!」
「こ、これは!?」
「やはりソリッドビジョンではない……どうなっているんだ」

不可解な現象に戸惑う中、部屋にいた人間は次々と少女や玄野と同じようにその姿を消していく。
消えゆく相手の名を叫ぶ者、互いの手を強く握る者、ただ静かに状況を観察していた者、例外なく全員がその部屋から消失し、最初から存在していた球体のみが残った。

球体の表面には変わらず殺し合いを告げる文だけが表示されている。
他に動くもののない部屋では何も変わらず。
ただひたすらに、同じ光景が続き。


ふと、唐突に球体に表示されていた文字が消え去った……。


主催?
GANTZ@GANTZ

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最終更新:2009年11月19日 21:08
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