トゥデイ

4:トゥデイ

水平線が見える。
崖の上からなので眺めは非常に良いが、崖の下を見れば岩が剥き出しとなり落ちたら死と言う事を、
確実に伝えてくれる。その崖の上で、二足歩行の雌狐、費覧は海を眺めていた。

「うーん、海って滅多に見ないからねぇ…綺麗ね…ねぇ、あなたもそう思わない?」

そう言いながら、費覧はすぐ近くにいた青年に話を振った。

「そうだな、俺もあんまり海なんて見ないし…中々こういう崖なんて所も来ないしなぁ」
「私もよぉ…」
「……所で、あんた、費覧さんだろ?」
「え?」

青年の言に費覧が驚いた表情を浮かべる。

「…どこかで会ったっけ?」
「費覧、***年*月*日、****帝国、今の**人民共和国に生まれる。
性格は淫乱かつ残酷、享楽好き。章高と言う親友がいる。好きな物は――――」

費覧の出生や特徴などを次々と言い当てる青年。
しかし費覧はこの青年には全く覚えが無い、本当にたった今会ったばかりのはずなのだ。
なのに何故? 大抵の事には動じない費覧でも、流石にたじろぎ困惑が隠せない。

「それから十人目の彼氏の名前は――」
「やめて」
「……」
「随分私の事詳しいのね……」
「ある人から聞いたんだ」
「ある人?」
「そう…まあ言うなればね、あんたの『創造主』って奴かな」

「……はぁ?」

自分の創造主、と言われても費覧には何の事やら全く理解出来ない。
いや、費覧でなくとも、そんな言葉を投げ掛けられたら誰でも戸惑うだろう。
しかし青年は費覧の戸惑いなど特に気にする様子も無く話を続ける。

「あんたと言う存在を作り上げた、言葉通りの人だよ。獣好きで、変態な人だ」
「ちょっと、何言ってるの…訳が分からない」
「……別に分かる必要も無いけどね」
「え?」

青年の手にはいつの間にか万年筆が握られていた。
青年は万年筆のペン先を費覧に向ける。
いつもの費覧だったら青年の行動に何かを察しただろうが、先程の会話の影響で若干ではあるが動揺し、
普段の判断力が鈍っていた。
次の瞬間、万年筆のペン先が勢い良く発射され、費覧の胸元に突き刺さる。

「い゛っ……」

鋭い痛みが費覧を襲う。
しかし、帰って費覧を我に帰らせた。

「このっ…小賢しい真似を!」

怒りを露わにし、牙を剥き出しながら費覧は青年に飛び掛かろうとした――だが、その動作はすぐに、終わる。

「ふぇ?」

突然、費覧は全身の感覚が麻痺していく感覚に襲われる。
その場にへたりと座り込み、動かなくなってしまった。

「あ…あぇ…? あ、あに、ぉえ(あ…あれ…? な、何、これ)」

口も回らなくなってしまう。

(か、身体が痺れて…動けない…!? さっきの万年筆…!?)

「この万年筆……かの有名なスペツナズナイフの技術を流用して作った特殊工作道具なんだと。
強力な麻痺毒が仕込まれてるんだってさ…あんたにも効いたな」
「……!?」
「こうでもしないと多分、あんたには勝てないだろうから、なぁ」

青年はデイパックから、金属バットを取り出し、不敵な笑みを浮かべる。
費覧は何とか動こうともがくが、身体は全く言う事を聞いてくれそうになかった。
いつもなら、首を切断されても、身体を粉砕されても時間の差はあれど蘇生出来る彼女、
しかし、このゲームが始まった時から費覧は自身の身体がいつもより格段に弱体化している事に気付いていた。
今の状態で致死的なダメージを受ければ、恐らく――――。

「いやあ、ym氏に色々聞いておいて良かったよ」
「……」
「……◆ymCx/I3enU……それがあんたの、いや、『あんたら』の創造主の名前さ。
ちなみに俺は◆VxAX.uhVsM……まあ、もうあんたには、関係の無い話だけどね……」

この男が何者なのか、◆ymCx/I3enUと言う存在が何なのか、「創造主」とは一体、「あんたら」とは。
疑問は沢山あったが、それを考える時間はもう残っていないようだった。
この男――◆VxAX.uhVsMの言う通り、もう自分には関係無い事だと、費覧は諦めにも似た心境で思う。

(…創造主…◆ymCx/I3enU…何なんだろう……まあこいつの言う通り…もう私には――――)


……

……


頭部が全く原型を留めていない雌狐の死体を崖の上から海に放り込み、
雌狐のデイパックに入っていた豆絞りで金属バットに付着した血と脂と肉片を拭き取る、◆VxAX.uhVsM。
そして、装備をこれまた雌狐のデイパックの中に入っていた小型リボルバー、
ニューナンブM60に切り替えズボンのポケットに予備弾を突っ込む。

「まさか最初に費覧に会うとは…だが対処法を知っていればどうと言う事は無い…な。
他のym氏のキャラも…大丈夫かなこれなら……クククク」

不敵に笑いながら、男――◆VxAX.uhVsMはその場を後にする。次の獲物を捜しに。


【費覧@オリキャラ  死亡確認】
【残り  55人】


【早朝/A-4崖上】
【◆VxAX.uhVsM@非リレーロワスレ書き手】
[状態]健康
[装備]ニューナンブM60(5/5)
[持物]基本支給品一式、.38SP弾(10)、金属バット、麻痺毒入特殊細工万年筆(2)
[思考・行動]
基本:殺し合いに乗る。
1:他の書き手さんに会っても別段容赦する気は無い。
[備考]
※◆ymCx/I3enU、◆6LQfwU/9.M、自分のオリキャラの情報を持っています。


003:星を探して 目次順 005:LOTUS

GAME START 費覧 死亡
GAME START ◆VxAX.uhVsM 027:イリーガルドラッグ

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最終更新:2012年02月08日 11:05
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