バトルロワイアル。
何時だって前触れも無く訪れる、血と絶望の宴。
時には『プログラム』として、時には『儀式』として。
―――そして今回は、『喜劇』として哀れな者たちの前に立ちはだかる。
残念ながら、このバトルロワイアルはある種本当に喜劇だ。
絶対に
殺し合いはしない、と言った者が急に豹変して襲いかかる。
その逆もまた然り、だ。
異常な思考回路を人間に無意識下に生み出させる極限状況―――――魔女たちはそれを確かに喜劇と見た。それも滅多に見られない至高の酒の肴として。
刃向かうも良し。恐れるも良し。また、純粋に宴を楽しむも良し。
参加者たちの行動はどれを取っても、魔女たちの肴なのだから。
―――――おっと。
忘れていたが、バトルロワイアルには無数のスタンスが存在する。
前述のものの他にも、主催と繋がる『ジョーカー』や殺し合いに乗った殺人者たちを殺す『マーダーキラー』。まさに千者万別といったところか。
さあ、これから始まるのは『マーダーキラー』のお話。
一度バトルロワイアルを経験し、その内に歪んでしまった青年の話。
彼の名前は相川友。
『
DOLバトルロワイアル』を生き抜き、そしてまた運命に選ばれた。
■
少女は、早くも準備をしていた。
バトルロワイアルという不測の事態にも、彼女は冷静に適応できていた。
それもまた、彼女がその年齢の割に合わないだけの過酷な運命を乗り越えてきたことに起因するのだろう。本人にとっては何とも皮肉なことではあったが。
少女の名前は、暁美ほむら。
『魔女』と戦う使命を帯びた『魔法少女』である。
突然だがほむらは、魔法少女の能力として『時間停止』を有している。
更に、彼女が契約において願った『願い』による特定時間の逆行。
彼女を形容するなら『イレギュラー』といったところだ。
『鹿目まどか』という一人の少女を救うために時を越えるイレギュラー。
―――――――それは皮肉にも鹿目まどかをより強大にしてしまったのだが。
何度も敗れて、時には裏切られても。
ほむらの力で物語は再び振り出しに戻り、再び始まる。
だから、バトルロワイアルなんて事柄からは簡単に逃亡できる筈。
しかし、それが出来なかった。
時間停止能力は相当弱体化され、時間を繰り返すことは不可能。
暁美ほむらの縋る糸は唐突に切断されてしまった。
動揺しなかった訳ではない。
もしもこのバトルロワイアルで鹿目まどかが死ねば終わり。
『やり直し』が効かないのだから、それを使えるようにする必要がある。
まず、ほむらはこの不調は主催による制限だと考えていた。
何せ相手はこんな悪趣味なゲームを喜劇と称すような輩だ。
ゲームの破綻に繋がるような事柄は排除しておきたいはず。
そして、あの『魔女の口づけ』に似た『呪縛』という足枷の存在。
その呪縛に、力を抑制する何かが仕組まれている可能性がある。
とすれば、『呪縛』をどうにかして解かなければならない。
考えられる解除法は二つ。
『バトルロワイアルの打倒』もしくは『優勝』。
しかし可能性で言うなら後者が圧倒的に高い。
147人もの参加者を殺すのは骨が折れそうだが、不可能ではない。
ほむらの『時間停止』は弱体化こそしているが使用できる。
僅か二秒程度しか止められない上にインターバルが生まれてしまうのは非常に痛いが、ほぼ確実に先手を取ることが可能なのだ。魔女との戦いでもそうだが、先手必勝という言葉は間違っていない。
上手く立ち回れば、ヒットアンドアウェイの要領で勝ち抜ける。
一方後者はほぼ不可能に近い。
主催側にどうすれば辿り着けるのか、それすら解明できていないのだ。
まだ問題はある。
殺し合いに乗ろうとする者も間違いなく存在する筈だ。
それらをいちいち相手取り、倒していくなど手間が掛かりすぎる。
結果的に、『呪縛』を解けるかも怪しい。
それが一番の問題だろう。幾ら戦おうと、最後に足枷が邪魔をする。
ソウルジェムを破壊されなければ死なない、なんて戯言は通用しない。
――――――殺し合いに乗る。乗った上で、勝ち抜き元の世界に帰る。
ふふっ、とほむらは柄でもなく笑った。
それは殺し合いに乗ることの容易さへの皮肉の笑いか。
もしくは絶望の果てに見せる諦めの笑いか。
―――――否。
――――――――――これは、主催者に対する嘲笑だ。
「馬鹿げているわね……生憎、人への疑心は強いのよ」
こと『契約』みたいなものに関しては特にね、と付け足した。
暁美ほむらは、殺し合いに乗る方が容易だと確かに考察した。
だがそれは、主催側の言葉が全て真実である場合に限る。
信用できない。
仮に勝ち抜いたとしても、『呪縛』がある。
これが残っている限り、主催の言葉は何一つ信用するに値しない。
自分たちに不利益な願いを告げられたなら、奴等は平気でこちらを殺す。
『願いの成就』に騙された魔法少女は信じない。
デイバックを開ける。中身は既に確認済みだが、ここで改めて手に取る。
M4カービン。
使い慣れた銃器の感覚に、再び闘志が沸き上がってくる。
弾丸を込め、フォームを確認。不格好でも別に構いはしないのだが。
「(待っていなさい悪魔共。貴方たちの下らない計画なんて――――)」
M4カービンを片手に持ち、歩きながらほむらは心の中で主催者に告げる。
「(――――――殺して解して並べて揃えて晒してやるわ)」
全く別の人間の殺し文句を吐き、彼女は歩いていく。
その先に待つ戦いにも、無意識下に覚悟を決めて。
□
それは、殺伐とした光景だった。
一人の青年がドレス姿の少女の額に銃を突きつけている。
少女はどこか悟ったような表情でただ青年の顔を見上げている。
青年の名前は相川友。
10年前に、バトルロワイアルから生還を果たした『経験者』。
彼は歪んでしまっている。殺し合いに乗る者を殺す、それが彼だ。
『マーダーキラー』。
今回の殺し合いでもその考えは一切変わっていない。
だが、だとすれば解せない。彼が今少女に銃を向ける理由は無いのだ。
その証拠に、少女は武器を持っていない。
傍から見れば、相川が悪人。
少女には、一切相川友に勝つためのカードが無い。
いや―――――あることにはあるが、この局面では使えないのだ。
チェックメイト。
「………残念ね。私は殺し合いに乗っていないのだけれど」
「残念だな。お前は少し別だ。余りにも危険すぎる」
相川の目は本気だ。
お前は危険すぎる―――――と、もう一度呟く。
撃鉄を起こし、引き金に添えられた指に力が入っていく。
『死』。DEAD END。終わり。色々な言葉が頭を支配する。
だから、ここで彼女が現れたのは本当に奇跡だった。
「―――――何をしているの、貴方」
相川の注意が一瞬逸れ、声の主の方に意識が向けられる。
だが、その次の瞬間だった。
相川友の『声の主』を見る目が、明らかな憎悪の色に変わっていく。
『殺し合いに乗った者』に向けられるより更に強い、殺意の瞳。
それに気付いた『声の主』――――暁美ほむらもまた、冷たい瞳に変わる。
相川の手に握られていたベレッタM92が。
ほむらの手に握られていたM4カービンが。
――――互いに向けられ、殺し合いが始まった。
【深夜/A-5】
【暁美ほむら@
魔法少女まどか☆マギカ】
[状態]健康
[所持品]M4カービン@現実、不明支給品
[思考・行動]
0:バトルロワイアルを潰し、主催者を討つ。
1:目の前の男を倒す。穏便に済まないようなら容赦しない
2:まどかと合流しておきたい
3:美樹さやか、巴マミには注意しておく
※11話、ワルプルギスの夜との対決直前からの参加です
※時間停止は約二秒まで、時間逆行は使用できません
【相川友@非リレー型バトルロワイアル・リピーター】
[状態]健康、暁美ほむらへの敵意
[所持品]ベレッタM92@現実、不明支給品
[思考・行動]
0:殺し合いに乗る者を殺す。
1:目の前の少女を出来る限り無惨に殺害する。
※
DOLバトルロワイアル3rd参加時の参加時期からの参加です
◇
さて。血生臭い殺し合いが始まる中、ドレスの少女は逃走を済ませていた。
そこはさすがの手際。『暗部』の人間なだけある。
彼女の名――――仮の名は『心理定規(メジャーハート)』という。
何故相川友の殺意の矛先が暁美ほむらに移り変わったのか。
それは彼女の持つとある能力を用いたからであった。
『心理定規』。一人の人間の、特定人物との心の距離を操作できる。
制限により自分に対する感情の操作は出来なくなっているが。
他人の場合なら二時間のインターバルはあるが、使用することが可能。
先の状況では、相川友の暁美ほむらに対する心の距離を『最も憎む相手』にまで引き上げた。それにより二人の戦いを誘発し、自分は逃走したというわけだ。
彼女の求めるのは殺し合いの打倒ではない。
垣根帝督と共に殺し合いから脱出し、学園都市に帰還する。
その為に狂わせる。
ただ一つの目的の為に、全てを欺き狂わせて。
【心理定規@とある魔術の禁書目録】
[状態]健康
[所持品]不明支給品
[思考・行動]
0:垣根帝督とバトルロワイアルから脱出し、学園都市に帰る。
1:邪魔者には適当に踊ってもらう。
2:人殺しは厭わない。しかし不意打ちや暗殺に限る。
3:一方通行には注意する。
※15巻、垣根帝督が一方通行に敗北する前からの参加です
※『心理定規』については、自分への印象を操作することはできません。
※他人に使用した場合、二時間のインターバルが発生します
最終更新:2011年11月25日 08:35