漆黒の宴は飛沫と共に

ーーーーーまっくら。それが私の最初に抱いた感覚だった。
私は今、教会の礼拝堂のような場所に居る。
何故だかもう一度生を与えられて、私はここにいるんだ。

私の名前はアイリスフィール・フォン・アインツベルン。
『聖杯の器』のホムンクルスにして、とある神父に殺害された。
それからどうなったのかは私には分からない。覚えているのは私の中に、とてもとてもたくさんの黒い『何か』が流れ込んできて、苦しくて苦しくて仕方無かったこと。
でも、確かに私は死んだ。

最愛の夫・衛宮切嗣に聖杯を託して、最悪の敵に殺されたはず。


「ーーーーーやあ諸君。目は覚めたかな」


教会のホールに、突如一人の男のシルエットが現れた。
先ほどまでは確かに居なかったのに、今『彼』は確かに此処にいる。
間違いなく。成長こそしているが、あの面影だけは忘れられない。
忌まわしき宿敵。自分を殺した男。

「………………言峰、綺礼………………!!」

壇上の男・言峰綺礼は、私の言葉を黙殺して満足そうに口元を歪める。
光彩の消えた瞳が、余計に不気味だ。

この男の危険性はよく知っている。
肉体的にも驚異的な能力を誇るが、その思想もまた気味が悪い。

何より私と、他の大勢の人たちの首に巻かれた黒い首輪。
時折点滅しているけれど、これが機械仕掛けのものだとは分かる。
切嗣が使っていた時限爆弾も、こんな点滅をしていた気がした。

「君達には、望みがあるか?命を賭してでも叶えたい望みがあるか?」

何を言っているのだろうか。
望み?私の知る言峰綺礼という男は、望みを持てずにいた筈だ。
なのに、この男が何故笑みながらこんな質問をする?

何かが、まずい。

「君達にはそれを叶えるチャンスをやろう。ただし、一人だけに」

一人だけ。他者を蹴落とす。
聖杯戦争に似たものを感じた。そして程なくして、それがどれほど危険なことかに気付く。
殺し、合い?

「君達にはこれから、殺し合いをして貰う」

ざわざわざわざわざわ!!
唐突に言い放たれたその言葉に、人々がにわかにざわめき出す。
ある者は怒り、ある者は悲しみ、ある者は困惑の色を浮かべていた。
そして、一人の少年が綺礼の前に躍り出る。

「ーーーーーー気に喰わねえな。ド腐れ外道神父」
「おっと、申し遅れたな。私の名前は言峰綺礼と云う」
「知るか。今からてめえは俺に殺されるんだからなぁ!!」

少年の手には大きな武器。
俗に言うハルバード。扱い易い武器では無いが、少年の扱い方は素人ではないようだ。
綺礼はその気迫を涼しい顔で眺め、またにやり、と不敵に笑んで見せた。
綺礼は確かに超人だ。私と舞弥さん二人がかりでも敵わなかった。
しかし、ああも余裕でいられる訳がない。
何しろ、この場の全員が同時に襲いかかるかもしれないのだから。

「死ねや外道がぁっ!!」
「ふむ………残念だな、君はどうやら不合格だったらしい」

ピィーーーーーー、バァン!!

乾いた電子音の後に、少年の首が宙を舞っていた。
やはり。やはり、この首輪は爆弾だったのだ。
綺礼は首の無い死体を見下ろして楽しそうに微笑んで言った。

「君達の反逆防止といったところだ。御容赦願いたい」

やっぱり、この男は狂ってる。
私は、心の底からそう思った。


「さあ、賞品は己の願望を叶える権利!今宵は存分に殺し合って頂こう!!熱い戦いも良し、暗殺謀殺もまた然り。ではーーー良いバトルロワイアルを」


【野田@Angel Beats!】  死亡
【残り50/50人】

【二次作品バトルロワイアル   開幕】

【主催者:言峰綺礼】



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最終更新:2011年11月27日 11:01
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