力無き参加者がまず目指すだろう場所・軍事施設。
数多の銃火器が備えられている施設の外で、一人の男が怒りを露にしていた。
「………ふざけたpartyだぜ」
彼―――『奥州の独眼竜』こと伊達政宗は、素直に怒っていた。
戦国乱世の真っ直中から参加させられた戦国武将・伊達政宗。仮にも一国を納める者にとって、仲間を放り出してこんなところに呼びつけられるのは気に食わなかった。
しかもその内容もまた、悪趣味かつ下劣極まりない最低のもの。
「ナメやがって――――外道が、てめえは俺が叩き斬ってやるよ」
静かに、しかし全てを震え上がらせるような冷たい声で告げる。
『てめえ』とは、この
殺し合いを運営する異常者共だ。
彼女らは不躾にも150人近い人間を集め、殺し合えなどと宣った。
そして、反逆を示した根性のあるチャイナ服の少女を惨殺した。
政宗にとっては、今まで見てきた外道たちと同じ、それ異常にさえ見えた。
尾張の第六天魔王・織田信長やその家臣の明智光秀。
彼らに抱いた敵意と嫌悪を、年端もいかぬ少女に容赦なく向ける。
「さぁて行くぜ――――Let's party!!」
主催者への明確な反逆の意志を示し政宗は叫ぶ。
奥州筆頭伊達政宗は、猛る。
□
「殺し合いか………ふむ、悪くはない話だ」
時代を錯誤したような袴姿に、腰まで伸びている蒼い長髪。凛々しい顔立ちに長身な体駆の『侍』はそう呟くと不敵な笑顔を見せた。
万能の願望器『聖杯』をめぐる戦いの中で敗北し命を落とした筈が再度生を与えられ、挙げ句殺し合いなどに呼ばれたことにはさすがに少々理解し難かった。しかし、一人の侍である彼にとって、この殺し合いは悪くない宴だった。
強者との戦いを求める侍・アサシンのサーヴァント『佐々木小次郎』。
この殺し合いでなら、彼を奮い立たせるような猛者と剣を交えられる。
即ち、彼の望みは既に叶ったも同然なのだ。
「(常世に未練はないが、どうもこの身は神に愛されているらしい)」
アサシンは神様とやらが自分を愛しているとしか思えなかった。
二度の死を越えて尚、強者との戦いが自分を待ち受けるのだ。
たとえ地獄に落とされようと構いはしないが、その分暴れよう。
戦いを求む剣士を奮わせる魅力的な宴を、精々楽しむとする。
彼は、この喜劇の役者になることを決めた。
「では、遠慮なく愉しませて貰うとしよう」
先ずは剣か刀が無くては始まらない。
デイバックの中から取り出した一本の刀を視認したその時―――。
「Hey!!そこのアンタ!!」
「………?」
戦いの火蓋は早くも切って落とされた。
■
バトルロワイアルを潰し、主催者を討伐する意志を固めた政宗。
その彼は今、支給された一本の刀を持って情報収集に赴いている。
誰でもいい、バトルロワイアルについての手がかりさえ見つけられれば。
実質アテなど無い、不明瞭な何かを求めていただけ。
しかし、それが幸か不幸かアサシンを発見することに繋がるのだった。
片腕には一振りの刀が有る。
アサシンは暗殺者にありながら不意討ちという行為を行わない。
だが政宗には分かった。発見した男が相当―――否。神代の手練れだと。
先手を打つに越したことはない、政宗はそう思って声を掛けた。
「アンタ、このDeath Gameには乗っているか?」
「乗っている――――但し、求めるのは強者との戦いのみだ」
物静かな応答だったが、そこには政宗への確かな興味が篭っていた。
政宗が相当の手練れだとアサシンの目は見抜いていたようだ。
不意討ちを仕掛けてこなかった―――なら、殺し合いには乗っていない。
姑息な手を用いない相手。
「OK………闘る気って訳か」
伊達政宗の目付きがキッと鋭くなる。それはまるで本物の竜のように。
眼帯の剣士。アサシン―――佐々木小次郎には、心当たりがあった。
三日月の付いた兜に眼帯。この特徴的な風貌、一人しか思い当たらない。
彼が生まれるより僅かに前に乱世を駆け抜けた蒼き竜。
想像よりも大分奇抜な人物だったが、小次郎の心を躍らせる。
「まあそうなるな―――――貴殿、相当な手練れと見た」
小次郎はにやり、と不敵な微笑みで政宗の敵意を迎え撃つ。
こいつ、やっぱり只者じゃねえ―――政宗もまた心中で呟いた。
相手として不足無し。互いにそう結論付ける。
「さて。ではそろそろ始めるとするか?蒼き竜」
「俺のことを知ってんのか――――上等。じゃあ一丁派手にいくか」
ExcitingなParlyをよ、と口火を切り、冷たい緊張が空間を支配した。
青き侍と青き竜。
本来の歴史では有り得ぬ、二人の武士(もののふ)の衝突。
殺し合いとはいえ、両者共に誇りを持つ剣士。
「奥州筆頭、伊達政宗――――――――――――――」
「アサシンのサーヴァント、佐々木小次郎―――――」
闘志と武士の笑みが交差した。
「「―――――推して参る!!」」
激突。
凄まじい金属音がして、二つの『あお』が衝突した。
素人なら目で追うことさえ難しい高速の剣戟が繰り出されては止められる。
地に罅が走り、大気が互いの得物の衝突の度に悲鳴をあげる。
二人の得物はどちらも相当の代物だ。政宗の持つは『デュランダル』と呼ばれる伝説の剣。対して小次郎の持つは奇しくも彼の『右目』の愛刀。どちらも業物であることに変わりはないのだが、政宗のデュランダルの方が僅かに上回る。
しかし、小次郎はサーヴァントだ。
聖杯に選ばれた英霊。その取った武器もまた、魔力を帯びる。
二人の剣士は打ち合いの中同時に悟る。
"この戦い――――武器の優劣など些事に過ぎない"
「どうした独眼竜。押されているのではないか?」
「言ってろ、アンタこそ剣の威力が弱っちいんじゃねえか!?」
どちらの言うことも間違ってはいない。
伊達政宗は剣を交える内、眼前の侍の恐ろしさを感じ取る。
何と言っても速い。
その斬撃の速度は政宗のそれを明らかに上回っている。
佐々木小次郎も同じく、伊達政宗が『竜』と称される理由を理解した。
一撃長々と防御に徹していては小次郎が敗北することは目に見えている。
ならば、より手数を増やして圧倒するしかない!!
高速の佐々木小次郎と重撃の伊達政宗。
互いに一歩たりとも譲歩する気はない。
「ハッ………アンタ、最高にCoolだ……だからこそ面白ぇ!!」
蒼い気のようなものを纏う政宗。小次郎はそれを見て感嘆の息を漏らす。
魔力は感じない。この男が英霊の類でないことは確かだ。
しかしこの蒼き闘気。これはただの人間に出せる物ではない。
彼はいずれ、サーヴァントになり得る逸材だ。
自分のような半端者よりよっぽど聖杯に相応しいだろう、と彼は思う。
だからこそ、だ。
この男には、持てる全ての力を以て引導を渡さなければならない。
真上に跳躍。宙返りのような動きで政宗から離れた場所に着地する。
「独眼竜伊達政宗。貴殿との戦い、我が奥義にて幕を下ろさせて貰う」
佐々木小次郎の持つ刀が、月の光を浴びて鈍く煌めく。
不味い。何かが不味いと、政宗の中の何かが警鐘を鳴らす。
今までに、尾張の魔王と戦った時とは別の、経験したことのない感覚。そうだ。あれが純粋な『恐怖』と『嫌悪』なら今の感覚は『震え』。一撃が重い。故に疲労する。
武者震い。誇り高き武士の、最上の興奮。
この肉体を震わせる得体の知れない感覚は、喜びに近いのだろう。
迎える。眼前の侍の究極の一撃を、竜の究極の一撃で迎え撃つ。
「上等だ!!来やがれ、侍野郎が!!」
「秘剣――――――――――――――――――――」
佐々木小次郎のシルエットが揺らぐ。
之より攻め入るは全てを喰らい尽くす蒼き竜の巣穴。
竜の鱗を剥ぎ落とし、その尾を切り離し、最後に頭を叩き割る。
飛ぶ燕を両断した伝説の秘技にして剣戟の極地を、解き放つ―――!!
「――――――――燕返し!!」
風が、吹き抜けた。
■
「これは手厳しいな」
佐々木小次郎の腹から、鮮血が迸っていた。紅く紅い、血が。
地に片膝を付き、額に脂汗を浮かべて自分に一太刀入れた蒼き剣士を見る。
ただ、立っていた。追撃を加えようにも、彼の体もまた限界らしい。
その内ぐらり、とそのシルエットが揺らぎ、うつ伏せに倒れ伏した。
さて、と呟き、佐々木小次郎――――アサシンは夜空を見上げた。
月が美しいことだけは今も昔も変わらぬな、と場違いなことを言う。
そして、彼は仰向けに倒れた。
意識は残っていたが、猛烈な睡魔に襲われている。死の間際、なのか。
走馬燈は見えない。ならばこれは死に際ではないか、と彼は呟く。
そして、薄れてゆく意識の中で一言、確かにこの世界に告げた。
「常世とは良きものだ――――やはり、まだこの命を散らすには惜しい」
そうこの世界を讃え、静かに意識を失った。
◇
しかし。ここで彼らの物語は終わらない。
幸運にも彼らには救いがあった。しかも救いをもたらすのはただの、何の力も持たない少女。戦国武将の力強さも、侍の速さも、英霊の高貴さも持たない。
慌てて倒れている二人に駆け寄り、支給されたとある物を惜しげもなく使う。
『月の石』。
触れた箇所の傷を癒すという不可思議極まりない物質。
英霊であるアサシンの傷さえ癒す、まさにこの世の外の理を持つ。
二人の顔色が見る見る良くなっていき、少女は安心したように微笑む。
「よかったぁ~。死んじゃってたらどうしようかと思ったよぉ~」
彼女は何の力も持たない。
だからこそ、二人の武士を救うという結論に至った。
彼女の名を、神北小毬という。
【深夜/D-6】
【伊達政宗@戦国BASARA】
[状態]気絶
[所持品]デュランダル@とある魔術の禁書目録
[思考・行動]
0:殺し合いの打倒。
1:………
※アニメ版第一期終了後からの参加です
【アサシン@Fate/stay night】
[状態]気絶
[所持品]片倉の刀@戦国BASARA
[思考・行動]
0:強者と戦う。
1:………
※Fateルート、死亡後からの参加です
【神北小毬@リトルバスターズ!】
[状態]健康
[所持品]月の石(残り一個)@金色のガッシュ!、不明支給品
[思考・行動]
0:殺し合いなんて良くないよねぇ~。
1:理樹くんたちを探そう
※小毬ルート後からの参加です
最終更新:2011年12月09日 14:10