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怪物

 発電所はごうごうと動いている。中で働いている物は誰もいない。強いて言うなら機械であった。
 この殺し合いの場でも電気は供給されていた。だから電灯も付くし電子レンジで爆弾だって作れる。
 全自動で動く発電所であるから誰も監視はしていない。監視カメラはあるがただそれだけだ。警備会社も何もない。
 それは人気のない海岸にあるため化け物のようにも見える。巨大な鉄の化け物だ。
 もちろんそれは本物の化け物ではない。代わりに本物は発電所の前にいる。
 全身鋼鉄の男。鉄男だ。

 彼の本名はアンソニー。彼の殺し合いでの目的は前と一切変わらない、ヤツを殺す、というものだった。
 ヤツは自分の息子を殺した。自動車で躊躇なく臆面もなく殺した。妻でさえも人質にしている。
 だがここには妻のゆり子はいない。殺せる。この手で必ず、ヤツを殺す。
 「鉄男計画」で人間凶器と化した彼だ。そんなことは造作もないだろう。
 名簿には丁寧にも「ヤツ」と書かれていた。ならばヤツだ。
 復讐、暴走、憤怒。この三つが彼の体を駆け巡っている。実際の肉体は蒸気が吹き荒れていた。
 支給品はホイップクリームで包まれた菓子だった。だが今はこんなものは受け付けない。すぐにそれを投げ捨てた。
 体が機械と化した今、普通の食料は必要としないのである。

 一方にまた怪物はいた。いわゆるイケメンで天使のような青年でコートを着ている。
 しかし彼は自分の妨げとなる者はすべて殺す殺人鬼であり、人気英語教師でもある。
 主な経歴は理想の王国を作るためクラスをたて、そしてクラス全員を殺害したことだ。
 生まれ持ったサイコパス。名前は蓮実聖司。彼は双眼鏡越しにアンソニーを見ていた。
 この殺し合いで蓮実は保身のため、優勝を目指すことにした。支給品は首輪探知機と双眼鏡。逃げるのには最適である。
 自分の知り合いが一人もいないため首輪を表す赤い光の方向をたどり双眼鏡で見ていた結果、彼を見たのである。
 主催の時点からおかしいとは気付いていたがこの殺し合い、人間ではない者、そして並外れた力を持つものがいるらしい。
 運動神経、頭脳ともによい彼でもあくまでも人間の域。格闘家と素手で戦えば五秒で倒される。
 だから今回は待ちしかなかった。彼はこのゲームにはバランス調整のための武器が支給されていると読んでいたからだ。
 そうじゃなければ殺し合いが成立しない。一方的な殺戮など何が楽しいであろうか。それも見ていてである。
 その武器を盗むかなんなりかでなんとかするしかない。現在、周りにいるのはあの怪物一匹である。彼はこちらを見ていないので気にする必要はなかった。
 蓮実はそっと背を向けて、探知機の画面を見ながら歩き始める。

 双方の怪物は背中を向けあい、歩き始める。
 一人は復讐、一人は保身。
 正反対な二人だが怪物というくくりなら同じなのだ。
 いや、この場に渦巻く狂気という怪物が一番なのではあるが。

【一日目/深夜・晴れ/発電所(周辺)】

【アンソニー@鉄男 THE BULLET MAN】
【状態】健康 鉄男状態
【装備】なし
【道具】通常支給品
【思考】基本:ヤツを殺す。
※ヤツに妻を人質にされたころに参加です。

【蓮実聖司@悪の教典】
【状態】健康
【装備】なし
【道具】首輪探知機@バトルロワイアル 双眼鏡@現実 通常支給品

※ホイップクリームが乗った菓子@イングロリアス・バスターズは捨てられています。


【ホイップクリームが乗った菓子@イングロリアス・バスターズ】
なんかおいしそうな不思議な菓子。ハンス・ランダはうまいと言いながら煙草を皿に押し付けた。

【首輪探知機@バトルロワイアル】
首輪から発信されつ電波をキャッチし、半径15m以内にいる参加者の位置を知ることができる。
みんなの死亡フラグ。拡声器ぐらい死ぬ。蓮実先生が死ぬかはわからない。

【双眼鏡@現実】
双眼鏡の一種。元々はオペラを見るために作られた。バードウォッチングの必須アイテム、かも。

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最終更新:2011年12月28日 13:56
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