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芸術家の独白

さて。突然ですが僕は芸術を敬愛している。
《万能の天才》レオナルド・ダ・ヴィンチのように歴史に名を残す偉人の物も大好きですが、素人の描いた独創的な絵画や彫刻も味があって大変素晴らしいと思うね。
中学生の絵なんか、大抵自己の世界を投影しきれていないおざなりなものなのですが、そんな中にも素晴らしい原石が紛れているのかもしれないよ。
かのゴッホでさえ、始まりはたった一色の絵の具だったんだから。
芸術は人それぞれの感性ですから、その人が良いと思った絵画ならそれも立派な芸術だ。
私はそういった、人の感性というものが凄く興味深いと思うんだよね。
芸術そのものよりも、そちらの方に惹かれていると言っても間違ってはいないかもしれないなあ。
人間の人生ってものはどんな絵画よりも素晴らしい、まさに至高の芸術――それが僕の持論。
一万の色を使っても、どんなに高い筆とキャンバスを使っても、十年の時間を掛けても、描けない。
描けない、作れない芸術なんてものを、僕達は一生を掛けて完成させるんだよ。
それってさあ―――なんて、美しい行為だろうね?
持った筆も絵の具も千者万別、与えられた時間だって公平な訳じゃない。
三桁を超える年数を与えられた芸術家もいれば、一桁しか与えられない芸術家だっている。
そりゃあ100年も掛けて製作した作品は素晴らしいだろうけど、だからって時間が全てじゃないだろ。
たった一年でも、最高の芸術は表現できる。

時間が全てじゃない。
長々とだらだら製作された作品よりも、短い時で鋭意製作された作品の方が美しいことだってある。
今時の若者を見れば明らかじゃないかな、与えられた時間を無駄にして呆けた面を晒してるんだ。
勿体ないよねえ、許せないよねえ。
言い忘れていたんだけど、僕がこの世で嫌いな人間は二種類居るんだ。
コミュニティスキルは結構高いこの僕に嫌われる人間なんて本物のクズばっかなんだよ?
死んだ方が良いとも思えない、だらだらと無駄に長い時間を苦痛に塗れて過ごして欲しいねえ。
で、そんなクズの条件は二つだ。
まず《芸術を理解できない人間》―――こいつは許せないね。
人の感性で作品の価値は変わるもんだけど、僕が言っているのは作品を批判したりする人間じゃないんだ。ピカソの作品を見ろ、あれほど感性に評価を左右されるような作品もあるんだ。そんなのにいちいち目くじら立てる程僕は小さい人間じゃないよ。




正直僕だって作品の批評はどうしてもしちゃうから、人の事言えない。
僕が言いたいのは、芸術に興味を持たない人間のことさ。
美術館に連れていったとして、そこを退屈に思うような人間はまさに生きる価値のないクズだ。

そして二つ目に―――《非凡なる人間》。
理由は簡単さ、僕が見てつまらないからだ。
非凡な、変革を求めずに生きているような人間は芸術家を騙る只の詐欺師だね。
そいつに与えられた時間を他の素晴らしい芸術家に分けてあげたいくらいだよ。
例えば、僕らが今巻き込まれているこの殺し合いゲーム。凄くナンセンスな、殺したくなるほどに僕の好みに合わない所業なんだけど……僕は目を瞑ることにしたよ。
だって、殺し合いだぜ?
そんなのどう考えたって普通じゃない。狂気の沙汰ってもんだよ。
だからこそ、それが人生という名の芸術にとってどれほどの素晴らしい変革をもたらすか。
ああああ、想像するだけでワクワクしてきたじゃないか。
恐怖も決意も狂気も、絶望も希望も!みんな人生を盛り上げる最高の要素に違いない!
そんなこのゲーム―――非凡なクズさえ、きっと素晴らしい芸術家にしてくれるだろうさ。

長々自己紹介してきたけど、そんな僕が殺し合いで執るのは。


「殺すよ。このゲームから生還したら、僕の芸術はきっともっと素晴らしくなるだろう」


そんなこんなで。
僕こと十上鈴音は、芸術の為にゲームに乗ることにした訳だ。



【深夜/C-1】

【十上鈴音《???》】
[状態]健康
[装備]なし
[所持品]支給品一式、ランダム支給品
[思考・行動]
0:自分の芸術をよりよいものにする為に優勝する。
1:他人の芸術も完成させてあげよう



【十上鈴音】
19才、女子大生。
美術科の学生で、芸術に対して異様なまでの執着を見せる。
一人称は《僕》だが性別は女。
人間の一生を《芸術》と評し、よりよい作品にするために死力を灌ぐ。

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最終更新:2012年03月04日 14:41
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