青齣、そして始まる

























































これはデジャブだろうか
過去の私を見ているかのようだ
赤と青の化学反応は、またしても俺の前に立ちはだかる
紫色の未来は、再臨した
あの女が願った時、同時におれの奥底で、錠の開く音が、短く聞こえた
そう、これはちょうど一年前のことだ
ぼくたちも、同じことをしていた気がする
結果どうなったんだっけ
覚えてないし、思い出せない
脳の奥底でもう一歩のところで引っ掛かる
思わず笑みがこぼれる、これは少女にか、自分にか
称賛の笑みなのが、侮蔑の笑みなのか、笑いなのか嗤いなのか
ボクにはやはりわからなかった
目の前に佇む、返事を待つ女を見ても、結論は出ない
ワタシは返事を返すのを待っている、だから返す

耽々と淡々と静かに厳かに
確認の意を込めて、乗り越えていけるかの調査を加え、疑問を投げる
聞こえる返事は、威勢のいいもの
そう、あの時の
いやあの時の何だろうか、わからない、思い出せない、まあどうだっていい

□青齣□

タイムリープ、タイムトラベル、タイムスリップ、タイムワープ、タイムトリップ、時間旅行
人類未開の地であり、永遠の夢であり、きっと今まで前例を見ない行為だろう
だが、私はそれを叶えるだけの力を持っていた
何故だろうか、ぼくは生まれた時から既にこの力を有していた
生まれた時には、こういう使命の上に立たされていた俺は、自分がわからない
悲劇のヒロインを演じたいわけでもないが、おれには既に未知の、異常な、支離滅裂な問答無用である能力を手に入れていた
それを、何故だか近視観の漂う少女にかけるのだという
どこか心が痛い、すでにぼくは腑抜けたことを言うことは許されざる行為だとは自覚しているけれど
未来を破壊する行為であり、現在を破傷させる行為であり、過去を破滅させる行為、タイムリープ
きっと神様すらを冒涜するであろう新定理をさながらシンデレラに登場する魔法使いのように、少女に託す
いいのだろうか
無論それでこの自らが有する、万能な異能を失うだとか、打ち負かされる、なんてことは起きるはずもないが
胸の中で躍る奇妙な不安は、滞ることなく渦を巻き続け、流れない
誰に対しての不安か、少女にか、はたまた自分にか
答えは出す前から明瞭だった
わざわざ口に出すまでもないほどまでには
覚えていないが、一つだけ言えよう
タイムリープとは、良くも悪くも劇薬だ、思い通りには傾かない
少女の瞳がオレを貫く、鋭く、まっすぐに
不気味な不安感を抱いた、抱いてしまった自分には、痛く突きささる視線だ


























































本編

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ジャンプ

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最終更新:2012年04月26日 21:58
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