5-1 Lovely? Angel
殺し合いなんて言っても、何をすればいいのか分からない。
人を殺すなんてことは、私にはできない。
私は弱いのだ、他人より強くなんかない。
だれよりも強くなろうとしても、なれない。
それがこの世で決まったことなのです。
母親に見捨てられても私は笑いました。
父親に死なれても私は泣きませんでした。
周りから人がいなくなった時だからこそ、強くあろうとしました。
「う、うぅ…ひっく……」
私は今、恐怖で泣いていました。
怖くて怖くて、誰も味方じゃないように見えて。
数少ない心を許せている、麗華ちゃんですら。
「誰かっ……助け……」
誰も助けてくれないでしょう。
生き残れるのは一人しかいないんですから。
親もいなく、明るく振る舞うことだけが取り柄の私の味方を誰がしてくれましょうか。
きっと、誰もしてくれないでしょう。
「狭山さん…だよね」
「ッ――――――――――!」
後ろから聞こえる声に大きく反応してしまいました。
声の主は誰か分かりました。
クラスで皆の相談役となっている、小林秀夫(男子五番)君でした。
態度は普段の彼と変わりません。
でも、私には彼も怪しく見えました。
「良かった、君なら大丈夫そうだ…誰にも襲われてないかい?」
「会ったのは、貴方が―――初めて」
「そうか…僕もだよ、ねぇ、丁度いいしさ、一緒に行動しない?」
「………い、いや」
私は口から言葉を出していた。
否定の言葉、人を怒らせる言葉。
小林君は、信じられないような顔をして私を見ました。
「なんで、駄目なんだい?」
「だって―――怖くて、怖くて」
「だったら一緒に行こうよ、二人の方が安全だ」
「嫌だ――――」
「チッ、ふざけやがってこのクソ女ァ!」
小林君は、私の背もたれとなっている塔をバンと蹴りました。
衝撃と砂煙のようなにおいが感じ取れました。
「ひ…」
「黙ってついてくりゃあいいものをよぉ!何が嫌だよアァ!?」
普段の彼からしたら信じられない声でした。
いや、これが本来の彼なのかもしれません。
ただ恐怖に参っているだけなのかもしれません。
でも、危険だということは分かりました。
「ついて来いって言ってんだろうが―――」
腕が掴まれました。
しかし、掴まれた手はどうなっているのか、すぐにはなされました。
ふと、自分の近くで気絶している小林君がいました。
目の前に立っていたのは―――――。
「何やってんだよ、小林―――!」
須藤凛君――――でした。
【残り 29人】
最終更新:2012年05月17日 20:24