4:死の淵から這い上がっても待つのは死
緑竜、アーネストは失敗した、と後悔していた。
どうやら自分の
スタート地点はラブホテルでは無く娼館らしい。
普通のラブホテルには無いようなマニアックな玩具や薬が置いてあった。
そして何気なく、香水かと思って開けた瓶が、かなり強力な催淫剤だった。
股間のスリットから暴走した愚息が飛び出してどうにもならない。
「畜生、何でこんな……駄目だ、トイレ! トイレ!」
アーネストは備え付けのトイレへ駆け込んだ。
「……あっ、あっ、あーーーー」
閉め切られた扉の向こうから竜の青年の嬌声が響く。
◆◆◆
「……何でだ」
黒牙はやり場の無い怒りに震えていた。
自分のマスターであり最愛の相手である
大木弓那共々
殺し合いに巻き込まれ、
殺し合いに則るより限られた時間を二人で過ごす事を選び、そして共に海に飛び込んだ。
筈なのに、再び生を与えられ、再び殺し合いをさせられる。
そしてこの殺し合いにも弓那は呼ばれている。
出会った二人は再び引き裂かれたのだ。
「何でだよ……! ふざけんな、畜生!」
ガシャアアン!!
備え付けられていた鏡台の鏡に怒りの拳を打ち付ける黒牙。
砕けた鏡で右手の拳が切れ、血塗れになるが今の彼は痛みより怒りの方が勝っているようだ。
この殺し合いの主催の一人の名前を呟く。
確か「以前の殺し合い」でも同姓同名の名前が名簿にあった気がするが。
「……いや、同じ奴だとしても別にどうでも良い、稲垣葉月、レックス……!
俺はお前らを許さない……弓那を見付けて、この殺し合いを潰す……そしてお前らを、殺す!」
以前の殺し合いでは生き延びる事を諦めてしまった黒牙だが、
今回は前回とは違い、主催者への明確な殺意と、殺し合いへの憎悪があった。
絶対にこの殺し合いを潰して、弓那と共に今度は生きて帰る、と、黒牙は心に固く誓う。
相も変わらず特殊能力は使用出来ないようで、当面戦うには自分の爪牙か、
支給された小型自動拳銃グロック36を使うしか無いようだ。
「前のビデオテープより全然言いけど、銃なんて扱った事無いな……文句は言えないか」
銃は不慣れだったが心強い武器である事には変わり無い。
装備を整え黒牙は部屋の出口へと向かう。
しばらく廊下を歩いた所で突然前方の個室の扉が開く。
「……!?」
黒牙は息を飲む。
それは中高生と思しき青髪の少女だったが、血塗れだった。
腹の部分から夥しい量の出血をしているのが確認出来る。
その腹を左手で押さえていた。
「ゴフッ……」
少女が大量の血の塊を吐き出す。
そして黒牙に気付くと、黒牙に向かって右手を伸ばす。
「た、助け、て……」
バタ。
少女は倒れ、血溜まりを作って動かなくなった。
そして少女が出てきた個室の中から、今度は若い飛竜が出てくる。
その手には血塗れの短刀が握られていた。
「……その子は、君が殺したのか」
「……」
飛竜は黒牙の問いには答えず短刀を黒牙に突き付ける。
その双眸には強い決意の色が見えた。
「俺は黒牙、君は?」
「……萩野直重」
「……直重君、君は、殺し合いに乗っているようだな」
「……」
「生き残るためか? それとも誰かのためか」
「……っ」
「誰かのためか」と言う一節に、直重が僅かに反応する。
その僅かな変化を黒牙は見逃さなかった。
「後者か……それは君の大切な人か?」
「……あんたに関係無いだろ」
「確かに……でも、聞いて欲しい、俺も、この殺し合いに大切な人が呼ばれている」
「……」
「俺はこの殺し合いの前にも殺し合いをしていた……君も、か?」
「ああ」
「……そうか。俺は前の殺し合いで、その大切な人と出会う事が出来た。
でも、生き残れないと絶望して、二人で心中したんだ」
「……!」
「でもどう言う訳か生き返って、また殺し合いだ。
折角出会ったその人ともまた離れ離れになって今度は生きて会えるかどうかも分からない。
理不尽過ぎる、こんなの無い、と、憤慨したよ。畜生って、な」
「……」
「……だからこの殺し合いを潰して、絶対その人と生きて帰るって誓ったんだ。
君が大切な人のために殺し合いに乗ると言う、その考えは否定はしない。だけど……」
ここで、黒牙の放つ殺気が一気に高くなる。
急激な雰囲気の変化に直重はたじろいだ。
「……君が俺の大切な人に手を出す可能性があるなら、俺はここで君を止める」
「……!?」
つい数分前とはまるで別人のように、殺気が段違いに濃くなっていた。
直重は気付けば震えていた。
言わば「蛇に睨まれた蛙」の状態、本能的な恐怖、と言う奴だろうか。
「う、あ、あああぁああぁ!!」
気付いた時には直重は情けない叫びをあげて、その場から逃げ出していた。
「……」
もう直重はいない。
黒牙は殺気を引っ込め、息絶えた少女に近付く。
開いたままの目を閉じさせた。
そして、少女の持っているデイパックを漁る。
死者の荷物を漁るのはかなり気が引けるが、死者に荷物はいらない。
そして出てきたのはゴルフクラブ一本。
少女は支給品を出す暇も無く襲われたのだろうか。
持っている銃の銃弾が無くなった時の予備武器として貰う事にした。
その後、少女の死体を適当な部屋のベッドに寝かせてシーツを掛けて安置する。
「行こう……」
悠長に事を構えていては今度は弓那に会えぬまま死ぬか、死なれるかになるかもしれない。
黒牙は娼館の出口を探し始める。
【中根玲奈@美女と野獣のオリキャラでバトルロワイアル 死亡】
【残り88人】
【早朝/B-5娼館三階】
【黒牙@
俺のオリキャラでバトルロワイアル】
[状態]右手に軽度の裂傷
[持物]基本支給品一式、自動拳銃:グロック36(残弾6/6 予備マガジン3個)、ゴルフクラブ
[行動]弓那と生きて帰る。そのために殺し合いを潰す。
[備考]原作死亡後からの参戦。萩野直重の名前と容姿を記憶。能力使用不可。
◆◆◆
「はあ、はあ、はあ……」
もうあの人狼の姿は無い、ここは娼館の一階エレベーターホールのようだ。
飛竜――萩野直重は乱れた呼吸を整える。
「あいつ……何なんだ……あの殺気、尋常じゃなかった」
直重は一度殺し合いを経験し、放送で姉貴分であり今回の殺し合いにもいる萩野美祐の名前を呼ばれ、
絶望し同行者の少女を強姦し殺害、その後自害した、と言う事を除けば普通の飛竜の少年である。
先程の黒牙のような、異様な殺気を放つ存在と対峙した事は無かった。以前の殺し合いでも。
「あんな奴がいるなんて、いやでも……美祐のために頑張るって決めたんだから」
前回の殺し合いでの経験から直重は殺し合いに抗っても無駄だと思うようになってしまった。
抗っても結局は絶望して死ぬだけ、ならば、最初から抗うような事はしない方が良い。
愛する人のために修羅になろうと直重は思った。
先刻は後れを取ってしまったが、今度こそ――――。
直重の死角から、紺色の狼が直重に飛び掛かり、その首に食らい付いた。
喉を食い千切る、と言う生易しい物では無く、直重の首そのものが千切れた。
鮮血がエレベーターホールを赤く染めた。
直重は何が起きたか分からなかったであろう。
紺色の狼――エルンストは血と肉片を吐き出し、直重が持っていた短刀――脇差を入手する。
「殺し合いなのにぼうっとするなんて、不用心だよ……一度、殺し合いを経験してる人ばかりじゃなかったかなぁ?
まあ良いか……マスターは、どこにいるのかな」
エルンストは血塗れの口を舌で舐めながら、マスター――神無月紗斗を捜すべく、その場を去った。
【萩野直重@俺得バトルロワイアル4th 死亡】
【残り87人】
【早朝/B-5娼館一階】
【エルンスト@
俺得バトルロワイアル4th】
[状態]健康
[持物]基本支給品一式、???、脇差
[行動]マスター(神無月紗斗)を捜す。出会った参加者は取り敢えず始末する。
[備考]原作死亡後からの参戦。
◆◆◆
「はぁ……はぁ……ああ……ん……いくらでも*精出来るぅ」
既に自分のいる娼館で二人の死者が出ている事など露知らず。
緑竜アーネストはトイレの中で催淫剤の効果に悩まされ続けていた。
【早朝/B-5娼館二階】
【アーネスト@
美女と野獣のオリキャラでバトルロワイアル】
[状態]催淫状態
[持物]基本支給品一式、???
[行動]お*んぽきもちいいよおおおおおお!!
[備考]原作死亡後からの参戦。
最終更新:2012年09月04日 22:30