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大海原に旅立てない船

11:大海原に旅立てない船

座礁したクルーズ船の操舵室にて、進藤能里緒は操舵士の気分を味わっていた。

「そ、そ、操舵士の、き、気分」
「ねぇねぇ」
「……」

女性の声に能里緒が声の方向に顔を向けると、竜人の同年代の少女が立っていた。
制服を着ているので中高生である事は恐らく間違い無い。

「操舵士ごっこしてんの?」
「……」
「面白い?」
「そ、そ、そ……そ、そこ、そこ、お、お……おもしろい」

酷くどもりながら能里緒は少女の問いに答える。
余りのどもりように少女は首を傾げたが構わず続けた。
一方の能里緒は同世代の少女に話し掛けられいささか緊張していた。
ただどもりはそのせいでは無い。

「私、武田有紀って言うんだけど、あんたの名前教えてよ」
「し、し……し、進藤、の、能里緒」
「のりおね。のりおって呼んで良いよね、私の事有紀って呼んでよ」
「わ、わ、わか、分かった」
「……随分どもってるけど、緊張してんの?」
「……ち、違う、お、おれ、き、き、き、吃音……」
「吃音? そうなんだ……」
「だ、だ、だから、お、おれ、と、は、は、話す時、い、いら、いらいら、す、す」
「大丈夫大丈夫別に気にしないって」
「ほ、ほ、ほん、ほん、本当?」
「本当」
「……あ、ありがとう」

生まれた時から吃音を患っている能里緒はそれが理由で虐められる事も少なく無かった。
それでも高校生となった今はそれなりに理解してくれる友達も多く出来てはいたが、
吃音が理由で虐められる事のトラウマが拭えた訳では無く、
能里緒は軽度の対人恐怖症にもなってしまっていた。
そして女性に免疫も無かった。

「でさあ、どうすんの、のりおはこの殺し合い
「の、の、の、のら、ない」
「私も殺し合いなんて乗らない! 馬鹿馬鹿しいし、あ、そうだ、支給品見せ合いしよーよ」
「ん……」

二人は支給品を見せ合う事にした。
それぞれデイパックを開けて支給品を取り出す。
能里緒はバスタードソード、有紀は突撃銃、64式7.62mm小銃だった。
剣と銃、能里緒も有紀も扱った事など無い。
当たりの部類に入る武器だが使いこなせるかどうかは別の話だった。

「良かったねお互い当たりでねぇ」
「そ、そ、う……だね」
「そう言えばのりおは誰か知り合いいる?」
「こ、こ、この、殺し合いに? い、いない」
「私一人いるんだよねぇ、彼氏」
「か、彼氏」
「加藤淳五郎って言うの、私と同じ竜人、ちょっと変わってるけど良い奴だよ」
「そ、そ、そう」
「んー、とりあえずこの船から出る?」
「わ、わか、わ……わ、わかった」

二人は座礁船から島に上陸するため出口を探し始めた。


【早朝/E-6座礁船】
【進藤能里緒】
[状態]:健康
[所持品]:基本支給品一式、バスタードソード
[思考]:武田有紀と行動。殺し合いはしない。

【武田有紀】
[状態]:健康
[所持品]:基本支給品一式、64式7.62mm小銃(20/20、予備弾倉2)
[思考]:のりおと行動。殺し合いはしない。淳五郎も捜す。



【進藤能里緒】 しんどう・のりお
17歳の高校生の少年。吃音を患っておりそれが元でイジメを受けていた過去を持つ。
対人恐怖症気味で引っ込み思案。

【武田有紀】 たけだ・ゆうき
18歳の緑竜人の少女。黒髪。胸は余り無い。
さばさばした快活な性格。加藤淳五郎と言う彼氏がいる。

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最終更新:2012年06月23日 23:10
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