1:自意識をきりきり痛めつける
木造校舎の古びた天井が、獣竜の青年、比良坂守治が意識を取り戻して最初に見た光景だった。
「……俺、どうしたんだっけ……」
ぼーっとした頭でぼーっと考える。
「……そうだ、俺、一回死んで……え……また
殺し合い……うわ……」
自分の置かれている状況が理解出来た所で、酷く落ち込む守治。
彼は、彼に限った話では無いが、別の殺し合いに参加させられ、命を落とした。
再び命を与えられたは良いがやはり殺し合い。
落ち込むのは無理も無い。
取り敢えず前回と同じくデイパックを開けて中身を漁る。
参加者名簿には見知った名前が幾つかある。
「浅井きらら」「浅井政喜」の二人は以前の殺し合いで行動を共にした。
「この二人捜そうかな……支給品は、何だ」
ランダム支給品を確認する守治。
出てきた物は、薪割りに使う手斧だった。
それを装備する守治。ふと窓の外に目をやる。
鉄棒や滑り台等が設置された小さいグラウンドが見えた。
「ここは学校なのかな」
室内の雰囲気――黒板や机、掲示物――からして外を見なくても学校であろうとは分かってはいたが。
ガラッ
「?」
突然教室の戸が開かれる。
一見すると雌と見紛うような容姿の青い竜の少年が現れた。
その手には非常に物騒な物が持たれている――PPSh41短機関銃。
竜の少年はその銃口をいきなり、守治に向けた。
「!?」
ダァン!
「うわあ!?」
銃声が教室内に響き守治の背後の窓ガラスが一枚砕けた。
「まっ、待って待って待ってちょっと、やめて!」
ダァン! ダァン!
「ひい!?」
少年は守治の言葉に全く耳を傾けようとしない。
「何だよこれ、サブマシンガンじゃないの? 弾が一発ずつしか出ないじゃないか……」
少年は何やら短機関銃に対し不満を言い始める。
視線が守治からずれる、好機だと守治は思った。
手近の机の上に置いてあった鉛筆削り、それを手に取り、少年に向けて全力で投げ付けた。
「があ!!」
悲痛な叫びをあげる少年。
鉛筆削りは見事に竜少年の頭部に命中し、彼は突然の激痛に頭を押さえ痛がる。
その様子に多少罪悪感を感じつつも、守治は窓を開けてグラウンドに飛び出した。
「ま、てぇえええええぇ!! にげるな! にげるなぁあ!!」
背後から聞こえる涙声の絶叫。
それを振り払うように守治は全力で走った。
「あうああ……えぐっ、えぐ……いたいよぉ……」
泣き始める竜少年――大谷裕次郎。
彼もまた一度殺し合いに巻き込まれ、命を落とした「殺し合い経験者」の一人である。
「どうして、どうしてどうして。
どうしてみんな僕を虐めるの……僕が何かしたの……」
普段の生活で雌に似た容姿、しかも同世代の少年より一回り以上も大きい陰部を持つ裕次郎は、
学校で性的な虐めを受け続けていた。
その上「以前の殺し合い」でも最初に遭遇したレオポルトなる茶色の変態雄人狼に、
性的な意味で弄ばれ、最後には殺害された。
そして、気が付けば再び殺し合い、その上、名簿には「レオポルト」の名前と写真もあった。
幼いとも言える少年の精神を参らせるには十分過ぎる、過酷では済まされない経験。
彼に、自分の命を奪った銃と同じ物が支給されたのは運命の悪戯だろうか。
「ああ、あああ、もういいよ、いいよ、みんな僕の事虐めるんなら、僕の事酷い目に遭わせるのなら、
僕だってやられっ放しじゃないよ、そうだよ……やられる前にやっちゃえば……」
僅かに裕次郎の表情に笑みが浮かぶ。
その笑みは明らかに正気のそれでは無かった。
裕次郎はPPSh41を装備し直すと、次の獲物を捜すため廊下に出た。
「……あ、これ弄れば連発になるんだ」
そして、PPSh41のセレクターにようやく気付いた。
【早朝/D-4分校内部】
【大谷裕次郎@
俺得バトルロワイアル5th】
[状態]精神崩壊寸前
[持物]基本支給品一式、短機関銃:USSR PPSh41(残弾68/71 予備ドラムマガジン3個)
[行動]やられる前にやる。
[備考]原作死亡後からの参戦。比良坂守治の姿のみ記憶。
◆◆◆
守治と裕次郎のやり取りを見てそそくさと校舎の裏から森へ逃げる参加者がいた。
灰色の猫獣人の少女、長谷川春香。
(サブマシンガン持っててしかもやる気になってる奴とは、関わりたく無いわ)
後ろを気にしつつ森の中を進む。
(ああでも、まさか生き返れるなんて……こんな事ってあるんだね。
前はゲームに乗ったけど……今回は……どうしようかな)
森の中を歩きながら、春香は「今回の殺し合い」における自分のスタンスを何にしようか考える。
【早朝/D-4分校裏手の森】
【長谷川春香@俺得バトルロワイアル5th】
[状態]健康
[持物]基本支給品一式、???
[行動]この殺し合いでどう動こう。
[備考]原作死亡後からの参戦。比良坂守治、大谷裕次郎の姿のみ記憶。
◆◆◆
雌の人狼、アルシオーネはとある民家の居間で寛いでいた。
「正人がいるのねぇ……うーん、後で捜そう……ちょっと頭の整理しないと」
畳の上に寝そべり天井を見詰めながらアルシオーネは思考を巡らす。
自分は死んだ筈――この殺し合いに呼ばれている自分の知り合い、下村正人も。
「以前の殺し合い」の中において、アルシオーネは下村正人なる青年と出会い行動を共にし、
そして二人共々殺害された。
その下手人をアルシオーネは道連れにしたがそいつはこの殺し合いにはいないようだった。
「あの
稲垣葉月とレックス……だっけ。あいつらが生き返らせたって事?
いや、レックスはともかく葉月は普通の人間っぽかったし……。
それに……うーん……」
思考を巡らせるアルシオーネ。
その時玄関の方から音が。
玄関扉が開く音に間違い無かった。
「! 隠れよ……」
部屋の中の押入に、アルシオーネは身を潜めた。
少しだけ隙間を開けて様子を窺う。
程無くして水色と白の毛皮を持った獣竜の青年が居間に入ってきた。
「はぁ…はぁ…」
竜青年は息を切らし、少し疲れているようだ。
卓袱台の前に座り、一息ついている。
(…危険人物なのかそうでないのか…今は判断出来ないなぁ。もうちょっと、様子を見よう……)
アルシオーネはしばらく竜青年の動向を窺う事にした。
すぐ近くに参加者が隠れている事など露知らず、竜青年、比良坂守治は走って乱れた呼吸を整えていた。
【早朝/D-4分校周辺の民家・池崎家】
【アルシオーネ@
エクストリーム俺オリロワ】
[状態]健康
[持物]基本支給品一式、???
[行動]正人を捜す。竜青年(比良坂守治)の様子を窺う。
[備考]原作死亡後からの参戦。居間の押し入れに隠れている。
【比良坂守治@
俺のオリキャラでバトルロワイアル2nd】
[状態]健康
[持物]基本支給品一式、薪割り斧
[行動]浅井きらら、浅井政喜を捜す。殺し合いはする気は無い。
[備考]原作死亡後からの参戦。居間にいるがアルシオーネには気付いていない。大谷裕次郎の姿のみ記憶。
最終更新:2012年09月01日 17:56