15:船の無い港なんて…
「ああ、船なんて無いかやっぱり」
稲垣里南はがっかりする。
とは言え予想はしていた事だった。
港に脱出手段になり得る船を残しておく筈は無いと。
それに地図の外も禁止エリアだとルール冊子にはあったので船があったとしても脱出等不可能だと言う事だ。
首にはめられた首輪をどうにかしない限りは。
「くそっ、どうしてこんな事になったんだ」
里南は大学に入ったばかりのごく普通の青年である。
従兄弟に獣姦モノのAVで有名な女優がいるのだがほとんど会った事は無い。
支給品はヌンチャク、確かに武器ではあるが、正直どこぞのアクションスターの真似をしろと言われてるような気しかしなかった。
しかし武器である事は間違い無いのでそれを装備して港を歩き回る。
すると獣人の女性と遭遇した。
一見虎種のようだが犬のような尻尾がある。混血だろうか。
「止まって」
そしていきなり刀を突き付けられた。
女性の口調は至って穏やかだったが、感じ取れる迫力は凄まじいものだった。
「乗って、ません」
「……ん、あたしは志村伊緒、名前は?」
「い、稲垣里南って言います」
「りなん? 変わった名前ね」
「まあ、良く言われますが……」
「……武器はそれ?」
伊緒が里南が持っているヌンチャクを見ながら訊く。
「そうですけど」
「……良い武器持ってたら渡して貰おうと思ったけど……じゃあこれで」
そしてあっさり立ち去ろうとした伊緒を里南は引き止める。
「ちょ、ちょっと待って下さい!」
「?」
「こ、殺し合いに乗っていないのなら、一緒に行動しませんか?」
「……生憎、誰とも馴れ合う気は無いの」
「ええ……でも……」
「じゃあ、頑張って生き残って」
「ちょ、ちょっと」
なおも食い下がろうとする里南を完全にスルーし、伊緒は歩き去ってしまった。
「はぁ……」
残念がっているからとも、安堵からとも取れる溜息を里南は吐く。
【早朝/E-1港】
【稲垣里南】
[状態]:健康
[所持品]:基本支給品一式、ヌンチャク
[思考]:取り敢えず殺し合いに乗っていない人を仲間にしたい。
【志村伊緒】
[状態]:健康
[所持品]:基本支給品一式、村田刀
[思考]:生き残る。
【稲垣里南】 いながき・りなん
18歳の大学生の青年。
稲垣葉月の従兄弟だが面識は殆ど無い。
至って普通の青年。別にエロ好きでも無い。従兄弟と同じで赤髪。
【志村伊緒】 しむら・いお
27歳の混血獣人(虎種と犬種?)の女性で、とある非合法カジノの用心棒をしている。
両親の離婚、母親の再婚相手からの性的暴行、母と再婚相手の無理心中、虐め等、過去は壮絶。
武芸に通じ銃器の扱いも一流。
最終更新:2012年07月04日 20:52