18:自責と罪悪
「来ないで! 来ないで!」
「待って、話、聞いて」
海が見える道路にて、エーレンフリートは遭遇した人間の少女に接触を試みていた。
だが少女は怯えており持っているナイフを振り回しエーレンフリートを拒絶する。
「誰も信じられない、信じられないよ! そうやって油断させて私を襲うつもりなんでしょう!?」
「ち、違う。俺、ただ、仲間を捜してるだけ…」
エーレンフリートは
殺し合いに乗っていない参加者を捜して仲間にしたいと思っているだけだったのだが、
少女の方にその気持ちは伝わらない。そもそも少女は精神的に非常に不安定な状態で、
エーレンフリートの気持ちを汲み取る余裕等持ち合わせていなかったのも一因であろう。
それでもエーレンフリートは話を聞いて貰おうと必死に少女に食い下がった。
「お願い、俺の話、聞い……」
「来ないでよっ!!」
少女がナイフを振り下ろした。
無論エーレンフリートを傷付けるのが目的だった訳では無い、威嚇のつもりだった。
だが故意でなくとも振り下ろした軌道上に物があればそれを傷付ける。
「ガッ!!」
「あっ」
ナイフの刃はエーレンフリートの額からマズル上にかけて斜めに切り込みを入れ鮮血を迸らせた。
「いっ、あ、あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!」
激痛に傷を押さえ悲鳴をあげるエーレンフリート。
その様子を見てようやっと少女は我に返る。
「あっ…ご、ごめん、なさい、その……」
「う、が、ああぁあああアアアァアアア!!!」
雄叫びをあげエーレンフリートは少女に体当たりした。
突然顔を切り付けられ逆上してしまったのだろう。
少女は身構える間も無くアスファルトの上に倒される。
その時、鈍い音が響いた。
単純に少女が路面に叩き付けられただけで鳴るような音では絶対に無い。
「……?」
今度はエーレンフリートが我に返る番だった。
少女は目を開いたまま突然動かなくなった。
そして後頭部の辺りから赤い血の水溜まりが広がっていく。
慌ててエーレンフリートが確認すると、大きな石が転がっていた。
「そ、そんな、俺」
顔を切られて思わず激昂したのは確かだ。
だがまさか倒した所に大きな石が転がっているとは思わなかった。
しかし、突き飛ばしたのは自分。
殺してしまったのは、紛れも無く自分――――。
「う、あ、あああぁああああぁあ!!!?」
頭が真っ白になったエーレンフリートは叫び声を上げ、その場から逃げ出した。
行く宛ても無くただ、闇雲に走った。
【渋谷貴美香 死亡】
【早朝/C-4海岸沿いの道路】
【エーレンフリート】
[状態]:錯乱
[所持品]:基本支給品一式、???
[思考]:うわああああああああああああああああ
【エーレンフリート】
16歳の魔狼種。紫色の毛皮。軽度の言語障害を抱えており上手く話せない。
基本的に大人しいが肉体的に傷付けられると激昂する事がままある。
【渋谷貴美香】 しぶや・きみか
14歳の少女。中学二年。特筆事項無し。
最終更新:2012年07月10日 18:44