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滴る鮮やかな朱

21:滴る鮮やかな朱

廃屋の中で、北川友敦は武器になりそうな物が無いかどうか探していた。

「電気シェーバーなんかじゃ戦えねぇよ、くそっ」

彼がぼやいている通り、彼の支給品は髭を剃るのに使う電気シェーバーだった。
当然武器にはなり得ない。
これから先襲われた際に何の反撃の手立ても無いのは無謀にも等しかった。
それ故、友敦は廃屋群の内の一軒を探索していたのだが、
床をぶち抜く、蜘蛛の巣が顔に掛かる、食器棚の割れたガラス戸で怪我をするなど、
ろくな目に遭っていなかった。

「何もねーよ……」

色褪せたポスター、何十年も前のカレンダーや新聞、傷んだ本が収められた本棚、
ペナント、黒電話等、生活感を感じさせる残留物は数多いものの、武器になりそうな物は見付からない。

「あん……これは、鎌、か……滅茶苦茶錆びてるんだけど」

やっと見付けた物は酷く錆びた鎌。
もし刺されば傷だけでなく破傷風の危険もあるだろう。
しかし、耐久性は期待出来ない。使い勝手も最低の部類に入ると思われる。

「無いよりマシか」

仕方無く友敦は錆びた鎌を持って廃屋の外に出た。

「!」
「あっ……」

そこで友敦は青い毛皮の人狼と遭遇する。

「何だお前…いつからいやがった」
「ま、待ってくれ、俺は殺し合う気は無いんだ」
「何だと……」
「俺は、森山秀偉って言う。とある富豪の屋敷で警備の仕事してるんだが…いや、それはどうでも良いな。
殺し合いから何とか脱出しようと思って、そのために仲間を探していたんだ」

森山秀偉と名乗った人狼は己の目的を友敦に伝える。

「…成程な、俺は北川友敦。森山さん、あんたの考えは分かったよ」
「北川さん、あんたは、この殺し合いには……」
「俺は……」

自分の考えを述べようとした時、友敦は秀偉の向こうに人影を確認した。
狼獣人の少女で、その手には――――!

ダダダダダダダダッ!!

銃声と共に、青人狼の身体が無数の銃弾で貫かれた。
青い毛皮が赤く染まり、その口からも赤い液体が溢れる。

「な……何、だ……」

それが秀偉の最期の言葉となった。
秀偉が地に伏した直後、狼少女、森内織舞は標的を友敦に変えた。
友敦は間一髪で秀偉を斃した銃撃を回避したが次も回避出来る自信は無かった。

「このっ!!」

黙って殺されるよりは、と、友敦は持っていた鎌を織舞に向けて投げ付けた。
鎌は激しく回転しながら、織舞に向かっていき。

ドスッ

「がっ」
「!」

織舞の額に刺さった。

「あっ……痛っ……ちょっと……何これ……あれぇ……」

織舞はしばらくふらつきながら状況を整理しようとしていたが、
やがて、地面に崩れ落ち、そして一、二回痙攣すると、それっきりもう二度と動かなくなった。

「……」

友敦はしばらく立ち尽くしていたが、すぐに我に返り、
まず秀偉の所持品を漁る。
しかし見付かったのはメリケンサックのみ。
舌打ちをした後、メリケンサックを放ると、次に狼少女の死体に近付く。

「サブマシンガンじゃねーか……こりゃあ良い」

織舞が装備していた短機関銃MAT-49を拾い上げ嬉しそうに笑みを浮かべる。
所持品を漁り予備の弾倉とピッケルも入手した。

「武器は確保出来たな」

まともな武装を手に入れ、一先ず安心する友敦。
そして今や物言わぬ屍と化した秀偉に向けて一言を放つ。

「ごめんな森山さんよ、俺は殺し合いに乗っているんだ。
だからあんたの考え聞かされても『へぇ』としか感じなかったよ……じゃな」


【森山秀偉  死亡】
【森内織舞  死亡】


【早朝/D-3廃屋群】
【北川友敦】
[状態]:右手に切り傷、足に軽い打撲
[所持品]:基本支給品一式、MAT-49(5/32、予備弾倉3)、ピッケル、電気シェーバー
[思考]:優勝を目指す。



【北川友敦】 きたがわ・ともあつ
ひったくりや自動車泥棒で生計を立てるDQN。20歳。
髪を金色に染めピアスやネックレスを着ける等派手な外見。
基本チャラチャラしているが浅慮では無く、意外と慎重になる時もある。

【森山秀偉】 もりやま・ひでたけ
青い毛皮の人狼種。24歳。とある富豪の邸宅で警備獣として雇われている。
格闘技に長けている。

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最終更新:2012年07月18日 04:48
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