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黒い狼と紫の狼

22:黒い狼と紫の狼

「ああ、困った困った」

古い神社の賽銭箱前に腰掛ける黒い毛皮の狼獣人の男。
その身体は警察官の青い制服に包まれている。

殺し合いなんて困ったなぁ……ん?」
「ハァ…ハァ…ハァ…」
「おっ、誰か来たね」

神社に来訪者が現れる。
参拝客では無さそうだ。
男――原田安教は息を切らしながら神社の境内にやってきた巨躯の狼と接触を試みる。

「どうかしたのかい」
「え…? ああ……あ」
「随分息切らして、誰かから逃げてきたのかな、狼君」
「……」

逃げてきた、と言えば間違いでは無いと、狼――エーレンフリートは思う。

「……殺した、俺、一人」
「へぇ……」
「殺す気、無かった、でも顔切られ、て、カッ、となって」
「そう言えば顔、怪我してるな……」
「……逃げて、きた、俺……ぐすっ……」

そこまで話すとエーレンフリートは目に涙を浮かべ嗚咽を漏らし始める。
安教は取り敢えず頭を優しく撫でてやった。
ただ、突然現れた相手の話を鵜呑みにする程、安教も不用心では無い。

(まあどこまで本当か分からないけど…もしかしたらこの狼君が嘘吐いてる可能性もあるし…。
だけど今は信じておこうか……)

狼は「殺意無き殺人」と言っているが実際はどうか分からない。
ただ例えそれが「故意の殺人」だとしても確かめる術は無く、尋ねた所で否定されるか逆上されるかのどちらかだろう。
見た所、急襲してくる様子は無さそうなので安教は一先ず狼を信じる事にした。

「……俺は原田安教、警察官やってる。君は?」
「…エーレンフリート」
「そっか、俺はこの殺し合い、どうにかして潰したいと思ってるんだけど…」
「…手伝って、良い? 俺、も」
「協力してくれるかい? それなら嬉しいな」
「あ、ああ、協力する! この殺し合い、潰す!」

エーレンフリートは安教の考えに賛同した。

「ありがとう。よろしく…ところでエーレン君、支給品は何だった?」
「俺? 俺は……何だろう」

安教に訊かれまだ支給品を確認していなかった事にエーレンフリートは気付く。
デイパックを開けて調べると、散弾銃が顔を出す。
予備の散弾も何発かセットになっているようだった。

「散弾銃か……ウィンチェスターM1300か?」
「説明書には、そう書いてある……」
「俺、三味線の弦だったんだよね……交換、してくれたら嬉しいな」
「分かった、どうせ俺、銃、使えない、交換しなくて良い、あげる」
「ありがとう」

基本的に四足歩行で物を持つのに不得手なエーレンフリートは、
支給されたウィンチェスターM1300散弾銃と予備弾を安教に手渡した。
その後、二人はどこへ行くか装弾を始めた。


【早朝/D-4神社】
【原田安教】
[状態]:健康
[所持品]:基本支給品一式、ウィンチェスターM1300(4/4、予備弾8)
[思考]:殺し合いを潰す。エーレン君と行動。

【エーレンフリート】
[状態]:顔に切創
[所持品]:基本支給品一式、三味線の弦
[思考]:安教と行動し殺し合いを潰す。



【原田安教】 はらだ・やすのり
28歳の黒狼獣人の警官。須牙襲禅の同期で、同じ署に所属し面識もある。
とぼけた性格だが笑顔で人を殺せるタイプで必要とあらば武力行使も厭わない。
両刀使いであり、受けも攻めもこなす。

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最終更新:2012年07月22日 00:38
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