――とっきーとの出会いは、今でも鮮明に覚えている。
あの教室で、私は人間としての尊厳を完全に放棄させられた。
小便と大便を漏らした。恐怖に負けて、そんな醜態を晒した。
結局私は自分の大便を食べさせられて、泣きじゃくって泣きじゃくって――そこで、とっきーが現れたんだ。
彼はヒーローだった。
いつだって、私を支えてくれた。
あの時の記憶がフラッシュバックした私は、遂に自傷行為に走った。
汚れてしまった場所を、全て消し去りたかった。
結論から言うと、私は自分で自分の歯を全て抜いたんだ。
だからこの歯は全部義歯で、本物の歯は一本もない。
そんな馬鹿みたいなことばかりを繰り返していた私を、とっきーは助け出してくれた。
彼がこんなところで命を落とすなんて許せない。
泉井先生が危ない人だとは思っていたけど、まさかこんなことまでする人だとは思わなかった。
クラスのみんなを――とっきーを巻き込んで。
彼が死んでしまうようなことがあったら、きっと私は壊れてしまうだろう。
……ううん、それは嘘。
私には自分から命を断つことなんて出来ない。
度重なる自傷行為の中でだって、自殺だけはできなかった。
死にたくても死ねない。
死ぬ勇気があったなら、私はとっきーに出会ってはいなかったんだから。
彼の将来を台無しにしてまで、助けてもらうことだってなかった。
結局のところ私は弱虫で、誰かに守られることでしか自分を保てない。
だから、こそ。
だからこそ、私はこの
殺し合いに逃げずに向かっていくことにしよう。
とっきーに胸を張れるように。
葵はこんなに強くなったんだって、言えるように。
デイパックに入っていたスタンガンを強く握り締めて、戦おう。
決意を胸に、私は歩き出す――。
……あ、その前に下着を取り替えないとなぁ……。
□
向日葵は、強さを求めて歩き出した。
今はその表情は希望に満ちている。
あくまで今は。
【深夜/C-3・市街地】
【向日葵/対主催:健康、下着に失禁の跡、スタンガン】
【向日葵】…黒髪のボブヘアー、身長は152cmと高校生にしてはやや小柄。排泄障害を患っており、過去にそれで重いトラウマを抱えている。歯は一本残らず義歯。緒方時宗に想いを寄せる
最終更新:2012年12月30日 21:29