男は殺し合いの場で笑っていた。
楽しむような微笑と、獣のそれのようにギラギラと光る瞳。
その表情からは恐怖などは微塵と読み取れない。
表情の奥にあるのは好戦的な感情だけだ。
男の名はロロノア・ゾロ。
超新鋭海賊団・麦わらの一味が戦闘員。
一億二千万ベリーの賞金がその首に賭けられた大型ルーキーである。
「へえ、ルフィとコックも連れてこられてんのか。まあ、あいつ等なら大して心配はいらねえか」
その手に握られているのは、殺し合いの参加者が記載されているタブレット端末。
タブレット端末の使用法は分からなかったが、適当に触っていたら勝手に灯りが灯った。
不思議な物があるもんだと感心しながら端末を見ると、そこには自身の名と二人の仲間の名が記されていた。
二つの名にゾロは少しも心配の念など感じなかった。
モンキー・D・ルフィとサンジ。
片や自分が認めた船長。
片やクソむかつく奴ではあるものの戦闘力だけとれば一級品だ。
どちらもこんな殺し合いなどでくたばるタマではない。
「さて、どうするか」
ゾロは首を回して周囲を見渡す。
気付けば自分がいたのは、暗闇の街。
殺し合いが目的の会場だ。いくあてなどある訳がない。
うだうだと考えるのも性に合わない。
取り敢えず周りを探ってみるかと、適当に考えながら歩き始める。
途切れることのない闇の中、彼の脳裏に過ぎるのは先の部屋で良く分からない事を語っていた男。
あの男は相当に使う。
あのような存在がゴロゴロといるのならば、成る程この殺し合いとやらは中々に楽しめるものになるだろう。
修行にはピッタリだ。
二年の修行を経た自分が、さらに高見に辿り着けるのならばそれは僥倖でしかない。
無論、無傷という訳にはいかないだろうが、それでも乗り越えてみせる。
この試練を乗り越えた先にあるのは、更なる強さ。
新世界へ足を踏み入れ始めた今、力はどれだけあっても十分ということはない。
そして何より、『最強の剣士』という夢に近付ける。
共に修行したのだ。あの『鷹の眼』の桁外れの強さは、自身が誰よりも知っている。
絶対に追いつき、追い越してみせる。
そのためなら、この殺し合いとやらも踏み台とさせてもらう。
どんな敵が相手であろうと絶対に負けない。
勝ってみせる。
(面白くなってきやがった)
心中に従うようにゾロの表情に浮かぶ笑み。
猛獣を思わせる、好戦的で楽しげな微笑み。
身体をうずかせながら、進んでいく。
ちょうど市街地が途切れ、暗闇の森林へと入ったその時であった。
彼は、他の参加者と出会う。
自分と同じように日本刀を腰に携えた女性。
右の目には眼帯が、左の目は凛とした力強さに満ちている。
その立ち居振る舞いには隙はなく、一挙一動に鍛錬の片鱗が伺える。
強い。
一目でゾロにそう思わせるそのいで立ち。
女性は、ゾロを見るなり口を開いた。
「ああ、そこの緑髪の男! スマンが少し手を貸してくれ!」
明瞭で溌剌な声で言った女性は―――己の右肩をもう一人の参加者に貸していた。
その人物は力なく頭を垂れ、手足も脱力仕切ってダラリと下げている。
現在の殺し合いという状況だ。
日本刀の女性に抱えられた者を見て、ゾロの脳裏に血生臭い予感が過ぎる。
「すぐそこで見かけれな。見つけた時には既にこのような状態だったのだ……」
近寄るゾロに女性は幾分の焦りの混じった複雑な表情で言い、己の肩に寄りかかる者へと視線を送る。
ゾロも女性の視線に促されるように見た。
肩まで伸びた茶色の髪。灰色のミニスカートに紺色のブレザーを纏っており、一目で女性だと分かる。
少し見た所では負傷の有無は分からない。
ゾロはもう片方側の肩を貸す。
それと同時に、見た。
その気絶中の参加者の表情を。
何がどうなってそのような表情へと至ったのか、ゾロでさえも驚愕する表情を。
「う~~~い~~~、ご~は~ん~」
両肩から、二人に挟まれるように抱えられた少女は、そう一言で言ってしまえば『寝ていた』。
ぐっすりと、呑気に、気持ちよさげに、寝ている。
それも寝言つきという完膚なきまでの熟睡模様。
日本刀の女性よりも、更に一回りほど若い少女だ。
その光景に、さしものゾロといえど言葉をなくす。
先ほどの殺し合い云々というエピソードが夢だったのではと思ってしまう程だ。
「……おい、殺し合いの会場っての知らねぇか? この近くでやってるらしいんだが」
「あー、さっきの場には私もいたぞ。ここが殺し合いの場だということも間違いではない。
ただ、こいつは男の言っていた『まだ目を覚ましていない者』らしくてな。現状を全く把握していないようだ」
思わず口からでた問いに、女性はやはり苦笑で返す。
確かに画面の男はそんな事を語っていたように思うが、それにしてもこの有様は……。
「ずいぶんと呑気な奴だな」
「同感だ。扶桑の撫子なのだ。もう少しばかり緊張感を有していて欲しいものだが……まぁ、仕方あるまい」
そんな少女に肩を貸しながら、女性はダッハッハと豪快に笑い飛ばす。
何だかんだで、寝坊助少女を容認しているあたり、この女性も相当なものだ。
叩き起こすでもして、何とかするのが普通である。
思わず気が抜けてしまう。
頭を掻きながら、ゾロは小さく溜め息を吐き身体から力を抜いた。
「……ロロノア・ゾロだ。お前は?」
「私は坂本美緒だ。こちらの寝坊助の名は分からん。街のど真ん中で寝ていたところを拾ったのだ」
「街のど真ん中でか……」
「ああ、見事な熟睡だったぞ」
再び溜め息。
数分前までの意気込みはとっくのとうに消えていた。
のんびりとした空気の中でゾロは質問を飛ばす。
「さっきの男について何か知っているか?」
「モニターに映っていた男だな。すまないがさっぱりだ。初めて見る顔だったし、名前にも聞き覚えはない」
「じゃあ、この名簿の中で知ってる奴は?」
「この宮藤芳佳という奴は私の部下だ。あとは知らない名ばかりだな」
「部下?」
「ああ。私と宮藤は、扶桑皇国海軍、そして501統合戦闘部隊『ストライクウイッチーズ』に所属しているウィッチでな」
美緒の言葉に、ゾロの目の色が変わった。
海軍。
ゾロが知るそれとは若干異なるが、確かに美緒の服装は海軍のものだ。
「お前、海軍か」
「一応はな。何だ? 軍属は苦手か」
「職業柄な。……まあ、俺の名に心当たりがないってんならどうでも良い」
僅かに警戒心をあげるゾロであったが、事態が事態だと考え直す。
自分の名を知らないようだし、ここで騒いで面倒を起こすよりは、知らぬが仏で現状を貫き通した方が得策だ。
「ロロノア。お前も珍しいな。ウィッチについてよりも海軍であることの方に食いつくとは」
「いや、そもそもウィッチてのが良く分からねえし」
「ウィッチを知らないのか?」
「ああ」
「ハーハッハ! お前は顔に似合わず面白い冗談をつくものだな!」
「お、おう?」
何故笑われたか分からずに首を傾げるゾロに、更なる笑い声をあげる美緒。
そして、美緒の肩の上でグッスリと眠り続ける少女―――平沢唯。
この殺し合いの場で偶然にも出会った三人。
海賊、ウイッチ、女子高生と、何とも色物な面子ではあるが、三人は出会ってしまった。
出会ってしまった以上、知らぬ存ぜぬで通り過ぎる訳にはいかない。
二人の剣士と、何も事情を知らずに殺し合いの場に参加させられた少女。
三人のバトルロワイアルは、このような出会いを経て始まった。
【B-2・市街地・深夜】
【ロロノア・ゾロ@ONE PIECE】
[状態]健康
[装備]和道一文字@ONE PIECE、三代鬼徹@ONE PIECE、秋水@ONE PIECE
[道具]支給品一式
[『色』]青色
[思考]
1:強い奴と戦いたい
2:適当にぶらつく
3:ルフィ達はまあ大丈夫だろ
【坂本美緒@ストライクウィッチーズ】
[状態]健康
[装備]烈風丸@ストライクウィッチーズ
[道具]支給品一式
[『色』]赤色
[思考]
1:面白い輩ばかりだな。ハーッハッハッ!
2:宮藤と合流したい
3:争いは止める
【平沢唯@けいおん!】
[状態]健康、熟睡
[装備]ギー太@けいおん! 唯の携帯@けいおん!
[道具]支給品一式、拳銃@現実(15/15)、拳銃の弾丸@現実(50/50)、サバイバルナイフ@現実
[『色』]赤色
[思考]
1:う~~~い~~~
最終更新:2013年01月21日 21:44