BLOOD DRAGON

7話 BLOOD DRAGON

浅井貴光は変電所入口の鉄扉を開けて中に入った。
現役で稼働しているようだが建物自体はかなり古い物らしく、煉瓦造りだ。
機械音がかなりやかましい。
現在は監視する作業員も誰もいない、部外者が入っても何のお咎めは無い。

「ん……?」

貴光はある物を発見する。
床に血の跡があった。まだ新しい。
機械設備の間の細い通路、その奥へと続いているようだ。何かあった事は明白である。
支給されたステーキナイフを片手に恐る恐る、その血の跡を辿る貴光。

「……!」

そして血の跡の正体を発見する。
両手を赤く染めた紫色の竜がいた。
その足元には、白い毛皮を赤く染めた人狼の雄が横たわっている。
首がありえない方向に曲がり、腹が引き裂かれ内臓が飛び出しているようだった。

「……ッ」
「!!」

紫竜が貴光に気付いたのか、貴光の方に振り向いた。
端正な顔立ちだったが、その双眸には殺意が滾っている。

(やばい、駄目だ、逃げないと!)

間違いなく殺される、本能的に危険を察知した貴光は踵を返し走り出した。
しかし、紫竜は貴光の予想以上に足が早かった。
紫竜は逃げる貴光の背中目掛けて鋭い爪を振り下ろし、引き裂いた。
一気に背中の肉が、背骨までもが裂かれ肉と血が飛び散る。

「あ……」

悲鳴すらあげれず貴光は前のめりに倒れる。
紫竜は貴光の首を掴んで、捻った。
ぼき、と鈍い音が鳴り、貴光の命の火はいとも呆気なく消え去った。

紫竜――エマヌエルは先に殺した白人狼の元へ戻り、彼のデイパックを漁る。
しかし出てきた物はダーツセット。
それを放り投げると、今度はたった今殺した人間の男の元へ歩き、彼が持っていたステーキナイフを拾う。
それを自分のデイパックの中に押し込み、エマヌエルは変電所の出口へと向かった。


【森林源五郎  死亡】
【浅井貴光  死亡】
【残り45人】


【E-3/変電所/早朝】
【エマヌエル】
[状態]健康、両手血塗れ
[装備]無し
[持物]基本支給品一式、???、ステーキナイフ
[思考]
基本:皆殺し。


《人物紹介》
【浅井貴光】 読み:あざい・たかみつ
19歳の大学生。特にこれと言って目立った能力も経歴も無い。
友人に高原正封、久保遼平らがおりたまに合コンのカンパに巻き込まれている。

【森林源五郎】 読み:もりばやし・げんごろう
27歳の白人狼。元々はRPGファンタジー世界の出身らしく名前は偽名なのだとか。
何らかの理由で追われ日本風国家にこっそり来て住んでいる。普段は鉄工所で働いている。

【エマヌエル】
17歳の邪竜種の青年。スリムで美形なので雌から人気がある。
性格は無口で大人しい、が、冷徹かつ残虐でもあり、殺害対象には全く容赦しない。
最近、ようやく精通した。


006:ろりもばとろわ 目次順 008:落ちるところまで落ちて

ゲーム開始 浅井貴光 死亡
ゲーム開始 森林源五郎 死亡
ゲーム開始 エマヌエル 030:三人の修羅

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最終更新:2013年02月28日 00:28
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