走る走る走る走る。
背後から追ってくる“ヤツ”から少しでも遠くへ逃げるため。
少女は脇目も振らずに走り続ける。
足を止めたら終わりだ。
止めたら最後、じわじわと嬲り殺しにされてしまう。
だから走る。ひたすら走る。とにかく走る。
そうしてどのくらい走っただろうか。
チラリと後ろを見たが“ヤツ”の姿は見えない。
(逃げ切ったのかな…?)
ふと目の前に民家が見えてきた。
いい加減体力も限界だ。あそこに入ってやり過ごそうと考えた所で
「鬼ごっこは終わりかい、お嬢ちゃん」
真後ろから声がした。
「ヒッ…」
追いついた“ソレ”を見て悲鳴を漏らす。
如何にも頑丈そうな鋼の肉体。赤く爛々と輝く右目。右手に持った巨大な剣。
明らかに人ではない、怪物がそこに居た。
「餓鬼にしちゃそれなりに頑張ったみてぇだが、運が悪かったなぁ」
怪物の表情に変化は無いが、ニヤニヤと邪悪な笑みを浮かべているのが頭に浮かぶ。
こちらを焦らすようにゆっくりと近づいてくる異形。
その異形は名を“キル夫”といった。
◇
最高だ。
それがこの
殺し合いに対してキル夫が思った事だ。
殺しが大好きであり元の世界でも殺人鬼として世間を賑わせていたキル夫。
そんなキル夫にとってこのゲームは自分の誕生日パーティーよりも心を躍らせるものだった。
またそれだけではない。
普段殺しに使っているナイフよりも格段に巨大な剣。
ドーパントという異形へと姿を変えられるガイアメモリなる道具。
これらの支給品も非常に自分をワクワクさせてくれるものだ。
この大剣で豪快に斬り殺したい。
ドーパントになった身体で嬲り殺したい。
この殺し合いを思う存分楽しみたい。
そんな歪んだ願望は偶然最初に出会った少女へと向けられることになる。
◇
「さぁ~って、どう殺そうかねぇ…」
楽しげに言いながら少女へと近づくキル夫。
大剣で四肢を斬り落とすか。
強化された肉体を利用し、素手で解体するのも悪くない。
ああ、想像しただけでも興奮する。
「や、やだ…来ないでよぉ!」
逃げようとするが腰が抜けてしまったのか、立てずに後ろへ這いずる少女。
(死にたくない、死にたくないよ!誰か…助けて…)
心の中で必死に助けを求める。
誰でもいいから助けて、自分は死にたくないと
「諦めな。お前はここで俺に殺される運命だったんだからよ。」
剣を持った右手をゆっくりと持ち上げるキル夫。
そうだ、ここは現実の世界。
そう都合良く助けなど現れるはずがない。
「精々絶望してくたばっちまいなぁ!!」
そうして振り下ろした剣は少女の首を
ガキィン!
「間一髪、だな」
斬り落とす前に止められた。
◇
「なっ!?」
少女への一撃を止められ咄嗟に後方へ下がるキル夫。
そして自分の剣を防いだ人物を見る。
「大丈夫だったかい?お嬢さん」
「えっ、あっ、ハ、ハイ!」
黒いジャケットを着た茶髪の青年。
顔立ちは整っており、軽い調子で少女へと話しかけている。
「良かった。じゃあちょっと離れててもらえるかな?あっちの厳ついお兄さんと話があるからね」
「えっ、で、でも…」
「大丈夫だって。これでも俺強いしね」
そう言ってキル夫へ向き直る青年。
よく見ると手には掌のマークが付いた奇妙な剣を持っている。
さっきの一撃を防いだのはあれか。
「チッ、いいとこだったのに余計な茶々入れやがって…。変わりに相手してくれんのか?ニーチャンよ」
「ああ。こんな小さい子に襲い掛かるような奴、見逃しちゃおけないんでね」
「おいおい、正義の味方気取りか?俺には馬鹿な自殺志願者にしか見えねーがなぁ」
生身の青年とドーパントとなった自分。有利なのは明らかに後者だ。
だというのにこの男、やけに自信満々でいやがる。
「どんな場所だろうと関係無い」
そう言うと左手に赤い宝石の付いた指輪を身につける。
そしてそのまま手を腰のベルトへと移動させる。
<――Driver On――>
「お前のように誰かを絶望させようとする奴がいるのなら」
<――シャバドゥビタッチヘンシーン!シャバドゥビタッチヘンシーン!――>
ベルトの形状が変わり奇妙な音声が鳴り響く。
「な、なんだそりゃ……?」
「しゃ、しゃば、どぅび…?」
「俺は戦い続ける」
「――――変身」
左手の指輪を鳴り響くベルトにかざす。
<――Frame Please ヒー! ヒー! ヒー!ヒー!ヒー!――>
その瞬間彼の姿は 別のものへと変化していた。
鎧とローブを融合させたかのような黒いボディ。
赤く輝く宝石のようなマスク。
そんな姿を見て驚くキル夫と少女を尻目に
「さぁ、ショータイムだ」
“指輪の魔法使い”、仮面ライダーウィザードこと“操真晴人”は敵の元へと駆け出した。
「っ!クソッタレが!」
一瞬で迫ってきたウィザードの一閃を慌てて大剣で防ぐするキル夫。
しかしウィザードの攻撃はそれで終わらず、連続して素早く斬り込む。
キル夫も負けじと防御するが全ては防ぎきれず、身体の各所に傷を負う。
「っの野郎…!離れろやぁ!」
大剣を大きく振り回し距離を取ろうとする。
ウィザードはバックスッップでそれを回避。すると手に持った剣、『ウィザーソードガン』を銃形態へと変え銃口をキル夫に向ける。
大剣を構え直そうとして気付いた。刃が所々大きく欠けてしまっている。
これでは剣としてまともに機能しないではないか。とんだ見掛け倒しのナマクラだったようだ。
キル夫は考える。ドーパントとはまた違う異形となったあの男。
今の少ない攻防だけでも理解できる。奴はかなり手強い。
向こうは銃を持っているがこちらに飛び道具は無い。おまけに唯一の武器も壊れる寸前ときた。
癪だがここは……
(退くべき、だな)
決断は一瞬。ウィザードが引き金を引くよりも早く剣を地面に叩きつける。
衝撃で地面が抉れ、土埃が舞う。
視界が封じられたその隙を見逃さず明後日の方向へと駆け出す。
メタルドーパントの筋力のお陰で地面を抉るという荒業も成功したが、代償として剣は使い物にならなくなった。
「まだゲームは始まったばかりなんだ。焦ることは無いさ」
足を動かしながらキル夫は呟く。
そうだ、何も今殺さなければならないというわけではないのだ。
この先もっと強力な武器が見つかるかもしれない。
そうやって準備が済んだら改めて殺せばいい。
「それまで待ってろよ、顔面宝石野郎」
【キル夫@やる夫スレ】
[状態]:疲労(中)、身体の各所に切り傷、ドーパントに変身中
[装備]:T2メタルメモリ@仮面ライダーW、聖剣・エクスカリ棒@NEEDLESS(柄の部分のみ)
[道具]:共通支給品一式
[思考]
基本:ゲームを楽しむ
1:今は逃げる
2:もっと強い武器を集める
支給品紹介
【T2メタルメモリ@仮面ライダーW】
キル夫に支給。
劇場版「AtoZ 運命のガイアメモリ」に登場したNEVERの一員、堂本剛三が使用。
闘士の記憶を持つメモリで、鋼鉄の肉体と怪力を持つドーパントに変身させる。
【エクスカリ棒@NEEDLESS】
キル夫に支給。
ブレイド一味のセトが所持する禍々しい装飾の大剣。
だが実際はハリボテで、斬るのではなく相手に恐怖感を与える目的で使用している。
◇
「逃げたか」
視界が晴れた時にはもう相手の姿は無かった。
現在持っている指輪を駆使すれば直ぐにでも追いつけるだろうが、今は他に優先すべきことがある。
「あ、あの…」
「ん。もう出て来ても大丈夫だよ」
変身を解き襲われていた少女の元へ駆け寄る。
「た、助けてくれてありがとうございます」
「なに、いいってことさ。希望を守るのは魔法使いの役目だからね」
少女の不安を取り除く為か、おどけた調子で答える晴人。
「魔法使い……?あの、お兄さんはいったい…」
「あー、まぁその辺の説明はあそこに入ってからにしよう。君も疲れてるみたいだしね」
殺し合いに巻き込まれ怪物に殺されかけたのだ。心を落ち着かせる時間が必要だろう。
はい、と小さく頷き民家へと入る少女の後に自分も続く。
(にしてもこの子……絵本とかに出てきそうな格好だな)
◇
(お兄さん、かっこよかったなぁ)
先ほどの光景を思い出す。
鎧とマントのようなものを身に付け、自分を襲った怪物を撃退した勇姿。
変な人に攫われ、恐い化け物に襲われ、魔法使いと名乗る人に助けられた。
ここに来てからとても常識では考えられない目に遭ってばかりだ。
とはいえ以前も祖母諸共狼に食べられるというとんでもない体験をしているのだが。
そんな事を考えながら彼女――“赤すきん”と呼ばれる少女は民家の扉を開けた。
【操真晴人@仮面ライダーウィザード】
[状態]:疲労(小)
[装備]:ウィザードライバー&ウィザードリング一式@仮面ライダーウィザード
[道具]:共通支給品一式
[思考]
基本:絶望を破壊し希望を守る
1:少女と情報交換する
[備考]
※参戦時期は昭和ライダー対平成ライダー終了後
※制限として魔法使用時の魔力使用量増加
※まだ名簿を確認していません
【赤ずきん@御伽噺】
[状態]:疲労(大)
[装備]:無し
[道具]:共通支給品一式、不明支給品1~3(未確認)
[思考]
基本:死にたくない
1:お兄さんと情報交換する
[備考]
※外見は金髪の幼女です
【ウィザードライバー@仮面ライダーウィザード】
晴人がウィザードに変身する為のベルト。
バックル部にある黒い手形の意匠『ハンドオーサー』が備わっており、横レバーを操作しリングをかざすことで、
各種魔法や変身機能が発動する。
普段は中央に右手の手形が付いた以外は、普通のベルトに擬態している。
【ウィザードリング@仮面ライダーウィザード】
魔法石をリングにセットして生まれた、晴人が魔法を使うために必要不可欠なツール。
【ウィザーソードガン@仮面ライダーウィザード】
ウィザード専用の武器で、ガンモードとソードモードの二形態をとる事が可能。
生身の状態でも「Connect」のリングで取り出し使用できる。
ガンモードでは魔力で生成した銀の弾丸を撃ち出し、ある程度軌道を曲げられる。
ソードモードでは修復装置が備わっており、破損しても自動で元に戻る。
最終更新:2016年03月14日 05:19