「できたぞ新一!光彦君が殺し合いに巻き込まれるスイッチじゃ!」

「ふざけんなっ!!」

江戸川コナン―――工藤新一は憤怒の形相で、この悪趣味なゲームの主催者へ怒りの言葉を吐いた。
今まで数多くの凶悪な事件を解決してきたが、今回のは特に悪辣で残虐だ。
笑いながらひと一人の命をあっけなく奪い、大勢の人間に殺し合いを強要する。
これほどの異常な事件は、さしものコナンも初めてである。
コナンはキッと空を睨み、今もどこかで自分達を嘲笑っているであろう主催者に向け話す。

「あんたが何を考えて、こんなふざけた真似をしたのかは分からない。
けど俺は人を殺したあんたを、大勢の人の手を血で染めるよう仕向けたあんたを絶対に許さない。
必ずそこに辿りついてやる」

だから待ってやがれ、と啖呵を切る。
必ず殺し合いを止め、お前を捕まえると宣言する。
するとその強い声を聞いたであろう参加者が、手を振りながらコナンの方へやってきた。

「コナン君?コナン君ですか!?」
「ホッホ。無事じゃったか」

聞き覚えのある声に驚き、顔を向けるコナン。
そこにはそばかすの少年と恰幅の良い老人が居た。

「光彦!それに博士も!」

仲間である円谷光彦と阿笠博士。会場に飛ばされて早々仲間と再会できるとは何と運の良い。
コナンが安堵の笑みを浮かべて駆け寄ると、同じく二人も笑顔でいた。
共に仲間と合流できたことに喜び合う三人。

「灰原さんも無事だといいんですが…」
「ああ、状況が状況だ。なるべく急いで見つけないとな」
「ホッホッホ」

この二人以外に連れて来られている仲間の少女。
如何なる時も冷静沈着で、コナン不在の際には少年探偵団を纏めたりと、頼りにしている相棒。
そう簡単に死ぬようなタマではないが、流石にこんな事件に巻き込まれるのは彼女も始めてだろう。
加えて光彦は知らないが、ここには黒の組織の殺し屋、ジンまで居る。
あの危険極まりない男の事だ。ほぼ確実に殺し合いに乗っているだろう。

「いや~しかし改めてとんでもない事になったのう!」
「おいおい博士…。笑い事じゃないだろ」
「ホッホ!」

殺し合いの場には似つかわしくない陽気な声で笑う阿笠。
顔を顰め窘めるコナンだが、聞いているのかいないのか阿笠は尚も朗らかに笑う。
その様子に若干の呆れと苛立ちを覚えつつ、再度声を掛けようとした時、光彦がそっと耳打ちしてきた。

「コナン君。実は最初に会った時から、博士の様子が変なんですよ」
「変?」
「はい。今みたいにやけに呑気な感じで…。初めは場を和まそうとしてるじゃないかって思ったんですが、
何ていうか、明るすぎて不自然というか…」

不安気な光彦の言葉に、思わずコナンは阿笠を横目で見る。
相も変わらず笑みを浮かべているその顔は、光彦の話を聞いた後だとどこか不気味に思えてきた。
工藤新一の頃から阿笠と付き合いのあるコナンだが、そんな彼から見ても今の阿笠は違和感を感じる。
あの笑みはまるで、この残酷な催しを喜んでいるかのような――

「さて、こうして光彦君達と会えたことじゃし、そろそろ始めるかのぉ」

と、唐突に話し自分のデイバッグに手を入れる阿笠。
バッグから出した手には幾つかのスイッチが握られていた。
それは何だとコナンが聞くよりも先に、阿笠が気軽にスイッチを押した。



「できたぞ新一!光彦君の肛門が破裂するスイッチじゃ!」



「は?」とコナンが思ったのも束の間、

「ぎゃあああああああああああああ!!??!?」

背後から絶叫が響いた。
驚いたコナンが振り返ると、ズボンの後ろを真っ赤に染めた光彦がのた打ち回っていた。

「お、おい!どうした光彦!?」
「こ、コナン、君。僕のお尻が。あ、アァァァァ……」

光彦は涙を流し苦痛を訴える。臀部からの出血で染められたズボンはとても痛々しい。
唐突すぎる惨劇に困惑しながらも、コナンは原因を作り出したであろう阿笠を睨む。

「おい!何のつもりだよ博士!」
「んー?なーにを怒っておるんじゃ新一?」
「当たり前だろ!何で光彦にこんな真似を…っ!」
「ホッホッホッ。今更なに善人ぶっとるんじゃ。光彦君はワシらの玩具でいいんじゃ、上等じゃろう?」

その言葉に愕然とするコナン。
今の阿笠は正気じゃないとかそんなレベルじゃない。
自分の知り合いの姿をした別のナニか。
ドス黒い狂気に支配された、モンスターと話しているような気分にコナンはなった。
だが背後から聞こえる、光彦の呻き声がコナンを正気に戻す。
とにかく今は光彦を連れて逃げることが先決だ。その為にも別のスイッチを押そうとしている博士を何とかしなくては。

「コナン君…」
「大丈夫だ光彦。俺がなんとか博士を「ぼくの…」え?」
「僕の支給品、に…」

光彦は激痛に耐えながらも何かを訴えようとする。
言われるがままに彼のデイバッグを開き、中を探ると見覚えのあるものが出てきた。

「これは…!」

「さーて!では次のスイッチを押してみるかのう!」

再び光彦を傷付けようという阿笠の宣言に、顔を青くする光彦。
それを聞いたコナンは、急いで靴を脱ぎデイバッグから取り出したモノを履き直す。
次いで更にデイバッグからボールのようなものを取り出し、足元に置く。
これで準備はできた。

「ではいくぞい!光彦君nブルギイアアアアアアアアアアア!!!」

スイッチを押す直前、顔面にボールのようなものがブチ当たり、阿笠は大きく吹き飛ばされた。
光彦のデイバッグから取り出した支給品、キック力増強シューズでコナンがボールのようなものを蹴り飛ばしたからだ。
今まで犯人確保の為に用いてきたこの道具を知り合い、しかもトチ狂った製作者本人に使用するとは、コナンも予想できなかったことだが。
何にせよ逃げるなら今の内だ。光彦を背負うとコナンは急いでその場から離れた。

(クソッ。博士、一体どうしちまったんだよ!)

子どもの体になった自分の為に数々の発明品を提供し、助けてくれた信頼できる仲間。
そんな彼が何故あんな凶行に走ってしまったのか、全く分からない。
阿笠ならば、自分達の首に巻きついている爆弾も何とかできるかもしれないと期待していたが、あの調子ではとても無理だろう。
光彦の治療、灰原との合流、ジンや阿笠への対処。更に首輪の解除と主催者の居場所の捜索に、会場から脱出する手段の模索。
すべき事は余りに多く、頭が痛くなる。

「こ、コナンく…」
「どこか傷の手当をできる所まで連れてく。心配すんな光彦」

それでも諦めるつもりなど無い。
自分がここで足を止めれば、今背負っている少年は誰が助けるというのか。
主催者の望むように殺し合いを進めさせてなるものか。

今一度殺し合いを止める決意をし、名探偵は駆け出した。


【江戸川コナン@名探偵コナン】
[状態]:健康
[装備]:キック力増強シューズ@名探偵コナン
[道具]:共通支給品一式、不明支給品1~3
[思考]
基本:殺し合いを止め、主催者を捕まえる
1:光彦を連れてこの場から離れる
2:灰原の捜索
3:ジンと博士を警戒
4:首輪を外す方法を探す
[備考]
※参戦時期は原作85巻、緋色のエピローグ終了後


【円谷光彦@名探偵コナン】
[状態]:肛門破裂、精神疲労(中)、コナンに背負われている
[装備]:
[道具]:共通支給品一式、不明支給品0~1
[思考]
基本:生きて帰りたい
1:お尻が……
2:灰原さんを探す
3:博士…どうして…
[備考]
※参戦時期は原作28巻以降のどこか


【キック力増強シューズ@名探偵コナン】
円谷光彦に支給。
スイッチを入れると電気・磁力によって足のツボを刺激し、筋力を高めることが可能。
主にボール等を蹴り犯人の撃退・確保に使用されている。



「やってくれたの~新一ィ~」

傷ついた頬を撫でながら、阿笠は忌々しげに吐き捨てる。
散々自分と共に光彦で遊んでおきながら、急に彼の味方をするとは。
この傷の礼はたっぷりとしてやらねばと、阿笠は歪んだ決意をする。

「それにしても殺し合いとはのぅ。随分面白い事をしよる」

光彦を痛めつけるのも良いが、まだ見ぬ他の誰かを標的にするのも悪くない。
哀やまだ見ぬ美女・美少女を弄ぶのも良い。
おまけに優勝すればどんな願いでも叶えてくれるという。これは乗らない訳にはいかない。

「何を叶えてもらうか今から夢が広がるのう!げひゃひゃひゃひゃひゃ!」


【阿笠博士@マジキチコナンSS】
[状態]:右頬骨折
[装備]:光彦スイッチ各種@マジキチコナンSS
[道具]:共通支給品一式
[思考]
基本:ゲームを楽しみつつ優勝を目指す
1:まだまだ光彦君を虐め足りんのう
2:新一には後でたっぷり礼をしてやるぞい
3:他の参加者を探し遊ぶ
[備考]
※阿笠博士は二人参加していますが、名簿にある阿笠博士の名は一つだけです

※近くにやるオプーナのボンボン@やる夫スレが落ちています


【光彦スイッチ@マジキチコナンSS】
阿笠博士に支給。
「できたぞ新一!光彦君が○○するスイッチじゃ」というシリーズのSSに登場するスイッチ。
酷く突飛だったりマジキチな効果のものばかりだが、唯一共通するのは毎回光彦が悲惨な目に遭うという事である。
本ロワでは制限により一定距離光彦から離れると、効果を発揮しない。

【やるオプーナのボンボン@やる夫スレ】
円谷光彦に支給。
やるオプーナの頭部に付いているボンボン。

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最終更新:2016年03月01日 03:58
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