オープニング(ランダムアニロワ版)

 暗転。
 自分の目の前がいきなり黒く染まったら、そう答えるのが普通だろう。
 ましてや「歩いていたら」とか「死んでいたら」とかそういう状態なのに、いきなり目の前の景色が変われば、そう思うほかない。
 ここに集まった100人ほどの人間はその状態にいる。
 ここはどこか、ということはわからない。
 ただわかるのは、地面があることくらいである。

 その中の一人に男がいた。
 ジャン=ピエール・ポルナレフ。特徴的な髪型をした、筋肉質な男である。
 彼は「スタンド」と呼ばれる精神から発生される超能力と、それを支える熱い心があった。
 そんな猛者であっても、この場にいる。何の抵抗も、いやそもそも抵抗すべき対象がいるのかどうかすらわからない状態で、この場に連れてこられている。

(なんだってんだァ……ここは? 俺は確かアヴドゥルとイギーと一緒にDIOの野郎をぶっ倒そうとしてたはずだ。
つまり『歩いて』いたッ! 俺は単純に『歩いて』いたはずなんだッ!)

 彼は困惑する。館は確かに暗かったが、こんな場所ではない。
 完全に真っ暗というわけではなく、マジシャンズレッドの炎が照らしていたはずだ。

(スタンド攻撃かッ!?)

 ポルナレフは自身のスタンド、シルバーチャリオッツを出す。
 鎧を纏う戦士の出で立ちをした、その姿が現れる。
 周囲を警戒する。が、一向に攻撃されない。
 もし何らかの方法で自分と仲間を引き離す、あるいは仲間を殺したとしたら、すぐさま攻撃されるはずだ。
 だとするとスタンド能力ではない。異様な状況が続く中、ポルナレフは警戒の手を抜かない。
 何が何やらわからない中、変化は突如として訪れた。

「諸君ら、こっちを見るべぇ~~~」

 間の抜けたような老人の声が響く。
 響く、ということはここは室内なのだ。
 その老人がいる場所は光に照らされ、目にショックを与えるのと同時に、その場所が大体どのようなものかを明らかにする。 床は灰色のコンクリートであることから、全体図は流石に見えないけれども、何らかの建物にいることはわかった。
 老人は痩せている。
 錨のような白髪に片眼鏡、威厳を纏うように作られたようなマントを着ていた。
 おそらくこの場に人間を集めた者だろう。
 勝手に連れてこられた者達の前で、その老人は口角を釣り上げていた。奇妙な笑顔である。

 ポルナレフは警戒する。どんな相手かと思えば単なる老人だった。
 ただ、それが恐ろしい。
 単なる老人でしかないような人間が、素手でさえも倒すことができそうな相手が、自分をあっという間にこの場に連れてこられた。
 故にスタンドは出したままである。
 にも関わらず相手はニヤけたままだ。異様な自信家なのだろうか。

「え~、こんなに人数多かったのかべ? やっていることが派手だべ。まあそんなことはどうでもいいべ。
諸君らには今から『殺し合い』をしてもらうべ」

 殺し合い。
 簡単に、その男は語った。
 まるでデパートの迷子を店内でアナウンスするような、何の不可思議さも感じていないような口調である。

「その『殺し合い』とはどのような意味だ。比喩か、それともそのままの意味か?」

 男の声が聞こえた。その声を知るものは、少なくとも一人いた。 ポルナレフはその男の声と、そして姿を知っている。
 老人を映す光に写るその男を彼は知っている。
「アヴドゥル!」
 褐色の肌をした大男。灼熱のスタンド使い、モハメド・アヴドゥルである。
 おそらく彼もここに一緒に連れてこられたのだろうとポルナレフは思った。
 アヴドゥルも自分を呼ぶ仲間の声をわかったので、その方向に目くばせする。
 仲間の確認ができ、何か返そうとした時、そこに老人の声が入り込んだ。

「そのままの意味だべ。殺し合いの意味は殺し合いだべ」
「なぜそんなことをする必要がある? 貴様の趣味か」
「そんなことを語る必要はないべ。お前らはわからず適当に殺し合っていればいいんだべ」
「そうか……。ただ、必要性もないことに私も付き合う義務はないのでね。今の私にはやるべきことがあるんだ」
「そうかそうか。なら、貴様はどうするべ? 何をするべ?」
「今すぐ消え去ってもらうッ! 魔法使いの赤(マジシャンズレッド)!」

 アヴドゥルは炎を纏った鳥の顔を持つ人型のスタンド、マジシャンズレッドを出す。
 そして躊躇なく火炎を発射させる。
 いくら相手が老人とはいえ、自分をあっという間にこの場に持っていける能力、そして殺し合いをさせるという狂気性を持った人間に、遠慮をする必要などない。

 だが火炎は空中で大きく広がり消滅する。
 簡単にいえば、これはバリア・結界である。 例えそのようなものを実際に目にしなくても、それは感覚として見てわかるものであった。 老人を何か見えない壁が守っているのだ。

 アヴドゥルは瞬時にこの老人は生半可な攻撃では倒せないとわかった。
 全力を出さねば、可能性が見えない。
 今までの戦いの経験から、すぐさま己のスタンドのフルパワーを発揮する。

「クロスファイヤーハリケーンスペシャル(C・F・H・S)!」

 十字の炎が連射され、老人の元へ向かう。
 火炎が大きく広がり、同時に大きな爆風が吹き荒れる。
 その衝撃は建物を響かせ、炎は光源をさらに増幅させる。

 だが、効かない。
 老人はニヤけたままであった。
 余裕満々な笑顔でアヴドゥルを見下す。
 対する炎のスタンド使いは緊迫の汗を流した。

 老人は言う。

「お前がどんな攻撃をしてもダメだべ。大体、こんなことで死ぬようなら殺し合いなどしないべ。
そうだべ、お前がここで目立ったのはちょうどいい。わかりやすい説明台になってもらうべ」
「貴様は何を……」

 困惑するアヴドゥルを尻目に、老人は指を弾いた。その音は屋内を包む。

 爆音と共に男の首は飛んだ。

 本当にそのままである。
 さっきまで異次元の能力を扱っていた男はあっという間に、殺されてしまったのだ。
 その死体はバランスを崩し、粘土細工のように床に転がった。

「アヴドゥルーーーーーーッ!」

 ポルナレフは叫ぶ。
 自分の仲間の死に、叫んで、その場まで駆けつける。
 彼が見てもアヴドゥルは確実に死んでいることがわかった。
 首から上はなく、その頭が無造作に転がっていた。
 ポルナレフは何も言葉にでなかった。
 簡単に言い表せるようなものではなかったのである。あらゆる感情が彼の元で湧き上がり、交差し、複合する。

「この男の首が吹き飛んだのは首輪だべ。諸君らの首元をすぐに確認するといいべ。
その中には爆弾が内臓されていて、わしらの胸先三寸でいつでも『おしおき』できるんだべ」

 ポルナレフも言われてその存在に気付いた。
 自分の首元に、自分の仲間を、友を殺した忌々しい存在がある。
 そして何より許せなかったのは『おしおき』である。
 自分の友を殺したそのやり方を『おしおき』というふざけた表現で、もっといえばそんなゴミのような理由で殺したことを許せなかった。
 ポルナレフは哀しみを怒りに変えて、老人を睨む。

「てめぇ、この借りは安くつくなんて思ってねえだろうなッ!」
「何も借りた記憶はないべ。なんだべ。お前もその男と同じようにわしに攻撃するべ?」
 ポルナレフは攻撃しない。
 それは冷静な判断である。彼は戦士として冷静な状況判断をしたのである。
 ここで攻撃したとて、アヴドゥルの高火力の攻撃を防いだことを考えると、無謀というものである。
 怒りにまかせて攻撃したとて、返り討ちになるのが関の山だ。
 だがその闘志は燃え尽きていない。
 それは未だにポルナレフの心を燃やし、眼光がそれを老人に伝えている。
「ずいぶん挑戦的な目だべ~。いいだろう、名前を教えてやるべ。
わしの名前はドクロベエ。覚えておくがいいべ、ジャン=ピエール・ポルナレフ」
「ああ、覚えといてやるよ。ついでにてめーの脳みそには俺の名が残らねえように、いずれバラバラにしてやるッ!」
「いい気概だべ! ならば、この殺し合いで生き抜くがいいべ。または対抗するがいいべ、できるものなら!」

 老人、もといヤッター・キングダムの支配者・ドクロベエは前を向く。
 参加者全員を眼前に、その言葉を放った。

「諸君らには今から最後の一人になるまで殺し合ってもらうべ。
 ただ、モチベーション向上のために生き残った者には、1つだけ願い事を叶えてやるべ。
 どんなことでもいいべ。
 不老不死でも、誰かを生き返すことや、大金が欲しいことやエロ本を買ってもらいたいことでもなんでもだべ。
 殺し合いに勤しむなら渡される支給品を活用するべ。
 追加ルールもあるので、6時間ごとに行う放送をよ~く聞くがいいべ」

 マイペースにルールを解説するドクロベエ。彼は自分が言ったというのにポルナレフには全く関心を向けるそぶりをださなかった。

(おそらくヤツは『絶対に自分は殺されない』と思ってやがる……。絶対的な優位にいるから、余計な心配をする必要がないと思ってやがるんだ……)

 それはわかっている。実際に優位な立場だろう。だが

(そんな余裕ぶっこいた外道野郎に一泡ふかせてやるってのは最高だよなあ……アヴドゥル! 血の泡をカニみてーに浴びせてやる……だから、それまで待ってろよ……)

 復讐を誓う。弔い合戦を彼の心は決めていた。
 しかしその不屈の魂は、暗転と共に沈む。
 参加者は再び意識が飛ぶ。そして次なる場所に移るのだ。

 そう、殺し合いの場に。


【ジョジョの奇妙な冒険 スターダストクルセイダース】モハメド・アヴドゥル 死亡確認

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最終更新:2016年03月16日 13:55
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