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ハレルヤを皮切りに

さつじん‐き【殺人鬼】

平気で人を殺す残忍な人間を鬼にたとえていう語。

◆◆◆

「――Hallelujah,――――――」
崖に隣接した平野にて、テナーの美しい聖歌が響いていた。
殺し合いの最中だというのにその袈裟を纏った男は気にせず、
まるで、ただ歌うためだけにここに居るかの様な、そのような様子でただただ唄っていた。

「…………」
その歌声を聞きつけたのだろうか、フードを被った若い男が唄う男の元へとゆっくりと歩いていった。
「……何をしているんだ?」
まるで世間話でもしているかの様に男は気軽に話しかける。
「みりゃ、わかるだろ?唄っていたんだ」
「見かけからするとアンタは坊主のようだが、ハレルヤ何て唄って良いのか?しかも、こんな殺し合いの中で」
そう言うと、坊主は笑って返した。
「人生はチャンポンさ、『狂人』が殺し合いの中でハレルヤを唄うぐらいのサプライズが有っても良いだろ?
それに、食いたいから食う、飲みたいから飲む、唄いたいから唄う。人生なんてそんなもんだろ?」
その言葉に、フードの男の顔にも自然と笑みが浮かんでいた。
「面白い坊主だな、アンタは……」

パァン

そして、乾いた銃声が一つ、坊主の命を奪った。

「そんな面白いアンタと…………もう少しお近づきになりたくなった」

銃を持ち、笑みを浮かべる男の患者名は『皮を剥ぐ殺人鬼』といった。
名前通りの殺人鬼である。


引き金が引かれて数分ほど経っただろうか、『皮を剥ぐ殺人鬼』は包丁を片手に作業を始めていた。
じゃがいもの、人参の、太ったアヒルの調理準備をするかのごとく、剥いていたのだ。

何を?皮を。
誰の?人の。
何で?趣味だから。


数十分が経過し、『皮を剥ぐ殺人鬼』の足元には筋繊維剥き出しの人間だった肉が置かれていた。
「…………」
(何時からだっただろうか?自分の人生を異常につまらないモノだと感じるようになったのは。
何時からだっただろうか?他人の人生というモノに羨望を抱くようになったのは)

当然だが、その肉に皮は無かった。
だったら、剥がれた皮は何処にあるのだろうか。

(何時からだっただろうか?衝動が抑えきれないようになっていったのは。
何時だっただろうか?初めて人の皮を剥いだのは)

皮は――『皮を剥ぐ殺人鬼』に文字通りの意味で被られていた。
人の皮を被った鬼というのは、まさにこの事を言うのだろう、
『皮を剥ぐ殺人鬼』の表情も皮膚も何もかも、ダボついた坊主の皮によって隠されていた。

(何時だっただろうか?他人の皮を被る事で、その人間の人生がわかることに気づいたのは。
何時だっただろうか?殺人に対する忌避感が完全に消えたのは)


数分が経過すると、『皮を剥ぐ殺人鬼』は再び歩き始めていた。
彼にしてみれば、殺し合いなど普段の行為の延長線上に過ぎない。
悩む必要も、怯える必要も無く、ただ他人の人生をいつもより多めに楽しむだけ。


「精々、楽しませてくれよ……」

フードに隠された『皮を剥ぐ殺人鬼』の表情は、
この世界に居るどのような人間ともかけ離れているように見えた。

【ハレルヤを唄う坊主 死亡】

【一日目・深夜/B-2】


【皮を剥ぐ殺人鬼】
[状態]:健康
[装備]:ハッピートリガー
[所持品]:基本支給品一式、ハッピートリガー、ナイフ、不明支給品1~3(本人確認済み)
[思考・行動]
基本:皮の為に殺して回る
1:メスが欲しいので病院に行く

【ハッピートリガー】
装弾数7発の小型拳銃。
手ブレ補正機能があるので初心者でも簡単に楽しく人を射殺できる。


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最終更新:2010年01月19日 00:40
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