ヤンデレって重い。思い続けてるだけに

「ったく……ふざけんじゃあないわよ。何でわたしがこんなふざけた余興に……」
「こんなのは女に貢ぐしか能のないバカな男どもにやらせときゃあいいのよっ!」
脚や胸が美しく、視線が刺々しい美女が、金色の砂塵が舞う小さな砂漠を、愚痴愚痴と呟きながら行く。
その砂漠と言うのは不思議なもので、本来ではありえないほど小さかったのだ。
だが、彼女、雨宮馨(あまみや かおる)にとっては非常に苦難に満ちた道のりであった。
彼女が履いていたのはハイヒール。
砂漠を往く際には、最も向かないスタイルの靴であるのは言うまでもない。
靴の隙間から砂や砂利が入り、ストッキングに刺さり、とても痛く苦しい。
我が強く、自己中心的な彼女にとっては、異常なほど腹立たしい事態だった。
「くそったれ……殺してやるわ……あんの緑マントォ……」
馨が砂漠の真ん中辺りで、そう愚痴をこぼしたその時だった。
突然、風を切る音が馨の耳に響き、砂漠の砂が巻き上がった。
それは何を意味していたのか、勿論「銃弾が地面に着弾した」という事実を意味していたのだ。

馨が前を向くと、すぐ近くにまで一人の少女が迫っていた。
その少女は、可愛い外見に、馨と同じくらい発育のいい肢体の持ち主であった。
だが、普通の少女という出で立ちではなく、彼女の眼は遥か遠方を向いているようで、彼女の異常性を物語っている。
「アカネぇ……アカネ……必ずみんなみんな殺してあげるからね……」
「こっの……キ○ガイ女が!」
馨は、その場でハイヒールを脱ぎ捨て、逃げに徹する。
彼女はスタート地点近くで、事前にデイパックを調べていた。
入っていたのは裏地にB-9と彫られた銀色の鍵と基本支給品が入っているのみ。
そして彼女も一応顔だけは知っている。馬頭崎鴉紗美(めずざき あさみ)。写真に写っている顔とは、表情以外は全く同じものである。
執拗にアカネ、アカネと呟いているわけも分かる。
牛頭科鴉花子(ごずしな あかね)。嘘みたいだがこれでアサミとアカネと読むらしい。
恐らく彼女たちは知り合いだろうと瞬時に馨は理解した。

でも、そんなの関係ねえ。

むしろ彼女たちの友情が破綻するのを見てみたい気もするが、今はそんな余裕はない。


とっさに馨は、砂漠の砂を掴み取り、アサミの顔面にぶつける。
「きゃうっ!?」
それは思った以上に効いていた。
アサミは乱暴に銃を乱射する。その様子は、引金を引きながら銃を振り回しているだけにも見え、非常に滑稽だった。
「あっはっは……ホントこっけいねぇ」
そう馨が溢した瞬間、突然アサミは、馨に銃口を向けた。
彼女が使用する銃はボルヒャルトピストル。非常にしなやかなフォルムの銃身の、その銃口が、正確に彼女の額に。
「やめてよ。アカネが見えなくなったらどうするの?」
アサミは何の躊躇もなく引金を引く。

馨は、非常に幸運であった。
なぜか?一撃で楽に死ねたから?

そうではない。
「何コレ?」
ジャムである。
「……え?何?え?」
馨も、この事態には驚きを隠せなかった。

「どうなってるの? …………ゴメン。銃弾詰めなおすから待ってて」
その瞬間、アサミは馨から目を逸らし、デイパックから銃弾の入った箱を取り出していた。
これはチャンスだった。馨は、すかさず逃げた。熱い砂の熱に耐えながら。


「お待たせ!じゃあ死んで!」
「…………あれ?」
アサミは、銃弾を一発、砂に向けて撃った時点で、馨がすでにいないことに気付いた。


A:崖崖崖崖崖崖崖崖崖崖
B:崖街街森廃平坂坂鉄浜
C:崖平森森平湖湖砂坂浜
D:崖廃森森ス砂平坂浜
E:崖鉄平街廃平坂坂街浜
F:崖崖崖崖崖崖崖崖崖崖

現在地はD-6だヨっ!

【名前】馬頭崎鴉紗美
【状態】健康(精神不安定)
【装備】ボルヒャルトピストル(7/8)
【道具】基本支給品一式、7,65mmボルヒャルト弾(16)
【思考】基本:牛頭科鴉花子以外皆殺し
1:早く会いたいわアカネ……ハァハァ
【備考】特になし

【名前】雨宮馨
【状態】健康
【装備】なし
【道具】基本支給品一式、銀色の鍵(裏地にB-9と彫られている)
【思考】今はアサミから逃げる
1:男は干からびるまで奉仕させ尽してそのあとで殺す。
2:女はその場で殺すつもり。
3:主催者も勿論殺す。
【備考】特になし

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最終更新:2008年09月22日 17:34
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