多分、ここは蔵書庫だ。
沢山の本があるから、かなり高い確率でそうなんだと思う。
だけど、まさかパロロワに巻き込まれるとは夢にも思わなかった。
こんな事になるんだったら一つくらいパロロワを読んでおけば良かったと思う。
好きなジャンルじゃないから敬遠していたのが悔やまれる。
なんにせよ、オタクでねらーで良かった。超展開には慣れてるし、グロ画像にも慣れてるし。
そんな訳で、2ちゃんねる万歳。
兎に角。
クラスメートの安藤君がスクラップになっちゃったのはどうでも良いけど、終わりのノブナガとかいう人が死んじゃったのは惜しい。
名前からして両刀使いで有名な織田信長のオマージュキャラの筈だろうし。
そんな事はどうでも良くないけれど、ひとまず置いといて。
身の振り方を考えなければ。
ロワにのるかそるか。それを考えないとマズイ。
これは私の命運を決める問題だから熟慮する必要がある。
まずは支給品を確認だ。
ロワにのるとしたら強力な武器が必須だ。
もし、ハズレだったら――考えるだけでも恐ろしい。
バックパックの中に入っていたのは水と食料と栞と参加者の名簿。そして、本だ。 これは予想出来なかった。
しおりと言われてロワのルールが書かれている小冊子を予想していたのだけど、まさか本に挟む栞だとは。
バカだ。主催者は絶対にバカだ。
そして、頼みの綱のランダム支給品は本だとた。
武器ではない。だけど、外れじゃない。
私好みの絵柄のBL同人誌なら、それは当たりだ。
幾つか気に入らない所があるけれど、高いクオリティだ。
受け攻めが逆なら大当たりだったのに。ちょっと惜しい。
サークル名は日英同盟。これは要チェックのサークルだ。
食い入る様に読んでいると、人の気配を感じた。
おっかなびっくりそっちを見ると、ツインテールの女の子がいた。
手に持っているのは――私が書いたBL本だ。
女の子は私が読んでいるBL本を見て狼狽している。
直感した私は――。
「攻めの反対は?」
「守りなのだわ!」
狼狽えていたのが嘘みたいな、ハッキリした答え。
直感が確信へ。
この女は筋金入りの――私と同レベルか、それ以上の腐女子だ。
低レベルの腐女子は攻めの反対は受けと答え、中レベルの腐女子は答えに一瞬詰まる。
高レベルの腐女子こそが、守りと滑らかに答える事が出来るのだ。
逆説的にいうと、滑らかに答える人間は高レベルの腐女子もしくは腐男子。
いや、そんな事はどうでもいい。
私の本を持っているならば、創作者として感想を聞かなければならない。それはある意味サガなのだ。
「その本、どうだった?」
「絵は上手いのだわ! だけどカプが王道過ぎてつまらないのだわ!」
くっ、私の愛する王道カプを否定するとは。
この女は敵だ。しかも不倶戴天レベルだ。
「アナタはその本をどう思ったのかなのだわ!」
「絵は上手いけど、ワビサビが足りないよ。あと、受け攻めが逆」
どうやら向こうも私の事を敵と認識したらしい。やる気みたいだ。
ちょっとした見解の相違が、血で血を洗う戦争に発展するのは腐女子にとって良くある日常だ。
そうと決まればやる事は一つ。
「第一回萌え対決、先手私! ちょいワルを気取ってタバコを吸うけどむせてしまう男の子!」
「“ !? ” ぐ、ぐぅ……なかなかやるのだわ」
血で血を洗う腐女子戦争は昔の話。今は萌え対決――つまり、互いの萌えキャラとかシチュエーションを言い合って相手を屈伏させるのがスマートなのだ。
もう、ロワなんて関係ない。
互いに目の前の敵を屈伏させて、自分好みのBLを書かせなければ、熱く火照った身体とココロの収まりがつかないのだ。
そう、そうなのだ。
自分の生命を省みずに自らの萌えを追求する。
それが腐女子の本懐なのだ。
そして――戦いは始まったばかり――。
――to be continued on the next time.
【蔵書庫/一日目/深夜】
【佐藤ゆん@へなちょこロボット】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品一式、アンさんが書いたBL本
[思考]
基本方針:アンさんを屈伏させる。
【アンさん@魔法少女軍事系】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品一式、佐藤ゆんが書いたBL本
[思考] 基本方針:佐藤ゆんを屈伏させる。
※
佐藤ゆんはねらーの為、パロロワがどんな物であるか少しだけ理解しています。
名前を知らないけれど、腐女子の直感で互いに持っているBL本の作者と確信しています。
二人とも萌え対決に集中している為に周囲を全く警戒していません。
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最終更新:2009年04月18日 21:03