19話 悪魔と共に
青い髪を持ち、青、白、黒の三色を基本とした服を着た少年、アキラは、
ゲーム開始早々に一人の他参加者と遭遇した。
青い毛皮に山羊のような頭、大きな翼を持った悪魔、デスシープ。
その外見に似合わず真面目かつ温厚な性格だった。
「すまない、大丈夫かデスシープ」
「い、いえ…大した怪我じゃありませんよ」
D-8平原にある道路の上で、アキラは左腕に傷を負ったデスシープを気遣っていた。
と言うのも、傷を負わせた当人はアキラだったのだ。
最初遭遇した時、デスシープのそのいかにも悪魔的かつ凶悪そうな外見から、
つい襲われると思い込んだアキラは自分の支給武器である鉄パイプで襲い掛かってしまった。
その後デスシープが必死にアキラに説得をしたため、アキラは誤解を解き謝罪した。
「だけど外見だけで判断するのは余り良くありませんよ。
気を付けた方が良いです」
「ああ……」
デスシープに諭され意気消沈してしまったアキラ。
「あ、あーそれより、あのアキラさん。互いに情報交換でも。
お互いの支給品と、知り合いの確認的な」
「そうか、分かった。俺の支給品はこの鉄パイプと……」
アキラは自分のデイパックから小さめのプラスチック製のケースを取り出した。
開けるとそこには幾つかの工具が収められていた。
「この工具セットだ。それと知り合いは…」
次に名簿を取り出し、開いてデスシープに見せる。
「ジン」「亜美」「ガルム」「ガーゴイル」の四人の名前が丸で囲まれていた。
「この四人。ジンと亜美は俺の仲間だ。ただ、ガルムとガーゴイルは、
俺がかつて戦っていた、帝国軍のデビル。つまり敵なんだ」
「…帝国軍? 何ですそれ?」
聞き慣れない単語にデスシープがアキラに尋ねるが、
するとアキラは何を言っているのか分からないといった顔をした。
「お前、デビルじゃないのか?」
「デ、デビル? ああ確かに考えようによってはそうかもしれないけど…。
あれ? 何か話噛み合いませんね」
「……」
アキラは今まで自分と仲間達が、ヴァルハラという異世界で、
ヴァルハラの支配を目論む帝国軍と戦い続けてきた事をデスシープに話した。
最初は半信半疑で聞いていたデスシープも真剣に話すアキラを見て、
次第に話が真実であると思い始めていた。
「成程、異世界…どうやら私とアキラさんの生きる世界は全くの異世界のようですね。
こう見えて私もそれなりに長い事生きていますがそのような話聞いた事ありません。
もしかしたらこの
殺し合いの参加者も、全員が全員同じ世界から連れて来られた、
という訳ではないのでは……」
「うーん……あのリリアという人は、
別々の世界から人々を連れてこれる程の力を持っている、って事か?」
「これはここで深く考えてても分からないと思います……あの、
私の支給品確認と知り合いの確認に移ってもよろしいですかね?」
「あ、ああ。いいぞ」
思考を切り上げ再び支給品及び知り合いの確認に戻るアキラとデスシープ。
デスシープがデイパックの中から取り出したのは、
コルト ディテクティヴスペシャルという小型リボルバー拳銃とその予備弾だった。
「拳銃か。当たりだな」
「私、銃なんて扱った事ないんですがね…小さくてちょっと扱いにくいかな」
ディテクティヴスペシャルを手に持って眺めるデスシープ。
次にデスシープは名簿を取り出し開く。
「私の知り合いは…ああ結構いる。えーと、勇者アレックス、その仲間である、
ブライアン、ヘレン、ゴメス。それと…私と同じ魔王軍であり、四天王である、
ドラゴナスさん、ムシャさん、死神五世さん」
名簿に書かれた名前を鋭い爪の付いた指先で差しながらアキラに教える。
「皆さん、殺し合いに乗るような人ではないと、思いたいですが…。
最後の一人しか生きて帰れないとなると、どうなる事やら…あ、決して、
皆さんの事信じてないって訳じゃないですよ! でも…」
「デスシープ…何となく、気持ちは分かるよ」
「……いけませんね、こんなネガティブ思考ばかりしていては。
こんな時だからこそ、前向きに考えないと」
「無理する事ないさ」
「……はい……それで、これからどうしますか?」
次に二人はこれからの行動について協議し始める。
二人共、この殺し合いに乗るつもりはなかった。
仲間を集めて何とかこの殺し合いからの脱出手段を探る事で二人は一致する。
首にはめられた爆弾付きの首輪を外す方法もきっとあると希望を持つ。
地図を広げ、コンパスを使い周囲の地形などから判断し、
自分達が現在いるのがエリアD-8だと断定する。
北方向に行けば廃ホテルなどがある会場である島の北東部市街地に辿り着くようだ。
街に行けば恐らく他参加者とも遭遇する確率が高くなるだろう。
「殺し合いに乗っている奴もいるかもしれないけどな…」
「確かに…しかし多少のリスクは覚悟しませんと」
「ああ、分かってるよ」
名簿と地図を片付け二人は立ち上がる。
「北にある街に行ってみるとしよう」
「そうですね…」
アキラとデスシープはそれぞれの武器を携えながら北方向に見える市街地へ歩き始めた。
【一日目深夜/D-8平野:幹線道路】
【アキラ@真・女神転生デビルチルドレンライト&ダーク】
[状態]:健康、C-8市街地へ移動中
[装備]:鉄パイプ
[持物]:基本支給品一式、工具セット
[思考]:
0:殺し合いには乗らない。仲間を集めて脱出手段を探す。
1:デスシープと行動。街に向かう。
2:仲間達(アキラ、亜美)を探す。
3:帝国軍のデビル(ガルム、ガーゴイル)には注意。
※参戦時期はレミエル打倒後、元の世界へ帰還した直後です。
※デスシープと情報交換しました。
【デスシープ@VIPRPG】
[状態]:左腕に打撲、C-8市街地へ移動中
[装備]:コルト ディテクティヴスペシャル(6/6)
[持物]:基本支給品一式、.38sp弾(30)
[思考]:
0:殺し合いには乗らない。仲間を集めて脱出手段を探す。
1:アキラと行動。街に向かう。
2:上司達(ムシャ、ドラゴナス、死神五世)を探す。
3:勇者達(アレックス、ブライアン、ゴメス、ヘレン)は……。
4:襲われたらそれなりに対処する。
※アキラと情報交換しました。
※アキラが異世界から来た人物だと確信しました。
≪支給品紹介≫
【鉄パイプ】
長さ80㎝、直径4㎝程の、配管設備に使われる鉄製の管。
【工具セット】
プラスチックケースの中にウォーターポンププライヤー、カッター、
コンビネーションレンチ4本、六角棒レンチ8本、ラジオペンチ、プラスドライバー、
スタビードライバー、フックセット、ミニハックソー、ネールハンマー、圧着ペンチ、
ターミナル端子セット、T型ハンドル、ドライバービット8本、ビットアダプター、
ソケット6.35mm角8個、コンベックス2m、取扱説明書が入った工具一式セット。
【コルト ディテクティヴスペシャル】
1927年に発売された小型リボルバー拳銃。
「ディテクティヴ」とは「探偵、刑事」を意味する。
使用弾薬:.38sp弾 装弾数:6発
最終更新:2010年05月01日 21:23