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【薔薇男と穴を掘る使い魔】~白の国の罠(その2)~ - (2007/10/06 (土) 21:29:04) の1つ前との変更点
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奥さん、ギーシュです。
ありのままさっき起こった事を話すと、
盗み聞きした部屋の中にいた姫様に簀巻きにされました。
で、今。
ワルキューレで荷造りしながら、自室でこの手紙を書いています。
姫様直々の秘密任務に向かう彼等に僕も同道する事になったのです。 ヤッター!!
本当なら明朝増援が来るのを待つ予定だったのだけど、
僕の様な目撃者がまた現れないとも限らないので直ぐに出発する事になったのだそうです。
と言うか、
簀巻きの直後に隣室のキュルケとタバサにも目撃されて連れて行く事になりました。
飛んだり跳ねたり大騒ぎしていれば当然ですね。
目的地はアルビオン。 飛行大陸として有名な白の国・アルビオンです。
手続きその他諸々は姫様とオールド・オスマンが手を回してくれる事になっています。
だからマジで彼を見て赤面すんのを止めろっつってんだろうがこのクソボケ髭爺がッ!!
それでは、おかーさんもお体に気を付けて下さい。
かしこ。
(出す前に爆破されたギーシュの手紙より抜粋)
【薔薇男と穴を掘る使い魔】~白の国の罠(その2)~
「時にギーシュ、アイツを見てくれ。 アイツを如何思う?」
僕の使い魔が指差す先には、鉄の塊が鎮座していた。
『ジドウシャ』と言う代物で、馬よりも速く走れるらしい。
元々の世界でこれを修理するのを生業としていた時の知識を基に
コルベール先生の錬金で部品を作って貰って組み立てたと彼に説明された。
今は細かいデータを収集する為のモニターと言う形で使わせて貰っているのだそうだ。
現時点では殆どの部品の量産は難しそうだし、
この『ジドウシャ』とやらがトリステインで普及するのはまだまだ先だとは思うけどね。
エンジンとやらに火の魔法が必要だから、土のドットメイジである僕には扱えないし。
『ガソリン』と言う油を錬金すれば僕にも使えるらしいけど……。
そんな訳で、
今回は炎のトライアングルメイジであるキュルケが『ガソリン』の代役になった。
助手席に座ったキュルケが、目の前の孔に杖を差し込んでグルリと回す。
「指しました……。」
「ああ……次は『ファイヤー・ボール』だ………。」
ドルン……ッ!!
キュルケが呪文を唱え終わると、この鉄の塊が重低音と共に震動し始めた。
次の瞬間、乗馬で馬を全力疾走させた時の様な強力な慣性が僕達を襲う。
速い速い。 本当に速い。
タバサのシルフィードと並走出来る位速い。
速過ぎて、僕を含めた皆が吐きそうになってる。
だが、僕・才人・ルイズ・タバサでもうパンパンの座席で吐いたら大惨事確定だ。
それ以前に、明日からの渾名がギーシュ・ド・ゲロモンとかになりかねない。
召喚の儀式の際に捨てたグラモン家の家訓を拾い直す。
何としても、名誉を守る為に頑張らなければ。
頑張らなければ。
頑張らなければ。
頑張らなければ。
……………うん、もう無理。
結局、数十キロメイル程先の山道を進めば到着と言う所で全員ぶちまけた。
僕等の堤防が決壊する前に『ジドウシャ』を止められたのは僥倖と言うべきか。
口元を拭いながら、僕達は顔を見合わせてコクリと頷く。
まずキュルケとルイズが原型を留めない位までブツを焼き尽くす。
次にサイトがデルフリンガーで掘った穴にタバサが風で全て流し込む。
最後に僕のワルキューレで穴を埋めて均す。
秘密を共有した僕達のチームワークは、魔法衛士隊もかくやと言うべき物だった。
この先如何なる苦難があろうとも、僕達の絆が切れる事は無いだろう。
このクソミソな体験を通じて、
僕達の心は『これ以上あの鉄塊に乗りたくない』と言う思いで一つとなった。
代わりの交通手段を確保する為、
唯一ピンピンしている『悪魔』に馬を連れて来る様に頼んでラ・ロシェールに向かわせる。
休み無しで飛んで来たシルフィードがへばっている為、当然残る移動手段の『ジドウシャ』で。
さて、此処で問題です。
この『ジドウシャ』を動かすには火の魔法が必要ですが、彼はメイジではありません。
ならば、誰を同行させるべきでしょうか?
一瞬でその回答を出した僕,才人,ルイズ,タバサの合計8個の眼がキラリと光る。
キュルケの褐色の肌にタラリと汗が流れる。
「君は良い友人だったが、君の属性がいけないのだよ。」
僕達4人の絆が豚の様な悲鳴を上げて逃げるキュルケを捕らえると、
矢鱈と手際良くタバサが暴れるキュルケを押さえ付けて助手席へと押し込む。
美少女2人のキャットファイトが倒錯的で素敵だね。
才人が学院の男子生徒に『フラグ塗れ』,『好色一代男』と謗られる程の話術で説得する。
ほんの数分程度でネゴシエーションに成功する才人。
爆音を鳴らし、『ジドウシャ』が発進する。
何と言うか、彼の姿は僕に似ている……と言うか僕より性質が悪くないか?
貧乳ルイズ・巨乳キュルケ・普乳メイド・美乳姫殿下と
彼の立てたフラグは既に裏ペンタゴンの4つを制覇してしまっているではないか。
本当にけしからんね。
あれかね?
俺よりエロい奴に会いに行くとか行って旅に出た先で奇乳の女の子と懇ろになって、
裏ペンタゴンの世界に胸革命(バスト・レボリューション)のビッグウェーブを起こす気なのかね?
いずれマリコルヌ辺りに刺されそうだ。
と言うか、彼がモンモランシーに手を出したら僕が刺す。
寧ろ、手を出される前に僕が刺してやろうか。
早速荷物の中からナイフを取ろうと僕が振り返ると、
オーク鬼の様な表情をしてドラゴンレベルの殺気を放ってらっしゃるルイズがいた。
取り敢えず、土下座する。
三つ指着いて地面を凝視する。/凄まじい爆発音がした。
三つ指着いて地面を凝視する。/何かが砕ける音がした。
三つ指着いて地面を凝視する。/断末魔の声が聞こえた。
使い魔とキュルケが帰ってくるまで、残りの距離から見て多分大体30~40分。
モンモランシーによって土下座の達人となった僕には何と言う事は無い時間だ。
才人を生贄に捧げ、僕は只管に地面を凝視する。
いや、本当に人と人の絆って儚い物なのだね。
おかーさん、僕は今日又一つ賢くなりました。
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奥さん、ギーシュです。
ありのままさっき起こった事を話すと、
盗み聞きした部屋の中にいた姫様に簀巻きにされました。
で、今。
ワルキューレで荷造りしながら、自室でこの手紙を書いています。
姫様直々の秘密任務に向かう彼等に僕も同道する事になったのです。 ヤッター!!
本当なら明朝増援が来るのを待つ予定だったのだけど、
僕の様な目撃者がまた現れないとも限らないので直ぐに出発する事になったのだそうです。
と言うか、
簀巻きの直後に隣室のキュルケとタバサにも目撃されて連れて行く事になりました。
飛んだり跳ねたり大騒ぎしていれば当然ですね。
目的地はアルビオン。 飛行大陸として有名な白の国・アルビオンです。
手続きその他諸々は姫様とオールド・オスマンが手を回してくれる事になっています。
だからマジで彼を見て赤面すんのを止めろっつってんだろうがこのクソボケ髭爺がッ!!
それでは、おかーさんもお体に気を付けて下さい。
かしこ。
(出す前に爆破されたギーシュの手紙より抜粋)
【薔薇男と穴を掘る使い魔】~白の国の罠(その2)~
「時にギーシュ、アイツを見てくれ。 アイツを如何思う?」
僕の使い魔が指差す先には、鉄の塊が鎮座していた。
『ジドウシャ』と言う代物で、馬よりも速く走れるらしい。
元々の世界でこれを修理するのを生業としていた時の知識を基に
コルベール先生の錬金で部品を作って貰って組み立てたと彼に説明された。
今は細かいデータを収集する為のモニターと言う形で使わせて貰っているのだそうだ。
現時点では殆どの部品の量産は難しそうだし、
この『ジドウシャ』とやらがトリステインで普及するのはまだまだ先だとは思うけどね。
エンジンとやらに火の魔法が必要だから、土のドットメイジである僕には扱えないし。
『ガソリン』と言う油を錬金すれば僕にも使えるらしいけど……。
そんな訳で、
今回は炎のトライアングルメイジであるキュルケが『ガソリン』の代役になった。
助手席に座ったキュルケが、目の前の孔に杖を差し込んでグルリと回す。
「指しました……。」
「ああ……次は『ファイヤー・ボール』だ………。」
ドルン……ッ!!
キュルケが呪文を唱え終わると、この鉄の塊が重低音と共に震動し始めた。
次の瞬間、乗馬で馬を全力疾走させた時の様な強力な慣性が僕達を襲う。
速い速い。 本当に速い。
タバサのシルフィードと並走出来る位速い。
速過ぎて、僕を含めた皆が吐きそうになってる。
だが、僕・才人・ルイズ・タバサでもうパンパンの座席で吐いたら大惨事確定だ。
それ以前に、明日からの渾名がギーシュ・ド・ゲロモンとかになりかねない。
召喚の儀式の際に捨てたグラモン家の家訓を拾い直す。
何としても、名誉を守る為に頑張らなければ。
頑張らなければ。
頑張らなければ。
頑張らなければ。
……………うん、もう無理。
結局、数十キロメイル程先の山道を進めば到着と言う所で全員ぶちまけた。
僕等の堤防が決壊する前に『ジドウシャ』を止められたのは僥倖と言うべきか。
口元を拭いながら、僕達は顔を見合わせてコクリと頷く。
まずキュルケとルイズが原型を留めない位までブツを焼き尽くす。
次にサイトがデルフリンガーで掘った穴にタバサが風で全て流し込む。
最後に僕のワルキューレで穴を埋めて均す。
秘密を共有した僕達のチームワークは、魔法衛士隊もかくやと言うべき物だった。
この先如何なる苦難があろうとも、僕達の絆が切れる事は無いだろう。
このクソミソな体験を通じて、
僕達の心は『これ以上あの鉄塊に乗りたくない』と言う思いで一つとなった。
代わりの交通手段を確保する為、
唯一ピンピンしている『悪魔』に馬を連れて来る様に頼んでラ・ロシェールに向かわせる。
休み無しで飛んで来たシルフィードがへばっている為、当然残る移動手段の『ジドウシャ』で。
さて、此処で問題です。
この『ジドウシャ』を動かすには火の魔法が必要ですが、彼はメイジではありません。
ならば、誰を同行させるべきでしょうか?
一瞬でその回答を出した僕,才人,ルイズ,タバサの合計8個の眼がキラリと光る。
キュルケの褐色の肌にタラリと汗が流れる。
「君は良い友人だったが、君の属性がいけないのだよ。」
僕達4人の絆が豚の様な悲鳴を上げて逃げるキュルケを捕らえると、
矢鱈と手際良くタバサが暴れるキュルケを押さえ付けて助手席へと押し込む。
美少女2人のキャットファイトが倒錯的で素敵だね。
才人が学院の男子生徒に『フラグ塗れ』,『好色一代男』と謗られる程の話術で説得する。
ほんの数分程度でネゴシエーションに成功する才人。
爆音を鳴らし、『ジドウシャ』が発進する。
何と言うか、彼の姿は僕に似ている……と言うか僕より性質が悪くないか?
貧乳ルイズ・巨乳キュルケ・普乳メイド・美乳姫殿下と
彼の立てたフラグは既に裏ペンタゴンの4つを制覇してしまっているではないか。
本当にけしからんね。
あれかね?
俺よりエロい奴に会いに行くとか行って旅に出た先で奇乳の女の子と懇ろになって、
裏ペンタゴンの世界に胸革命(バスト・レボリューション)のビッグウェーブを起こす気なのかね?
いずれマリコルヌ辺りに刺されそうだ。
と言うか、彼がモンモランシーに手を出したら僕が刺す。
寧ろ、手を出される前に僕が刺してやろうか。
早速荷物の中からナイフを取ろうと僕が振り返ると、
オーク鬼の様な表情をしてドラゴンレベルの殺気を放ってらっしゃるルイズがいた。
取り敢えず、土下座する。
三つ指着いて地面を凝視する。/凄まじい爆発音がした。
三つ指着いて地面を凝視する。/何かが砕ける音がした。
三つ指着いて地面を凝視する。/断末魔の声が聞こえた。
使い魔とキュルケが帰ってくるまで、残りの距離から見て多分大体30~40分。
モンモランシーによって土下座の達人となった僕には何と言う事は無い時間だ。
才人を生贄に捧げ、僕は只管に地面を凝視する。
いや、本当に人と人の絆って儚い物なのだね。
おかーさん、僕は今日又一つ賢くなりました。
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