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堕天召喚録カイジ 第5話 - (2007/08/01 (水) 02:11:49) の最新版との変更点
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第五話「王国」
ああ……それにしても退屈っ……!!
トリステイン魔法学院の学院長室は本塔の最上階にある。
そこにいるのは、トリステインの影の帝王……オールド・オスマンと、学院中の教師たちであった。
ざわ…… ざわ……
長い白ひげをたくわえたオスマン氏は、重厚なつくりのテーブルに肘をつき、目の前の教師たちを見回した。
「ククク……無論……と言うか……
言うまでもなく……わしは持っておるっ……!
この学院の誰よりも……持っておるっ……!
力をっ……!
カネで……コネで……!
魔法力で……権力で……! 持っておるっ……!
ククク……!
生徒はいわば人質っ……! トリステイン王家であっても容易には手を出せぬ……!
最近では、ガリア王家へのつながりも手にした……
簒奪された血筋だが……正統継承権は持っているっ……
転ばぬ先のなんとやらだ……!
常にリスクの分散は怠らないっ……!」
ざわ…… ざわ……
学院長の言葉に教師たちがざわめく。やがて一人が手を叩き始めると、すぐにそれは万雷の拍手に変わった。
「学院長っ……! 学院長っ……! 学院長っ……!」
教師たちの声に両手を上げて応えるオールド・オスマン。
「バカがっ……!!!!」
バーンッ!!
突然机に手を叩きつけるオールド・オスマンに、一瞬で学院長室は静まり返る。
「つまらんわっ……まるで……!!
わしは……もっともっと……楽しみたいんじゃっ……!
女を……! 賭博を……! 決闘を……!
邁進せよっ……! 掻き集めるんじゃっ……! 世界中の力をっ……!!
貴族とはつまるところ力につきるっ……!
それを牛耳る魔法学院こそ……王っ……!
築くんだっ……!
王国をっ……!」
オールド・オスマンの言葉に歓声を上げる教師たち。
ワァー!! ワァー!! ワァー!!
「学院長っ……! オスマン学院長っ……! 学院長っ……!」
「容赦なく勝てっ……! 王国実現のためにっ……!」
「勝ちますっ……! 勝ちますっ……!」
「以上だっ……! フフ……では……解散しよう……!」
昼の訓示を終え、教師たちは各々の授業へと戻っていった。
……いや、ひとりの教師が、学院長室に残っていた。コルベールである。
「学院長。内密のお話が……ミス・ヴァリエールの呼び出した使い魔のことなのですが……」
「なんだっ……! はっきりと言えっ……!」
イライラとコルベールをにらみつけるオールド・オスマン。コルベールは冷や汗をかきながら続ける。
「はっ……! 珍しいルーンであったので、調べましたところ、伝説の『ヴィンダールヴ』ではないかと……!
『ヴィンダールヴ』といえば、幻獣を自在に操るという使い魔……ご報告をと思いまして……」
コルベールの話を聞き、見る見るオールド・オスマンの表情が変わっていく。
「ククク……カカカ……コココ……!
面白いっ……! 面白いではないかっ……あぁ~んっ……!?
詳しくだっ……もっと詳しく説明しろっ……!
我が右腕っ……! コルベールっ……!」
「はっ……!!」
コルベールはその輝く頭を深々と下げた。
右腕……!
これはつまり……事実上……
学院長に次ぐナンバー2であることの証明……!
コルベールはほかの教師をおさえ……ナンバー2……!
その地位を確立したっ……!
ルイズが爆破した教室の片付けが終わると、使い魔たちは各々の主人のもとに帰っていった。
『覚えていてくれ……! 我らは友人っ……!
いつでも、共にあることを……』
別れ際、フレイムの一言がカイジの心にやさしい灯を燈していた。
(やれる……! 一人じゃねぇっ……! 俺は孤独じゃないっ……!
仲間っ……! 友人っ……! 信頼っ……!
それこそが本当の力……魔法なんかよりもずっと強力な力っ……!
貴族たちに反撃するナイフっ……小さくとも尖った刃だっ……!)
……やがて、自分のベッドで静かに泣いていたルイズが、教室に戻ってきた。
黙って二人で食堂に向かう。
カイジの昼食は抜きであった。
第五話「王国」終わり
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第五話「王国」
ああ……それにしても退屈っ……!!
トリステイン魔法学院の学院長室は本塔の最上階にある。
そこにいるのは、トリステインの影の帝王……オールド・オスマンと、学院中の教師たちであった。
ざわ…… ざわ……
長い白ひげをたくわえたオスマン氏は、重厚なつくりのテーブルに肘をつき、目の前の教師たちを見回した。
「ククク……無論……と言うか……
言うまでもなく……わしは持っておるっ……!
この学院の誰よりも……持っておるっ……!
力をっ……!
カネで……コネで……!
魔法力で……権力で……! 持っておるっ……!
ククク……!
生徒はいわば人質っ……! トリステイン王家であっても容易には手を出せぬ……!
最近では、ガリア王家へのつながりも手にした……
簒奪された血筋だが……正統継承権は持っているっ……
転ばぬ先のなんとやらだ……!
常にリスクの分散は怠らないっ……!」
ざわ…… ざわ……
学院長の言葉に教師たちがざわめく。やがて一人が手を叩き始めると、すぐにそれは万雷の拍手に変わった。
「学院長っ……! 学院長っ……! 学院長っ……!」
教師たちの声に両手を上げて応えるオールド・オスマン。
「バカがっ……!!!!」
バーンッ!!
突然机に手を叩きつけるオールド・オスマンに、一瞬で学院長室は静まり返る。
「つまらんわっ……まるで……!!
わしは……もっともっと……楽しみたいんじゃっ……!
女を……! 賭博を……! 決闘を……!
邁進せよっ……! 掻き集めるんじゃっ……! 世界中の力をっ……!!
貴族とはつまるところ力につきるっ……!
それを牛耳る魔法学院こそ……王っ……!
築くんだっ……!
王国をっ……!」
オールド・オスマンの言葉に歓声を上げる教師たち。
ワァー!! ワァー!! ワァー!!
「学院長っ……! オスマン学院長っ……! 学院長っ……!」
「容赦なく勝てっ……! 王国実現のためにっ……!」
「勝ちますっ……! 勝ちますっ……!」
「以上だっ……! フフ……では……解散しよう……!」
昼の訓示を終え、教師たちは各々の授業へと戻っていった。
……いや、ひとりの教師が、学院長室に残っていた。コルベールである。
「学院長。内密のお話が……ミス・ヴァリエールの呼び出した使い魔のことなのですが……」
「なんだっ……! はっきりと言えっ……!」
イライラとコルベールをにらみつけるオールド・オスマン。コルベールは冷や汗をかきながら続ける。
「はっ……! 珍しいルーンであったので、調べましたところ、伝説の『ヴィンダールヴ』ではないかと……!
『ヴィンダールヴ』といえば、幻獣を自在に操るという使い魔……ご報告をと思いまして……」
コルベールの話を聞き、見る見るオールド・オスマンの表情が変わっていく。
「ククク……カカカ……コココ……!
面白いっ……! 面白いではないかっ……あぁ~んっ……!?
詳しくだっ……もっと詳しく説明しろっ……!
我が右腕っ……! コルベールっ……!」
「はっ……!!」
コルベールはその輝く頭を深々と下げた。
右腕……!
これはつまり……事実上……
学院長に次ぐナンバー2であることの証明……!
コルベールはほかの教師をおさえ……ナンバー2……!
その地位を確立したっ……!
ルイズが爆破した教室の片付けが終わると、使い魔たちは各々の主人のもとに帰っていった。
『覚えていてくれ……! 我らは友人っ……!
いつでも、共にあることを……』
別れ際、フレイムの一言がカイジの心にやさしい灯を燈していた。
(やれる……! 一人じゃねぇっ……! 俺は孤独じゃないっ……!
仲間っ……! 友人っ……! 信頼っ……!
それこそが本当の力……魔法なんかよりもずっと強力な力っ……!
貴族たちに反撃するナイフっ……小さくとも尖った刃だっ……!)
……やがて、自分のベッドで静かに泣いていたルイズが、教室に戻ってきた。
黙って二人で食堂に向かう。
カイジの昼食は抜きであった。
第五話「王国」終わり
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