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ゼロのしもべ第2部-6 - (2007/07/19 (木) 01:21:28) のソース
桟橋が見えた。 背後で燃え盛る町が、煌々と桟橋を照らし出している。 さらには月のおかげもあって、隅々まで夜目が必要がないほどくっきり見えている。 桟橋は山ほどもある巨大な樹であった。枝には確かに船がイカリをおろすようにぶら下がっている。 その中の一艘が、今まさに出撃するのだといわんばかりに帆を張り始めている。 急いで樹に開いた穴に入る。中がうろのようになっていて、階段がついている。 「む?」 異常な殺気が、バビル2世を捕らえた。 ケツの穴にツララをぶっこまれたような殺気だ。 何かがバビル2世めがけて吹っ飛んできた。精神集中も間に合わず、樹の外へ吹っ飛ばされた。 くるくると回転してネコのように着地する。しかし、間髪いれず何かが呪文を唱えた。 「おまえはあのときの!」 奇襲を仕掛けて来たのはあの白仮面であった。だが、次の瞬間バビル2世でさえ避けようもない速さで、雷が放たれていた。 電撃がバビル2世を捕らえた。 バチバチッとバビル2世の身体に火花が走った。が、それだけであった。 効かなかったことを確認した白仮面が慌てて身を翻す。 「どうやらこの世界の魔法も電撃ならば吸収できるらしいな。」 それを聞いたのかどうか、白仮面はすでに逃げ出していた。一瞬追いかけようと考えたバビル2世だったが、船は枝につないだ もやい綱を解いているところであるらしい。 「ずいぶん焦っているな。」 いったい何が起こったのかと訝しくも思ったが、早く乗らなければ船が出てしまう。あとでロプロスで追いかけてもよいが、目指す アルビオンとやらの広さがどの程度かわかっていない以上、バラバラになってしまえば落ち合うのも一苦労だろう。せめて落ち合う 場所を決めておけばよかったのだが、今更な話である。それにバラバラに行動するなどという話はなかったのだから。 白仮面はその間に姿を消している。しょうがない、今は船に乗るのを先決すべきだろう。 リスのように超巨大樹を駆け上る。あっというまに目的の枝まで移動して、出発直前の船に飛び乗った。 「ひゃあ!」 甲板に着地したバビル2世を見て船長らしき酒臭い男が尻餅をついた。酒臭いにもかかわらず妙に顔が青い。 「やあ、すまない。」 「な、なんだ、てめえは。」 どやどやとルイズたちが甲板に現れた。 「ビッグ・ファイア!」 バビル2世の顔を見て、ルイズたちが叫んだ。 「よかった。なんとか間に合ったようだね。」と、ロリコンがほっとしたように言う。 「子爵様、お知り合いで?」 その様子を見て船長が尋ねる。ああ、と頷き事情を説明しているロリコン。 ったく今日は何て日だ、町には化け物が出るし、博打では負けるし、船に飛び乗ってくる野郎がいるし、とブツブツ呟く船長。 船はその間に空中に一瞬沈み、すぐに風石が発動して宙に浮かんだ。帆と羽が風を受け膨れ上がり、船が動き出した。 「ところで、アルビオンとやらにはいつごろつくんだい?」 ロリコンに尋ねると、「明日の昼頃らしい」との答えが帰ってきた。 「ところで、あなたはこの船にずっといましたか?」 「ああ、いたよ。船長に船を早く出すなら乗せてくれないかと交渉していたが?」 「ふむ。」 何が気になっているのか問うバビル。それを見ていたルイズが横から口を挟んだ。 「なにが気になっているのかしらないけど、ワルド様はずっとわたしたちと一緒にいたわよ?」 「そうか。なに、ちょっと似た人間をさっき見たんでね。」 ごめんごめん、と疑った人間の婚約者をなだめる。だがどうも腑に落ちない。なにしろ魔法の世界だ。なんでもありでもおかしくはない。 ならばここは心を無理矢理読んで…、と精神集中を始めるが、 「ちょっと!ビッグ・ファイア、なにやってるのよ!」 ルイズにすぐに気づかれてしまい、お叱りを受けて止めさせられた。おまけに説教が長く続きそうであった。 しょうがない、ここは話題を変えようと、 「ところで、今回の目的であるところの、ウェールズ王子の行方は?」 「わからん。生きてはいるようだが……」ロリコン首を振る。 「まあ、ここで答えの出ぬ問いを言っていても仕方があるまい。ここはアルビオンに着き、直接無事を確かめる以外に方法はない だろう。だが、王子のいるニューカッスルは包囲され落城寸前だとも言う。はたして、間に合うかどうか…」 そして、翌日昼――― 「アルビオンが見えたぞー!」 という見張り船員の声に外へ出るバビル2世たち。目の前に白い雲が広がり、その上に黒々と大陸が覗いていた。大陸ははるか 視界の続く限り伸びている。地表には山が聳え、川が流れている。川が空中で霧となり、雲となって消えていた。 「すごいな。」 思わず呟くバビル2世に、「驚いた?」と自分の功績でもないのにかわいらしい胸を張るルイズ。 「浮遊大陸アルビオン。ああやって、空中を浮遊して、主に大海の上をさまよっているわ。でも月に何度かハルケギニアの上に やってくる。大きさはトリステインの国土ほどもあるわ。通称、白の国。」 「ふむ。」感心して頷くバビル2世。 「それで、この大陸が通るルートはいつも同じなのかい?」 「ええ、同じみたいよ。詳しいことは知らないけど……」 「ひょっとすると、空中にこの大陸を浮かばせているレールのようなものがあって、その上を滑っているのかもしれないな。」 「なによ、レールって。ビッグ・ファイアの世界にあった道具?」 道具というか、道みたいなものだよというと納得するルイズ。もう一度大陸を見ると、霧は雲となり、大陸の後ろをたなびいている。 あれが雨雲になって、ハルケギニアに大雨を降らすのだ、とルイズが説明してくれた。 ふと横を見るとギーシュが風呂敷の中身を広げて弄っていた。 「やあ、ギーシュ。」 「ああ、ビッグ・ファイアか。」 ようやく原理がわかったよ、ここを押すと風が吹き込んで火のついた炭を燃え上がらせるんだね、とふいごを弄って説明するギーシュ。 「でも、これをどうしろって言うんだい?」 「それは、きみの二つに名について考えるべきだ。」 「二つ名?青銅かい?」 「ああ。よく、青銅の特性について勉強すべきだ。それがわかれば…」 だが、突然の見張りの声に、バビル2世の声はかき消された。 「右舷上方の雲中より、船が接近してきます!」 バビル2世がその方向を見たときにはもう遅かった。雲を利用してすでに大砲の射程距離にこちらを捕らえた空賊が、手を伸ばせば 届くような距離にまで近寄って来ているところであったのだ。 「……なんか臭い…」 「いやねぇ、髪に匂いが移っちゃうわ」 ルイズが呟く。メイジとわかると身代金を取れると踏んだ空賊は最上級の扱いで超上等の迎賓室へルイズたちを案内してくれた。 つまり杖を取り上げられ、倉庫兼弾薬庫に蹴るようにして押し込められ、完全に閉じ込められたのである。もうこうなっては手も足も でない。達磨と一緒だ。 鍵はもちろんこちら側にはついていないので、扉を強引に開ければ即座に空賊たちが丁寧に出迎えてくれるだろう。バビル2世は ともかく他の5名はあっというまにこの倉庫へ逆戻りに違いない。 「まあ、逃げ出すのは陸についてからでもできるだろう。今は停戦するのを待ったほうが懸命じゃないかな?」 「ああ、たしかに。風石はいずれ尽きるだろうから、港に戻らざるを得まい。僕は風魔法を使えるし、油断を見計らって船を奪い、 切れた風石を補充すればすぐにでも逃げ出せるはずだ。」 タバサも風系統のメイジだったはずだが、うんともすんとも言わず本を読んでいる。「ハッピー三国志」なる本だ。ものすごく内容が気に なる。 「ところで…」 とロリコンが口を開く。「僕とみんなの距離が微妙に開いているのはなぜかな?」 言わなくてもわかるだろう、と視線が突き刺さる。 「へ、閉鎖空間だからっていたずらなんかしないよ!」 「どうだか。」 「わたしは、まあ、ストライクゾーン外でしょうけど、あんまり近寄りたくないし。」 「……同じ空気を吸うだけで、妊娠。」 「ぐはあ!」 ロリコンがまたもや激しくダメージを受けている。 「そうだね、「どうせ死ぬんだ!」とか言いながら襲われるかもしれないしねえ」 「ルイズはいいでしょうけど、タバサは縁もゆかりもない人にされるのはねぇ」 「犬猫以下…見境なし…」 「あまり言ってやらないほうがいいんじゃないかな?仮にもぼくの主人の未来の夫だろう?」 「きみたちはほっとくと無茶苦茶いいよるな」なぜか関西弁交じりになるロリコン。 「……お前ら、捕虜の自覚はあるのか?」 気づくと呆れたように、痩せぎすの空賊が扉を開けていた。 「おかしらがお呼びだ、来い」 「王党派?」 何をいってるんだこの女は、と言いたげに問い返してくる。例えるならば東京都庁前で「これが東京タワーですか?」と聞いてきた 頭の軽そうな女を見るような、そんな感じだ。 「ええ、そうよ。」 「もう一度聞くが、本当に王党派なのか?トリステイン貴族が、いまどきのアルビオンにきて、王党派の援軍だって言うのか?」 空賊たちがこりゃあおもしろいものを見たとばかりにどっと笑った。 「そんな、明日にでも消えちまうようなところに加勢に行ってどうするんだ?葬儀屋が儲けるだけだぞ?悪いことはいわねぇよ、貴族派 につくんだな。あいつらは今、メイジが喉から手が出るほど欲しいんだ。たんまり礼金がもらえるぞ。」 「死んでも嫌よ!」 「絶対に?」 「絶対にノゥ!!!わたしはメイジ。ノゥとしか言わないのが貴族よ!」 「ならばきみの心変わりを誘発しよう。」 おかしらが指を鳴らして合図をすると、周りの連中が一斉に剣を抜いた。 「完全武装空賊!この命知らずたちにキミは勝てるというかね?」 「イエスッ!」 「ノーとしか言わないはず!?」 「もういいから話を進めましょう、ウェールズ王子。」 ザッと空賊たちの顔色が一瞬で変わり、真顔になってバビル2世を見た。 「な、なに言ってやがる!」 「だ、だれがウェールズのアホボンだ!」 「そうだ、あの変態王子なんかとうちのおかしらをいっしょにするな!」 「あんなアンポンタンと間違えやがって!」 「お前ら、とりあえず減給!」口々にウェールズを罵る部下たちに冷たく言い放つおかしら。 おかしらが閻魔帳に採点しながら立ち上がった。ルイズたちは話の急展開振りに戸惑い、顔を見合わせた。 「驚いたな。まさかばれるとは思っていなかったんでね。失礼した、貴族に名乗らせるなら、こちらから名乗らなくてはね。」 周りにいた空賊が、減給…とぼやいていた連中も含め、一斉に直立した。 縮れた黒髪をはぎ、眼帯を取り外し、髭を剥がす。現れたのはりりしい金髪の若者であった。 「私はアルビオン王立空軍大将、本国艦隊司令長官…といってもすでにこのイーグル号しか残っていないがね。」 若者は居住まいを正し、威風堂々と名乗った。 「アルビオン王国皇太子、ウェールズ・テューダーだ。アルビオン王国へようこそ、大使殿。」 「つまりぼくたちは試されていた、ということですね、王子。」 「その通りだ。吉良亭に討ち入る同士を何度も試した大石内蔵助ではないが、とてもではないが外国に我々の味方の貴族がいる とは夢にも思わなかったものでね。きみたちを試すような真似をしてすまない。」 ここまで来ても状況のつかめていないルイズの代わりに、ロリコンが優雅に頭を下げて言った。 「姫殿下より、密書を言付かってまいりました。」 「ふむ、姫殿下とな。きみは?」 「トリステイン王国魔法衛士隊、グリフォン隊隊長、ワルド子爵。 」 それからロリコンはルイズたちを次々紹介していく。 「そしてこちらが姫殿下より大使の大任をおおせつかったラ・ヴァリエール嬢とその使い魔の少年でございます、殿下。」 「使い魔?ふむ。私の変装を見破ったのが使い魔か。これは君たちにばれたのは不幸中の幸いだったというべきだろうかな?」 と、何かに気づいたようにバビル2世の格好を見るウェールズ。ルイズが慌てて手紙を取り出そうとして、躊躇し王子を見る。 「あ、あの……その、失礼ですが、本当に皇太子様?」 ウェールズは笑った。 「まあ、さっきまでのこともある。無理もない。僕は正真正銘のウェールズだよ。なんなら証拠をお見せしよう。」 ウェールズはルイズに、自分の薬指に光る指輪を外して渡した。ルイズの指に嵌っていた水のルビーが共鳴しあい、虹色に輝いた。 「この指輪の石は王家に伝わる風のルビー。そしてキミの指についているのはアンエリッタの嵌めていた水のルビーだ。そうだね? 水と風は虹を作る。王家の間にかかる虹さ。」 「大変、失礼をばいたしました。」 ルイズは一礼をして手紙をウェールズに渡す。ウェールズは愛おしそうに手紙を見つめ、花押に接吻した。が、中を読み始めると、 表情に曇りが出た。そして顔を上げ、真剣な顔で 「姫は結婚するのか?あの、愛らしいアンリエッタが。私の可愛い……従姉妹は……」 ワルドは無言で頭を下げる。ウェールズは再び視線を手紙に戻す。そして最後の一行まで読むと微笑んだ。 「了解した。姫の願いに答えよう。何より大切な姫から貰ったものだが、姫の望みは私の望みだ。そのようにしよう。だが、手紙は 今手元になくニューカッスルの城にあるんだ。姫の手紙を空賊船につれてくるわけには行かないのでね。それに……」 ウェールズは笑っているような、泣いているような、耐えているような顔のまま言った。 「それに、僕のほうからも君たちに頼みがあるんだ。始祖から伝えられたという王家の秘宝を賊に渡すわけにはいかない。きみたちに、 ぜひ持ち帰ってもらいたいんだ。多少、面倒だがニューカッスルまでご足労願いたい。」 雲中を通り、大陸の下に出てニューカッスルの秘密軍港に到着した。 途中、巨大戦艦「レキシントン」なる反乱軍の旗艦の目をやり過ごし、慎重に隠密潜行を行った末の到着であった。 それはまさに「空賊」であった。 無事城に到着した一行は杖と武器を返され二手に分かれた。いつの間にかデルフリンガーまで改修されていたらしい。ロリコンたちは こちらのメイジたちと王女の代理として歓談、一方ルイズとバビル2世はウェールズに案内され粗末な彼の居室へと迎えられた。何を 話したのか、ルイズだけが中に迎え入れられたため詳細はわからない。魔法をかけているのだろう。超感覚をもってしても中の様子は 細々としか聞こえてこない。やがて扉が開き、ルイズが手招きをしてバビル2世を呼んだ。その表情で、なんとなく中でどんなやり取り が行われていたか察せられた。 「仕事よ、ビッグ・ファイア。」 先ほどの通り、王家の秘宝を処分したいのだという。できれば持って帰って欲しいが、無理ならば完全に破壊して欲しい。とのことで、 極秘に行う必要があるため、ウェールズとルイズ、そして使い魔であるバビル2世のみがその任に当たることになったのだ。 粗末なベッドを移動させ、椅子を代わりに足の部分に当てて置く。するとタペストリーのかかった壁が割れ、入り口が開いた。 中は天然の洞窟を利用した通路になっており、長い階段が備えられている。 そこを降りながら、ルイズはつい気になったことを聞いてみた。 「それで、アルビオン王家の秘宝とはいったい何なのでしょうか?」 ルイズはいくつか噂に聞いたことがあった。始祖から伝わった宝が、それぞれの王家に伝わっている、と。たとえばトリステインには 始祖の祈祷書なる書物があるという。アルビオンについて聞くのは… 「まさか、始祖のオルゴール…でしょうか?」 「半分、正解だ。」 ウェールズは笑って答えた。屈託のない、いい笑顔であった。育ちのよさがその笑みからにじみ出ているようであった。 「秘宝は二つあるんだ。一つはオルゴール…だがそれは先の戦いで行方知れずとなった。」 50mほど降りてホールに出る。竜が臥せたような意匠が施された門と子供をかたどったらしい石像がそこにあった。 ウェールズはその石像に深く一礼をした。 「さあ、まず入り口まで戻りましょう」 「え?戻るんですか?」 往復し今度は門を指でなにやら字を書くようになぞった。 「私もこの字の意味は知らないんだ。ただ、次期王位相続者にのみ門の開け方が代々教えられ伝わってきたんだ。」 再往復する3人。ルイズは半分嫌気が差していた。が、表に出すわけにもいかず粛々と従っていた。 ふとルイズはバビル2世がどこかで見た何かを思い出そうとしているような顔をしていることに気づいた。 『ちょっと!そんな顔するんじゃないわよ!』 『い、いや、そうじゃなくてどこかでこれと似たような話を…』 『シッ!静かに。ここであとは門が開くまで待たないといけないんだ。場合によっては半日でも、1日でも…』 が、そのときはやけにあっさりと開いた。 「やはり…」 なにがやはりなんだろうか?そう思うルイズ。ウェールズ王子は奥へと2人を手招きする。 「やはりそうだったのか。この服、ラ・ヴァリエール嬢の使い魔のものとよく似ていると思わないかい?」 「こ…これは、人?でしょうか…?」 「いや、これはどうも超精密なゴーレムやガーゴイル、らしい。実際のところよくわからないんだ。」 ブルルルル、とバビル2世の背中でデルフリンガーが震えた。何事かと鞘から抜こうとするがでてこない。 無理矢理ひきぬくと、いつもの調子はどうしたのか異常に怯えた様子で 「あれはやばい/あれは起こしちゃダメだ/よく覚えてないけどやばいんだ/起こしちゃいけない!/」 「インテリジェンスソードか。珍しいな」ウェールズ王子が気づいてこちらを見る。 「そこの剣、きみはなにかこれについて知っているのかい?王家では始祖の使い魔と言われているんだが。私も胸にルーンが刻ま れているのを確認したよ。」 「伝説の始祖の使い魔ですか!?」 「そ、そうなんだよ/だからやばいんだ!/そいつは起こしちゃいけねえ!/」 その時、ルイズは気づいた。始祖の使い魔が震えていることに。 「う、動いている!?」 「目覚めやがったのかよ!/おしまいだ、畜生め!/」 それの目が開く。 ゆっくり立ち上がり、手に持った羽扇子をふわっと舞わせる。白いスーツを着、口髭を生やした細身の男のようなゴーレムが目覚めた。 「おお、コウメイ様が…!」「げぇっ!コウメイ!/」 「お久しぶりです、バビル2世様。」 コウメイ、と呼ばれたそれは優雅にバビル2世に向かい、会釈したのであった。