あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ内検索 / 「とある魔術の使い魔と主-26」で検索した結果
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とある魔術の使い魔と主
...の使い魔と主-25 とある魔術の使い魔と主-26 とある魔術の使い魔と主-27 とある魔術の使い魔と主-28 とある魔術の使い魔と主-29 とある魔術の使い魔と主-30 とある魔術の使い魔と主-31 とある魔術の使い魔と主-32 とある魔術の使い魔と主-33 とある魔術の使い魔と主-34 とある魔術の使い魔と主-35 とある魔術の使い魔と主-36 とある魔術の使い魔と主-37 とある魔術の使い魔と主-38 とある魔術の使い魔と主-39 とある魔術の使い魔と主-行間II とある魔術の使い魔と主-40 とある魔術の使い魔と主-41 とある魔術の使い魔と主-42 とある魔術の使い魔と主-43 とある魔術の使い魔と主-44 とある魔術の使い魔と主-45 とある魔術の使い魔と主-46 とある魔術の使い魔と主-47 とある魔術の使い魔と主-48 とある魔術の使い魔と主-49 とある魔術の使い魔と... -
とある魔術の使い魔と主-26
前ページ次ページとある魔術の使い魔と主 当麻が目を覚ました時、そこは既に王宮の中であった。 「ってもう着いたのかー」 失神していた為、時間の経過には鈍感であった。当麻はのんびりと周りを見渡す。 そこには、沢山の兵士達が自分達を囲んでいる。ついでに言うと、レイピアみたいな杖を持っており、いつでも戦闘準備完了のご様子。 (…………待て待てここは目的地のトリステインの王宮じゃないんですか!? それともあれですか、実はタバサさんには方向音痴属性が備わっているんですか!?) 口に出してしまったら殴られそうな雰囲気なので言わない。 当麻は困った。最後は不幸であったがとりあえずグッドエンドを迎えたはずだ。 なのに目が覚めるたら、夢オチと言わんばかりの超展開。とにかく、状況を把握しなければならない。 当麻は近くにいたルイズに話しかけようとした。 「なあルイ... -
とある魔術の使い魔と主-02
前ページ次ページとある魔術の使い魔と主 「何で月が二つあるのですかー!?」 頭を両手で抱え、演技ではないかと思えるぐらいの驚きを放つ。 「当たり前じゃない。というか何でそこで驚くのよ?」 月が二つある事になんら疑問を沸かないルイズに、いやいやいやいやありえないですからー、と言葉に合わせるかのように片手を左右に振る。 「いや、だって月は一つしかないでしょ? それともあれですか、月がなんらかの手違いで分身しちゃいましたテヘッ、とか言っちゃうんですかあんたは!?」 「知らないわよそんなの……そんな事より貴族に対してそんな口の聞き方していいと思ってるの?」 ルイズがやや怒りを篭った口調を上条当麻は無視し、一つの確信を得た。ここは今まで暮らしてきた世界とはわけが違うのを。 あの後、歩いて城もとい学校に着いた当麻は、一緒にいたルイズに状況把握の為色々聞いた。 ここは何処な... -
とある魔術の使い魔と主-17
前ページ次ページとある魔術の使い魔と主 「えっと、二人は幼なじみなのか?」 当麻のその一言で、二人だけの世界から現実へと突き戻された。 ……悪い事したかなー、と当麻は自分の言った言葉に多少の罪悪感を感じた。 二人は楽しそうに昔話をしていた。一緒に悪巧みをしたり、遊んだり、笑いあったり、蚊帳の外である当麻も自然と口元が緩んだ。 当麻の知る限り、ルイズはあまり笑わない人であった。恐らく馬鹿にされ続けて、本当に心を許せる友達がいなかったんだろう。 だから、ルイズにもその許せる友達がいたのだとわかって、当麻は多少なりとも安心した。 って俺はあいつの親父か……ともちろん否定的な考えも浮かべる。 といっても、やはり会話に参加できないというのはなんか寂しい。結果、後先を考えずに思わず聞いてしまったのである。 すると、二人の視線が向けられる。アンリエッタ... -
とある魔術の使い魔と主-09
前ページ次ページとある魔術の使い魔と主 「タバサ。今から出掛けるわよ! 早く支度しちゃって頂戴!」 「虚無の曜日」 キュルケは次の日、再びトウマにアプローチをしようと部屋を訪れたのだが、既にそこには誰もいなかった。 そして窓という枠組みから視界に入り込んできたのは、馬に乗って出ていく当麻とルイズの姿。 なによー、出かけるの? とつまらなそうに呟いたキュルケは、何か閃いたのかルイズの部屋を飛び出した。 そして、今に至る。 本当はタバサが読書に集中したくて無視し続けていた部分があるのだが…… タバサはキュルケの要求をその一言で断った。取られた本を取り返そうとしたが、キュルケは本を高く掲げる。 「わかってる。あなたにとってこの日がどんな日かあたしは痛いほどよく知ってるわよ。でも、今はね、そんなこと言ってられないの。恋なのよ、恋!」 その言葉に、タバサは本当に... -
とある魔術の使い魔と主-01
前ページ次ページとある魔術の使い魔と主 「いてててて……って何処ですかここはー!?」 上条当麻は不幸だった。 とある平日の学校帰り、一人だけ小萌先生の補習を受けた結果、下校時間が遅れ、早くインデックスの夕飯を作らなければゲージ3消費の超必殺技を受けてしまうー、と思いながら駆けていたはず。 はずだった。 ヤバイヤバイ、と早足から全速力へと変わった彼の視界には、召喚の鏡など見えずに中へと華麗に突っ込んだ。 そして結果がこれである。明らかに自分が暮らしてた学園都市とは違う場所。一面に広がる草原。遠くには資料で見た中世ヨーロッパ辺りを思い出される城が建っている。 と、気付く。自分の周りに見たこともない制服を着ている人達を。 「あんた誰よ」 当麻の事を珍しい生き物だと思っているのか、ジトジトと見てくる。 その中で一番当麻に近いピンク色長髪の子が声をかけて来た。 「い... -
とある魔術の使い魔と主-39a
前ページ次ページとある魔術の使い魔と主 行間II 「それで……どうする気だ?」 「どうする気とはなんだね」 土御門は、アレイスターの一言一言に苛立ちを覚えた。質問を質問で返してくる口調、よくキレないなと、自分でもかなり驚いている。 「わかってんだろ、どうやってあいつを戻す気なんだ?」 「ああ、それならば心配はいらん。こちらとあそこを繋ぐ『渦』を作った」 まるで友達が普段会話を交わすようなくらい至って平凡に、怖いぐらい平凡に。 チッ、とその魔術師が行った行為に舌打ちをする。それがどれだけ異常な行為なのかわからないのだろうか? 例えば、伊能忠敬という人物がいる。 彼は、『大日本沿海輿地全図』という名の地図を江戸時代に作った。それは表の歴史でも有名なのだが、裏の歴史でもまた有名なのだ。 なぜ彼が有名なのかとい... -
とある魔術の使い魔と主-13a
前ページ次ページとある魔術の使い魔と主 行間I 「おいアレイスター!」 世界は変わってここは地球のとある都市。 当麻が少し前まで暮らしていた学園都市、その中の、窓も廊下も扉も階段もない一つのビル。 大能力(レベル四)の空間移動しか出入りする事ができない完璧な密室で一人の少年は声を荒げる。 短い金髪をツンツンに尖らせ、青いサングラスで目線を隠した少年――土御門元春であった。 「ふむ、遂に動いたか。これでプランが相当短縮できるな」 その土御門の話し相手、学園都市統括理事長『人間』アレイスターは、嬉しそうに、本当に嬉しそうに笑った。 男にも女にも見え、大人にも子供にも見え、聖人にも囚人にも見える。その『人間』は直径四メートル、全長十メートルを越す強化ガラスの中で、赤い液体と共に緑色の手術衣を着ち、逆さに浮かんでいた。 「一人で勝手に納... -
とある魔術の使い魔と主-04
前ページ次ページとある魔術の使い魔と主 とある少年のお話なら、ここでミスタ・コルベールが左手のルーンの文字を解読し、学園長室へと報告する。 が、こちらの少年のお話は、解読出来ずに話が進んでいくのであった。 「なんでこんな目にあわなきゃならないんですか!?」 「うるさいわね、早く片付けなさいよ」 あんたのせいでしょーが! と、主に不満をぶつけるが、ルイズは黙ったまま机を拭く。 授業が始まり、当麻はやる事がないため話を聞く事にした。 その途中当麻のについての話になった結果、クラス中が笑いに包まれ、ルイズが怒るというトラブルもあったが、他には問題なかった。 しかし、その講義内容に少しでもこの世界についての情報を知ろうと思い、ルイズに質問をぶつけた。 すると、話をしているのをシュヴルーズ先生に気付かれ、ルイズは『錬金』の実演をする事になった。 その結果がこうで... -
とある魔術の使い魔と主-07
前ページ次ページとある魔術の使い魔と主 「「幻想殺し(イマジンブレイカー)?」」 二人の女性の声――シエスタとルイズの声がシンクロする。 「そういう事です。異能の力なら例えどんな事でも打ち消しちゃう右手なのです」 その持ち主、当麻が補足として加えた。あの後ギーシュは当麻に対して降伏し、決闘は誰しもが予想出来なかった結果にへと終った。 その為、当麻の知名度は『ルイズの使い魔の平民』から『メイジを倒した使い魔の平民』へとランクが上がった。 また、あの広場でのルイズに関する発言もあってか、ルイズに向かって馬鹿にする声がかなり減った。恐らく、ギーシュのようになりたくないという思いからであろう。 そして授業が終った後、部屋へと戻った二人は、先のとある騒動の一因であったシエスタを迎えて、先のギーシュのゴーレムをどのようにして倒したかを当麻は説明したのであった。 二人はあまり... -
とある魔術の使い魔と主-12
前ページ次ページとある魔術の使い魔と主 そう、それはもう魔術と呼べる代物ではなかった。 科学で作り上げた、直径一メートルはあるであろうレーザー兵器に近い。今まで見たことがない純白の、輝かしい光が襲い掛かった瞬間、当麻は迷わず、いつもと変わらずに右手を前に突き出す。 突き出すしか彼には方法がないのだ。 じゅう、と熱した鉄板に肉を押し付けるような激突音。 しかし、痛みも熱も感じられない。幻想殺しが全てを防いでいるのだ。 それでも消し切れない。光の柱は消えるような面影が見えない。 (くっ……確か……これはっ……) じりじりと、足が後ろに下がっていく。防ごうと、全身の力を足にへと注ぐ。 もう数秒過ぎている。消しても消しても、消し去ることはない。 そう、当麻は覚えている。この魔術は幻想殺しで防げないのだ。 幻想殺しの処理能力が追い付かない程の質量... -
とある魔術の使い魔と主-10
前ページ次ページとある魔術の使い魔と主 「えーと、今からやらなきゃダメなの?」 「「ダメ(なの)!!」」 時刻は既に夜の時間、今日の満月はいつも通り二つ。 地球のそれより倍の大きさを持つ為、辺りは街灯がなくともそれなりに明るい。 その中で、当麻はキュルケとルイズの二人から襟を引っ張られていた。 二人は相当怒っているようで、当麻のさりげない質問にも必要以上に大きな声で返してくる。 どうしてまたこんな目に……、と泣きながら呟いていると、 「これが世の定め」 と短くタバサが答えを纏めてくれた。 さて何故このようになったのだろうか? 二人が帰ってきて、当麻が腰に手当て、イタタタタタ、と老人っぽく呻いていた時であった。 突如タバサとキュルケが乱入、普段は静かであろうルイズの部屋(正し、当麻が叱られたあの日は別)が、ちょっとした騒動へと変わる。 当麻は、寝床... -
とある魔術の使い魔と主-05
前ページ次ページとある魔術の使い魔と主 当麻の手伝いもあって、作業は順調に進んだ。 そんな中、ちょうどケーキを渡そうとしたとある貴族のポケットから、何かが落ちた。それが紫色の液体が入ったガラスの小壜と気付いたのは、当麻とシエスタだけであった。 当の本人――ギーシュは周りの仲間達と会話に夢中であり、気付く様子はない。 どちらが拾うかという状況になったが、シエスタは当麻にウインクをとると、はさみをトレイに置く。 スッとしゃがみ込み、小鬢を拾い、「落とし物でありますよ」と添えて、ギーシュの近くに置いてあげる。ギーシュはシエスタの行動に気付くと、小壜を押しやった。 「これは僕のじゃない。他人の物ではないのか?」 何を言っているんだ? と、当麻は言おうとしたが、その前に周りの友人達が大声で騒ぎ始めた。 「おお! その香水はモンモランシーのじゃないか!?」 「そうだ! そ... -
とある魔術の使い魔と主-18
前ページ次ページとある魔術の使い魔と主 「なぁ僕の使い魔を連れてっていいかい?」 ギーシュの質問に、当麻とルイズは互いの視線を向けあった。 そういえばギーシュの使い魔って見たことがないな、と両者は思いながらもルイズが応え、当麻が質問をする。 「えぇ、使い魔なんだし別に構わないよ」 「てか使い魔持ってたのか?」 当麻の一言に、ギーシュはムッとなる。 「失礼な、そもそも召喚出来なければ進級出来ないんだぞ」 そういわれても俺わからんからなー、と両手を後頭部に持って行き口笛を吹き始める。 「……君はそんなに僕を挑発したいのかい?」 ギーシュのこめかみがひくひくと動いてる。べっつにー、と当麻は視線を逸らし、ギーシュの事など興味なさそうに振る舞う。 ブチッ、と何かがちぎれる音が聞こえると、ギーシュは当麻へと薔薇の杖を振り回した。 「き、貴様! ... -
とある魔術の使い魔と主-27
前ページ次ページとある魔術の使い魔と主 さて、そんな風に馬鹿騒ぎしている当麻達と同じ時間、 アルビオン貴族派の皇帝クロムウェルは、ウェールズを生き返らせていたりした。 しかし、そんな事は全く予想だにしていない一行であった。 まだ物語は続く…… とある魔術の使い魔と主 魔法学院へと戻った次の朝からルイズは変わった。 一言でいうなら当麻に対して優しくなったのだ。そうはいっても、普通に人間としての扱いを受けたというレベル。 どこがどう変わったかという事で、当麻の一日を見てみよう。 まず目が覚めた当麻は、ルイズを起こす前に、水が入った洗面器を用意する。朝、顔を洗う為である。 しかし、個々の部屋に水が引いているわけがなく、下に行って水道水から冷たい水を貰っている。 そして、ようやくルイズを起こすと当麻は水を掬う。顔を洗うのも当... -
とある魔術の使い魔と主-03
前ページ次ページとある魔術の使い魔と主 (えぇい! 勘弁してくれぇぇぇえええ) 当麻は毛布に包みこみ、心の中で絶叫する。 あの後、時間も時間だし寝ることになったのだが…… 「それ、明日に洗濯してね」 と、キャミソールとパンティを当麻に投げ付けた。もちろんこのような体験をした事がない当麻は、盛大に吹き出し、ルイズの方へとガバッ! と向いた。 「いやいやいや、さすがにこれを洗濯はってちょ、うぉい!」 そこには大きなネグリジェを頭から被ろうとしているルイズ。そして当麻の下には下着……つまりルイズは裸であった。 抗議をつける為に向いた顔を、それ以上の早さで体ごと反らす。 一方のルイズは気にかける事もなく、被り終わると、 「あなたは使い魔なんだから、ここで養って貰うんでしょ?」 そうですね、と涙を浮かべながら当麻は呟く他なかった。 さて、問題はここではない。... -
とある魔術の使い魔と主-11
前ページ次ページとある魔術の使い魔と主 当麻が巨大ゴーレムを文字通り粉砕していた頃、フーケは宝物庫の中で捜し物をしていた。 『破壊の本』、それが彼女の狙いであった。 幾多の宝物を触りもせず、ただひたすら目当てとなる本を捜した。と、一番奥に、どう考えても他の本より立派に置かれている本があった。 フーケはその下にかけられた鉄製のプレートを見つめた。 『破壊の本。持ち出し不可』と書かれている。フーケはここでようやく笑みを浮かべた。 フーケは、何の躊躇いもなくそれを手に取ると、急いでゴーレムの元へと行こうとしたのだが…… 彼女にとって、予想外の事態に見舞われた。 ゴーレムが土へと還り、メイジ達が何やら喜んでいる。 (まさか……私のゴーレムが負けたの?) いや、ありえないとフーケは考えを一瞬否定した。しかし、否定した所で今の状況は変わらない。 向こうもこちらの存在に... -
とある魔術の使い魔と主-08
前ページ次ページとある魔術の使い魔と主 その日の夜、当麻は顔を洗おうと水汲み場まで赴いた。バシャッ、と冷たい水が当麻の神経を一瞬だが麻痺させる。 タオルで大まかに拭いた後、さっさと戻ろうとルイズの部屋に入ろうとしたその時だった。 ちょうどその向かい側にあるキュルケの部屋の扉が、がちゃりと開いた。 何処のホラーアクションゲームの死亡フラグですかー!? と、心臓が飛び出るぐらい驚きながらもガバッ、と振り返る。 と、出て来たのはサラマンダーのフレイムだった。当麻の存在に気付くや否や、ちょこちょことかわいらしく近づいてくる。当麻は思わず後ずさろうとしたが、壁を背にしている為逃げられない。 「あー、一体私に何か御用でもあるのでしょうか?」 きゅるきゅる、と肯定するかのようにサラマンダーは鳴き、当麻の上着の袖を加える。 「とと、って燃える、燃えるから」 慌てて振りほどこう... -
とある魔術の使い魔と主-15
前ページ次ページとある魔術の使い魔と主 当麻がルイズによってボコボコの中のボコボコにされていた頃…… 「一体何者なのよあいつは!?」 フーケは独房の中で一人、先の体験を振り返りじだんだを踏んでいた。 もう少しで『破壊の本』――その一冊で誰にでも勝てるであろう最強の武器が手に入ったのに。 たまたま彼らに見つかってしまい、その結果、来週中には死刑の判決が下される状態にまで陥った。これが悔しくなければ一体どうなる? いや、彼らではない。彼、だ。 自分が操る巨大ゴーレムも、最強の武器も、自分を殴ったのも皆ツンツン頭の少年が行った事。 フーケはそこに疑問を持っていた。一体どのようにすればあんな事が出来るのだろうか? (まっ考えても無駄ね) 答えが浮かばない、というのも一つの理由ではあるのだが、なにより考えた所で意味がない。 どうせすぐにこの... -
とある魔術の使い魔と主-20
前ページ次ページとある魔術の使い魔と主 (何よ何よ何よ!) ルイズは当麻の一言一言に苛立ちを覚えた。なぜ使い魔としての役目を果たそうとしないのか? 本当なら今すぐにでも怒鳴りつけたい。 しかし、言えなかった。 これが昔のルイズなら平気で言えた。 そんなんでどうするのよ! ラ・ヴァリエールの名前に傷がつくわ! と叱り付けたに違いない。 だけど、言えない。当麻の気持ちが、ほんの少しだが理解してしまったのだ。 そりゃわかる。当麻とワルド、どちらに守られた方がいいのか? と言われたらやはりワルドであろう。 当麻は平民でワルドは貴族。実力、地位、おそらく全てにおいてワルドの方が上である。 それでも、それでもだ。 ルイズにとってそれは嘘であって欲しかった。いつもみたく冗談であって欲しかった。 だからわざと結婚して守ってもらう、とかまをかけた。 ... -
とある魔術の使い魔と主-06
前ページ次ページとある魔術の使い魔と主 当麻が案内されたヴェストリの広場には、風の噂を聞き付けた生徒たちで溢れかえっていた。 「ギーシュが決闘するぞ! 相手はルイズの平民だ!」 誰かが叫び、周りのテンションがどんどん熱を上げていく。 見ると、ギーシュは腕を振ってその歓声にこたえている。 チャンピオンに挑戦するチャレンジャーな気分になった当麻は、人込みを突き破り広場の真ん中に立った。 「ようやくのお出ましだね」 「あぁ、いつから始まるんだ?」 「いつでも僕は準備万端さ」 そうかよ、と当麻は呟くと、身を低く沈める。 距離は大体十数メートル、全力で駆ければ七、八歩でたどり着く。 当麻は足に全身の力を集中する。 「テメエの言った言葉、撤回さしてやるからな!!」 ドン! と爆発したかのように、ギーシュ目掛けて駆け出す。 一方のギーシュは、ただ無鉄砲に突っ込んで... -
とある魔術の使い魔と主-25
前ページ次ページとある魔術の使い魔と主 頭がかち割れるかと思うくらいの衝撃がワルドを襲った。 ガアン! と肉と肉が、骨と骨がぶつかり合う音が辺りに響く。防御もままならない状態でくらった為、ワルドは前回同様に吹っ飛ばされた。 ただ、前回と違うのは、ダメージの大きさ、そして同じ場所に二度も受けてしまったので、ワルドを再び立ち上がらせない程の威力へと変わった。 片膝をついて、激しく肩を上下に動かす。 「くそ……、この『閃光』がよもや後れを取るとは」 当麻は、再び駆ける。駆けるとはいっても、本人がそう思っているだけで、実際は早歩き程度だ。 電撃により体が麻痺しているのにも関わらず無理矢理動かした事。それに、全身を襲う火傷の痛みによるせいである。 ワルドは、未知なる敵に初めて恐怖した。魔法を全て打ち消して、どのような事が起きても諦めず、立ち上がり続けるその存... -
とある魔術の使い魔と主-14
前ページ次ページとある魔術の使い魔と主 ルイズは夢を見ていた。まだ小さい頃、トリステイン魔法学院に行く前の時の事だった。 「ルイズ、ルイズ、どこに行ったの? ルイズ! まだお説教は終わっていませんよ!」 ルイズは、生まれた故郷、ラ・ヴァリエールのとある屋敷の中庭を逃げ回っていた。 騒いでいるのは母、追ってくるのは召使である。理由は簡単で、デキのいい姉達と魔法の成績を比べられ、物覚えが悪いと叱られていた最中逃げ出したからだ。 幸い、中庭には迷宮のような埋め込みの陰が多々ある。その中の一つに隠れてやり過ごそうとしたのだが…… 「ルイズお嬢様は難儀だねえ」 「まったくだ。上の二人のお嬢様はあんなに魔法がおできになるっていうのに……」 召使の会話を聞いて、ルイズは奥歯を噛み締める。悲しくて、悔しくて、どうしうも出来ない自分に腹立てていた。と、召使達は埋め込... -
とある魔術の使い魔と主-39
前ページ次ページとある魔術の使い魔と主 次の日、当麻は朝の日差しを浴びて、目が覚めた。昨晩の疲れがあったせいか、いつもより多く寝てしまったらしい。 うまく働かない思考が、『この状況はまずい』と判断する。寝坊してしまったら、主から罰を受けてしまうのだ。 慌てて毛布を跳ね飛ばし、ガバッと起き上がる。ルイズのベッドの方を見るが、毛布に体全体を覆いかぶさっているためか、顔が見えない。 ともかく、まだ主は起きていないらしい。当麻は内心安堵しながらも、いつも通り起こそうとしたが……。 そこには誰もいなかった。 「あれ……?」 毛布の中に、いるはずの人間がいない。当麻を寝かせたまま、どこか外へ行くような少女ではない。 首を傾げてうーんと唸る。神隠しにあったりとか、宇宙人にさらわれたというオチはないと思う。 となると、昨日の夜に何かあったはずだ... -
とある魔術の使い魔と主-28
前ページ次ページとある魔術の使い魔と主 「失礼します」 ルイズは学園長室の扉をこんこんと叩いた。 とある魔術の使い魔と主 次の日、いつも通り授業を受けていたら、オスマン氏に呼ばれたルイズはハラハラどきどきしていた。 なにせ学園のトップからご指名を受けたのだ。なにかよくない事が起こしたのでは? と嫌でも思ってしまう。 「鍵はかかっておらぬ。入ってきなさい」 威厳ある声に、ルイズの心臓が飛び上がる程激しく動く。 本当は可愛い秘書を雇わないとなー、とルイズが聞いたらブチ切れてもおかしくない事を思っていたりするオスマン氏。 すーはー、と体を落ち着かせる為深呼吸を数回した。よし、大丈夫。イケる。 扉をノブをゆっくり回して、そのまま押す。ギィィィと悲鳴をあげながら、オスマン氏のシエルエットがはっきりと現れた。 ルイズは落ち着いていた鼓動... -
とある魔術の使い魔と主-35
前ページ次ページとある魔術の使い魔と主 「あの……これ、トウマさんにと思って!」 シエスタが顔を伏せながらも勢いよく、手に持っている包みを前に出す。 ここはあまり人が来ないヴェストリの広場。当麻達は無事魔法学院へと戻ったきたのだ。 と言っても、学院はいたって普通であった。戦争など無縁と言わんばかりの雰囲気を持っていて、帰ってきた当麻らを驚かせた。 ハルケギニアの貴族にとって、戦争は年中行事と言っていい程多々起きている。 なので、戦況が落ち着いた今は別に騒ぐ必要がないらしい。 そんな次の日、シエスタにこの広場のベンチに呼ばれた当麻は、こうしてプレゼントを貰う事になったのだ。 彼自身あまりそういったのを貰った事がないので嬉しい。嬉しいのだが……、 やはり別世界から来た人間としては、ちょっと後ろめたさが残る。 彼女が送る笑みは本当に自... -
とある魔術の使い魔と主-19
前ページ次ページとある魔術の使い魔と主 ずっとフルスピードで飛ばして来たので、当麻達はその日の夜中にラ・ロシェールの入口についた。ついたのはいいが、当麻は辺りの環境を見回すと怪訝な表情を浮かべる。 「なんで港町なのに山なんだよ。あれですか、山がゴゴゴーと動いて中から海でも現れちゃう仕掛けですか」 そう、港町だというのに肝心な海が何処にも見えない。見えるのは山、山、山、それだけだ。 いや待て、もしかしてこの山を越えた先にパラダイスが待ってるかもー、とプラス思考へと働く当麻に、ギーシュは呆れながらも答えた。 「きみはアルビオンを知らないのか?」 二人共体力の限界は既に越している。それでも、目的地に達したという事もあり、多少の元気を取り戻した。 もっとも、二人共せいぜい会話を交わす事ぐらいしか出来ない。 「多分知らんなー……」 「まさか!」 ギー... -
とある魔術の使い魔と主-16
前ページ次ページとある魔術の使い魔と主 さて、授業前という事もあり、二人の討論は思いの外早く終わった。途中当麻も少し巻き込まれたが、これも一つの不幸として割り切る事が出来てしまう。 授業が始まったのはいいが、この授業の先生――ミスタ・ギトーは、生徒に不評であった。 自慢ばかりしかしないと言うべきなのか、開始早々、 「最強の系統は『風』である」と、自分の系統は最強発言をしてしまう。 それを実証するかのように、キュルケを挑発した。 それに乗ったキュルケは火の魔法を放ったが、ギトーは風の魔法でそれを打ち消し、尚且つ攻撃を与えるという実演を見せた。 正直当麻自身もこればっかりはやる気が起きない。と言っても今は自然回復に身を預けるので精一杯なのだが。 と、何やら新しい呪文をギトーは唱え始めた。どうやら、まだ自慢し足りないようだ。 「ユビキタス・デル・ウィ... -
とある魔術の使い魔と主-41
前ページ次ページとある魔術の使い魔と主 「なっ……待て待て、どういうことなんだ?」 「だから言ったじゃない。作れないのよ」 次の日の夕方、当麻は解除薬を貰おうとモンモランシーの部屋に再び訪れた。 ちなみに、今日はシエスタと会っていない。当麻にとって、あそこはあかずの間に見事認定されたのだ。 これでやっとシエスタが解放されるなー、と思いながらドアを開いたのだが、現実はそう甘くない。 ギーシュは隣で残念そうな表情を浮かべて黙っている。そして、モンモランシーが今日の一日を簡潔に説明した。 「仕方ないじゃない。秘薬が売り切れてたんだもの」 「そんなんありっすか!? てかいつごろ手に入るんだ?」 「それがもう、入荷が絶望的なの」 淡い期待をことごとく裏切られ、当麻は深いため息を吐いた。 (なんでこうなっちゃうんですか!? まるで治... -
とある魔術の使い魔と主-21
前ページ次ページとある魔術の使い魔と主 ワルド達は、再び走り出す。 ルイズは腕の事を心配したが、しきりに大丈夫です~、と若干冗談を交えて当麻は安心させようとした。 剥き出しというのもどうかと、傷を布で覆い隠す。少しでもルイズを不安がらせないようにする当麻なりの配慮である。 (それにしても……) 走りながら、当麻は先程の戦いを思い出す。 あれは完全に当麻が油断してしまった結果である。近接戦闘を行いがら呪文を紡ぎ、魔法を放つ。おそらく天草式の人達と同じタイプなのであろう。 (やっぱりこっちでも魔術に関してはあまり変わらないんだな) 元の世界で幾多の魔術師と戦って来た経験が、役に立つ。根本的な部分はそこまで変わらない。 次は先程のようにはいかない。向こうの誤算はここで当麻を仕留めそこなった事。そういう事にしてやる、と当麻は心に決めた。 階... -
とある魔術の使い魔と主-13
前ページ次ページとある魔術の使い魔と主 「そ、そうですな! 美人はただそれだけで、いけない魔法使いですな!」 「そのとおりじゃ! 君はうまい事を言うな! コルベール君!」 当麻とルイズ、キュルケにタバサの四人は呆れて、そんな二人の様子を見ていた。 四人はフーケを捕まえた後、学園長室へと向かい、この事実を報告した。そして、オスマン氏はその場にいたコルベールと、フーケもといミスロングビルについて話したのだ。 それがもうなんともくだらない理由で、命を賭けて戦ってきた相手によくそんな話が出来ると四人は実感した。 と、ようやくオスマン氏は四人の鋭い視線に気付いたのか、照れ笑いを隠すかのように咳ばらいをした後、本題に入るため真剣な表情へと変える。 「さてと、君達はかの有名なフーケを捕まえた。『破壊の本』が壊れたのは残念だが……まぁ話を聞いた後となっては壊した... -
とある魔術の使い魔と主-32
前ページ次ページとある魔術の使い魔と主 タルブの村の火災はおさまっていたが、一日前の平穏な村ではなく、戦場へと変わり果てていた。 草原には、アルビオンの軍隊が集結している。対して、トリステイン軍隊は港町ラ・ロシェールに立てこもっていた。 両者睨み合ったまま時間だけが過ぎていく。いつ決戦の火ぶたが切られるのかおかしくない状態。 また、タルブの村の上空では、空からの攻撃を部隊から守るため、『レキシントン』号から発艦した竜騎士隊が見張りを兼ねて飛び交っている。 実際何回かトリステイン軍の竜騎士隊が攻撃をしかけてきたが、いずれもこちらにそう被害なく返り討ちに合わせた。 決戦を行う前に、トリステイン軍に対し艦砲射撃が実地する事をアルビオンは決めていた。 これで一気に敵の士気を下げようとする。そのため、『レキシントン』号を中心としたアルビオン艦隊はタルブの草原の上... -
とある魔術の使い魔と主-24
前ページ次ページとある魔術の使い魔と主 「貴様のその手、よくわからんがどうやら魔法を打ち消すようだな」 起き上がったワルドの第一声であった。 唇が切れたのか、血が流れている。さらには意識が少しばかり飛んでいたのか、片手で頭を抑え、左右に振った。 当麻は返事をしない。わざわざ返答する必要性がないからだ。 ふむ、と黙っている当麻の様子を見てワルドは呟く。 「ならばこちらも本気を出すしかあるまい。何故、風の魔法が最強と呼ばれるのか、その所以を教育いたそう」 当麻はワルドの言葉に耳を傾けた。幻想殺しによって全ての魔法は打ち消されるとわかったのに、余裕の表情を浮かべている。 つまり、次放つ魔法はそれだけ彼にとって自信があるという事。逆を言えばそれさえ打ち倒せば勝てるという意味だ。 「ユビキタス・デル・ウィンデ……」 呪文が紡がれる。当麻は、再び駆けた。それだけの呪文な... -
とある魔術の使い魔と主-33
前ページ次ページとある魔術の使い魔と主 ルイズが始祖の祈祷書に浮かび上がった内容を読んでいる間、当麻は残りの竜騎兵を倒していた。 二十いるアルビオンの竜騎士隊も、シルフィードと当麻の連携により無惨にも全滅と化した。 天下無双と謳われたアルビオンの竜騎士でも、韻竜と竜王の前には歯が立たない。 残るは本家、絶対に忘れることのない、アルビオンへと上陸するさいに見かけたあの巨大戦艦。その船の下では、港町ラ・ロシェールが攻撃を受けている。 「あれを倒さなきゃ、どうやら終わらないようだな」 しかし、どうすればあれを倒せるのだろうか? こちらの武器は竜王の顎一つのみ。今までは同じ大きさでの戦いであったが、今回のはスケールが違う。 そんな状況での当麻の策は、敵艦に乗り込んで内部から破壊するという、シンプルな案であった。いや、それ以外にいい方法が浮かばなかった。 ... -
とある魔術の使い魔と主-23
前ページ次ページとある魔術の使い魔と主 ウェールズと当麻は、結婚式会場となる場所で新郎新婦の登場を待っていた。 神父の役として、ウェールズが中央の始祖ブリミルの像の真下にて、静かに待っている。 当麻は、とある一つの長椅子に座っていた。このような晴れ舞台、礼装を着ないかね? と当麻はウェールズに質問をされたが、いえ、とやんわりと断った。 他の人達はいない。皆戦争の準備で忙しいのだろう。ウェールズもこれが終わったら直ぐに向かう予定だ。 「なぁ、ラ・ヴァリエールの使い魔」 「何ですか?」 暇つぶしの雑談目的なのか、ウェールズは当麻に口を開いた。 「もう一つ、君に頼みたいことがある」 「頼みたい、ことですか?」 当麻が想像していなかった言葉に思わず復唱した。ウェールズは黙って頷く。 なんだ? と思った。まさか伝説の秘宝を授けよう、とか失われた魔... -
とある魔術の使い魔と主-22
前ページ次ページとある魔術の使い魔と主 「一時停止」 「一時停止、アイ・サー」 ウェールズの命令に掌帆手が復唱した。 当麻達一行は、ニューカッスルの王党派しか知らない港へ向かう事になった。 あの後、アンリエッタから授かっている手紙をウェールズに渡した。読み上げてる途中、彼女が結婚する事に驚き、一度こちらに確認を求めたが、取り乱す様子はなかった。 そして、彼女から貰った手紙を返す事になったのだが、あいにくそれはニューカッスル城にあるという。というわけで、こうして向かっている途中なのである。 軍艦『イーグル』号は、敵に気付かれぬように大陸の下に潜り込む道筋を辿る。 雲の中を突き進み、大陸の下に出ると、辺りは真っ暗になった。陽の光が大陸によって遮られたのだ。 しかし、「地形図を頼りに、測量と魔法の明かりだけで航海することは、王立海軍にとっては、... -
とある魔術の使い魔と主-34
前ページ次ページとある魔術の使い魔と主 「離しなさいよメイド!」 「ミス・ヴァリエールこそ離して下さい!」 互いに文句を言いながら、二人はぐいぐいと当麻の手を引っ張っている。 二人からそれぞれ別の手を引っ張られているので、当麻は大の字となって悲鳴をあげていた。 「待って! これ俺の意見は無視ですか!? 腕が体とおさらばしそうなんですけどー!?」 うがーと叫び続ける当麻に、二人の怒りの矛先が変更された。 「トウマは黙ってて!」 「トウマさんはちょっと黙ってください!」 はい……、と情けない声を出す当麻。とてもじゃないが、先の戦いの勝利の起点となった少年とは思えない。 逆らったら殺される…… 当麻は二人から発する尋常じゃない殺気が感じられ、言われた通りにするしかなかった。 バチバチッ! と当麻の目の前で火花が激しく散っているような程二人... -
とある魔術の使い魔と主-31
前ページ次ページとある魔術の使い魔と主 シエスタは、幼い兄弟を抱きしめ、不安げな表情で空を見つめていた。 当麻達が学院へと戻り、しばらくこの休暇を家族と満喫しようかと思っていたが、先ほどラ・ロシェールの方から爆発音が耳に突き刺さってきた。 何事かと思い、庭にでると、シエスタの目に惨劇が入り込んだ。 何隻もの船が空で燃え盛り、無惨にも落下し、山脈へ、森へと消え去っていく。 この様子は、もちろん他の村の人達にも見ていたため、辺りは騒然と化した。 しばらくすると、こちらに巨大な船が艦隊となりやってきて、空から降りてきた。村人達が見守る中、草原に鎖のついた錨を下ろし、上空に停泊した。 その上から、何匹ものドラゴンが飛び上がり、こちらへと向かってきた。 「!? 早く家に入りましょう!」 異常に気付いたシエスタは、不安な表情を抱える幼い弟や妹を家の中へと走... -
とある魔術の使い魔と主-42
前ページ次ページとある魔術の使い魔と主 「うおっ!」 一言で言うなら、それは凄かったに限る。 当麻達と少し離れた水面が突如輝きだし、生き物がいるかのように水という固体がごにょごにょと動き出す。 のち、風船のようにプクッと膨れ上がり、様々な形に変化していく。当麻は、アメーバみたいなのを思い出した。水が輝きながらぐにょぐにょと動く姿は、何か気持ち悪い。 当麻が呆然と見ている間に、モンモランシーのカエルがぴょこんと地上に上がった。そのまま跳ね続け、主の元へと向かう。 モンモランシーは、それを迎えるかのようにしゃがみ込み、両手を前に差し出す。そこに乗っかったカエルは、自分の活躍を褒めてほしいと、ゲコッと鳴く。 「ありがと、きちんと連れてきたのね」 モンモランシーは、あまり見せることのないとびっきりの笑みを浮かべて、カエルの頭を撫でる。 ギ... -
とある魔術の使い魔と主-40
前ページ次ページとある魔術の使い魔と主 「悪いシエスタ……誰かが犠牲にならないとダメなんだよ」 当麻は一人、見捨てたシエスタに対して謝った。彼女がここにいたならば、おそらく拳一つは飛んできそうだ。 「さて、どーするかな」 魔法薬であるならば、当麻の幻想殺しで打ち消せる。おそらくあれは、洗脳的な要素があるので、頭を触れば効果は消えるであろう。 しかし、消したくない当麻もいる。 健全なる男子高校生は、そういうのには疎い。ぶっちゃけ、女の子同士……のは少し興味がそそる。 (つか二人で何してんだろうなぁ……) 少年は少しの間、現実から離れ、夢物語に没頭した。果たしてどこまでやったのだろうか? 思えば思う程膨らむ好奇心。しかし、突如シエスタが涙目となって訴える姿が頭にはいる。 シエスタもルイズも、本来求めてはいない姿なのだ。このままでは... -
とある魔術の使い魔と主-51
前ページ次ページとある魔術の使い魔と主 「あなたの名前はなんて呼べばいいのかな?」 暗かった道は、朝日が差し込んで次第に明るくなる。その朝日が二つの人影をぼんやりと映し出す。 このような時間に歩き以外の移動手段を持たないのは、端から見れば家出コンビだと思わせる二人はしかし、この国の住人ではない。 安全ピンを体中に纏わせてる白いシスターと、ワイシャツと黒ズボンを身につけた、いたってシンプルな学生少年。 そう、この世界に紛れ込んだ上条当麻という少年を、元の世界に戻すために送られた魔術師達。 インデックスと土御門元春だ。 二人は真っ直ぐに伸びている道を黙々と歩いていたのだが、堪らずインデックスが声をかけた。 「ん? 好きに呼んでいいんぜよ」 名称など今更どうでもいいと言えるが故、土御門は素っ気なく答えた。 「じゃあとうまのことをとう... -
とある魔術の使い魔と主-38
前ページ次ページとある魔術の使い魔と主 「さーって、再びの鬼ごっこですかー……」 こちらの世界で三度目の展開である。いい加減慣れるだろ、と言われるかもしれないが、それは間違いである。 なにせ、今回は以前とは少し違うのだから。 ちらりと後ろを見るが、背後から迫ってくる様子はない。今のうちに作戦を立てるべきだと、当麻は軽快に動かしていた足を止める。 やみくもに逃げ回っていたらすぐに捕まってしまう。相手は闇の力を授かったような強さを誇るのだ。正直、ワープとかしてしまいそうな勢いを持っている。 最悪の展開、正面衝突だけは避けたい。幻想殺し一本だけでは、あの魔王を止める事はできない。 (ただ逃げてたら廊下でバッタリ! って可能性があるよな……、となると誰かの部屋に匿ってもらうべきか) 当麻は自分を匿ってくれそうな人物を思い浮かべる。 キュル... -
とある魔術の使い魔と主-29
前ページ次ページとある魔術の使い魔と主 ルイズは魔法学院の東の広場にあるベンチに腰かけて、一生懸命何かを編んでいた。 時刻は昼休み、食事を終え、ぽかぽかの陽射しが降り注ぐ。ふわ~と小さい欠伸が出てきて眠くなった。 休憩を兼ねて手を休ませ、『始祖の祈祷書』をパラパラっと眺める。最初は何か書かれているものだと思ったが、 何も書かれていない。おかしいぐらいに何も書かれていない。 一体どうやってこれから姫の式に相応しい詔を考えなければならないだろ? と思うとため息が吐き出される。 しばらくして、まあいっかと気持ちを切り替えて、自分の作品の出来栄えを見る。 そこには、よくわからない作品があった。いや、彼女自身はセーターを編んでいたつもりだったのだが、 どこかで間違えてしまったようだ。と言い聞かせる。 そうは言っても現実は変わらない。失敗の作品は失敗... -
とある魔術の使い魔と主-30
前ページ次ページとある魔術の使い魔と主 シエスタと当麻がタルブの村に行く為に消費した三日間、 ルイズはずっと授業を休んで部屋に閉じこもっていた。 もっとも、食事と入浴の時だけは外に出たが、それも出来るかぎり他の人に会わぬよう時間を遅らせたりした。 そして、部屋に戻ったらまたベッドに身を預ける。出し尽くした涙がシーツにこびりついているが、気にかける余裕もない。 心の中にぽっかり穴が空いてしまったような感覚。人形の気分をルイズは味わった。 最初は、『なんであいつの事を考えなきゃいけないのよ!』と自分に逆切れしてきたが、当麻が寝ていた藁の束や、未だに倒れている本棚を見ると、寂しくなってしまう。 気分転換に何をしても、やっぱり当麻の存在を考えてしまうのだ。 (わたしはトウマにどうして欲しかったんだろ……) 口ではああ言ったが、それは望んでいなかったので... -
とある魔術の使い魔と主-50
前ページ次ページとある魔術の使い魔と主 当麻は気がつくと、シルフィードの背中に乗せられていた。 とぎれとぎれの記憶は、あまりあてにならない。 断片的に残っているといえばワルドを殴った後倒れたこと、ルイズ達が何やら叫んで駆け寄ったこと、彼女らがフーケと敵対していたこと。 そして今に至る。 たったそれだけでは、意味がわからない。 (いったい……) なにがあったのだろうと、ぼんやりとしている頭をゆっくりと起き上がらせる。 「トウマ!」 突然耳元で叫ばれ、驚き、細目だったのを見開く。 横には、自分を看病していたのだろうか、ルイズがいた。 周りにはタバサやキュルケ、ギーシュにアンリエッタ。 そして、 当麻と同じく横たわっているウェールズ。 「……つ~!?」 「まだ怪我が治ってないんだから……安静に... -
とある魔術の使い魔と主-44
前ページ次ページとある魔術の使い魔と主 「はあ……今日も疲れたわ……」 アンリエッタは立つ事さえも疲れるのだろうか、倒れこむようにベッドへと体を預けた。衣服は既に脱いでおり、身を纏う物は一枚の薄着だけ。 女王陛下専用のベッドは最高級であるため、なるほど、疲れた分だけ心地よく感じる。 ここは、本来亡き父の部屋であった。しかし、女王に変わったからには、という理由で今はアンリエッタの部屋である。 このまま睡魔に襲われて、夢の世界へとおさらばしてもいいのだが、起きている間に少し裕福な時間を過ごしたい。アンリエッタは怠そうに起き上がると、そのままベッドの横にあるテーブルに近づく。 小さなテーブルに相応しい物がそこには置いてあった。ワインとグラスである。 アンリエッタの楽しみといったらこれしかない。たとえあまりよろしくない行為であったとしても、それが彼... -
とある魔術の使い魔と主-47
前ページ次ページとある魔術の使い魔と主 幻想殺し。それは異能の力であれば、三十メートル級の巨大ゴーレムであろうが、風のユビキタスであろうが、それこそ始祖ブリミルでさえも打ち消す事ができる力。 それには例外がない。そう、たとえ相手が不死身という力を持っていたとしても、『アンドバリ』の指輪が『異能の力』である限り、当麻にはその効果を打ち消す事ができる。 「オ、――――」 今回はアンリエッタをウェールの手から救う事、つまりは敵を逃がしてはならない。 幻想殺しの範囲は右手だけである。それ以外は普通の高校生であるし、ケンカだって相手が一人でないと勝てる自信はない。 しかし、 それでも当麻は駆ける。 この戦いに逃げは存在しない。相手の目的は逃亡、こちらが隙を見せればすぐに後ろを振り返り逃げ出すだろう。 だからそれを防ぐ。 「... -
とある魔術の使い魔と主-43
前ページ次ページとある魔術の使い魔と主 「幻想殺しぃ!?」 「そ、そいつが異能の力なら無条件でなんでも打ち消しちゃうのです」 昔、同じように説明をして同じような反応を取られたのを思い出した。 タバサ以外の三人が、打ち合わせする事なく同時に驚きの言葉を口にする。 あの件から一時間、五人は簡単な夜食を取るため、たき火の周りでタバサとキュルケが持参した肉を焼いていた。周りが炎によって明るくなり、互いの顔がはっきしと見える。 背中の傷をモンモランシーの『水』の魔法で治してもらった当麻に、キュルケは自分が抱いている質問をぶつけた。 先の件で自分とタバサの魔法を打ち消したからくりを。 その返答が、当麻の右手の能力説明である。 三人はポカンという擬音が似合うくらいに目を丸くし、タバサもまた僅かながら驚いているようだった。 「そうか……だから... -
とある魔術の使い魔と主-37
前ページ次ページとある魔術の使い魔と主 当麻はその日の夜、早速購入した水兵服をシエスタのサイズに合わせようと思ったので、彼女の部屋に訪れた。 メイド長から居場所を教えてもらい、ドアに二回ノックをする。 すると、「どうぞ~」という言葉が聞こえたので、当麻はとくに何も考えず扉を開いた。 そこには、金髪の子とオレンジ色の髪の子が、のんびりと寝転がっている。女の子として、いろいろまずいんじゃないかと思ってしまうような態勢で。 当麻は、早くここから出ろと体が訴えているのを感じた。一瞬の内に上手く回避できる言葉を吐き出す。 「あー、部屋間違いちゃいました。すみません、では……」 百八十度躊躇いもなく振り返り、全力で逃げようとしたが、 「待ちな、ここはシエスタの部屋だぞ?」 どうやら間違いではないようである。さらには、金髪の子ががっしりと腰に手... -
とある魔術の使い魔と主-53
前ページ次ページとある魔術の使い魔と主 「こっちの魔術はちょっとスタイルが違うんだにゃー」 基本、必要最低限しか摂取しなくても大丈夫な土御門は、村長のご好意によって頂いた夕食を割と早く食べ終えた。 一方のインデックスは、未だにガツガツと手と口の動きが絶えない。 土御門がインデックスのためにと残した分もたいらげ、まだまだお腹いっぱいには程遠いご様子。既におかわりモード突入だ。 あの小柄な少女のどこにそんな腹があるのだろうと、村長が驚きを隠せていない。 このままでは村長の好感度が下がってしまうと危惧した土御門は、彼女の食事に対する勢いを止めようとインデックスに話しかけた。 この世界の魔術――もとい魔法を二、三回見ただけで多少理解したのはさすがと言うべきなのだろうか。たとえあのような状況でも観察を怠らないのが土御門だ。 返事をするのがめんど... - @wiki全体から「とある魔術の使い魔と主-26」で調べる