あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ内検索 / 「割れぬなら……-20」で検索した結果
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割れぬなら……
...ぬなら……-19 割れぬなら……-20 -
割れぬなら……-20
前ページ割れぬなら…… ~これまでのあらすじ~ ついに激突するチームガリアとトリステイン銃士隊。 しかし、勝負の方法は野球だった。 ダイジェストで試合内容をお送りいたします。 ~1回・表~ 銃『0』 ガ『0』 「プレイボール!!」 バッターボックスに歩み出る1番打者・ワルド。 マウンドにて球の感触を確かめていたタバサは、重苦しい面持ちでそれを見つめていた。 「タバサ君……と言ったね? 君とはあまり親しい訳ではないが、いつもルイズと仲良くしてもらって、嬉しく思っているよ。 しかし今日だけは敵同士だ、手加減はしない。 血の滲むような猛特訓の末に編み出した閃光打法の恐ろしさ、その眼で確かめると良い」 そう言うと、ワルドはバットを構えてニヤリと笑った。 彼を良く観察して... -
割れぬなら……-17
前ページ次ページ割れぬなら…… 「何故?」 タバサは、賈言羽に訪ねた。 何故作戦を変更したのか? 一晩経った今でも、タバサの中にその問いに対する答えは無い。 賈言羽は笑って。 「感情というものは、存外馬鹿にはできぬものでしてな」 と、答えた。 その笑顔は『無理矢理作りました』とでも言いたげ代物だったが、 その笑顔は『計算高い謀略家』のイメージを『嘘のつけない不器用人間』のものへと変えてしまう。 「印象操作」 「左様」 つまり、今見せた不器用な笑顔も、土壇場で作戦変更をして見せた温情も、賈言羽にとっては同列の行動なのだろう。 悪印象を持たせるよりも、好印象を持たせた方が、何かと都合が良いのは間違いない。 情に流された訳でも、ヨシアの熱意に負けた訳でも無かったのだ。 「安心した」... -
割れぬなら……-07
前ページ次ページ割れぬなら…… レコン・キスタの乱から一ヶ月。 トリステイン魔法学園に、ドスドスと漫画のような擬音と共に廊下を歩く一人の少女が居た。 少女……ルイズは不機嫌だった。 曹操がこの一ヶ月の間一度も姿を見せないからだ。 やれ遠乗りだ、鷹狩りだ、喧嘩だ、泥棒だといって、曹操はあまりルイズと一緒に居る事は少なかった。 少なかったが……流石に一ヶ月も帰らないなんていう事は初めての事だった。 「あらルイズ、ちょうど良かったわ」 角を曲がると、正面にキュルケの姿があった。 ちょうど良かった、こっちも聞きたい事がある。 時々、曹操はルイズを放っておいてキュルケとイチャついていた。 他にもメイドと遠乗りに出かけたり、厨房で鍋を振るっていたり、タバサと本を読んでいたり…… なんだか、さっきよりも眉間に力が入ったような気がした。 ルイズはイラ... -
割れぬなら……-04
前ページ次ページ割れぬなら…… 「聖地奪還が天下万民の願いだとは初耳だ。司教の深遠なる考えを伺いたい」 ざわ……と、一瞬ではあるがレコン・キスタの軍勢が怯んだ。 背後に居る兵達の不穏な空気を読み取ってか、クロムウェルがさらに大きく声を張り上げる。 「始祖ブリミルは混迷の世を一つにまとめ、秩序をもたらし、さらに魔法をもたらした。その素晴らしき偉業を貴公は否定するのかね?」 対する曹操少しも慌てず、 「兵は不祥の器にして君子の器にあらず! 戦上手だったことで始祖を偉大だというなら司教は君子を理解せぬ愚か者だ」 と返す。 わからない人はいないと思うが、『君子』とは偉い人、あるいは偉大な人、とでも考えていただきたい。 (本当はもう少し難解かつ崇高なものなのだが、今はその程度の認識でかまわない) 「魔法は我々が生きていく上で必要不可... -
割れぬなら……-02
前ページ次ページ割れぬなら…… 『非情であろうと、邪であろうと、どんな不逞の輩であろうと、どれほどの不仁不孝であろうとかまわない。 ただ才のみを挙げよ。ただ才があれば用いる』 まだ、一般公開されてはいない。 だがこの文言をそのまま布告すれば、おそらくトリステインを根底から覆しかねない大激震が起こるであろう。 ルイズにはその光景が鮮明に想像できた。 「医はとことん行くぞ」 心労の元凶は実に子供っぽく笑いながら喋り続けていた。 学生の時の自分だったらどう思っていただろうか……そう彼女は考えた。 貴族を馬鹿にするなと言って怒っただろうか? 理想の世界を夢見て賛同しただろうか? あるいはソウソウの言葉を戯言だと断じて耳を貸さないかもしれない。 どれも今の自分には不可能な事だ。 貴族のために怒れるほど、今の自分は貴族が好きではない。 理想の世界を語るには... -
割れぬなら……-10
前ページ次ページ割れぬなら…… トリステイン魔法学園が用意したコルベールの私室。 曹操とワルド、そしてコルベールの3人がそこにいた。 「……以上が、ダングルテールにおける虐殺について私が知りうる全ての事だ」 コルベールがペンを置いた。 先ほどまで曹操に話していた事の全てが、数枚の羊皮紙に書き記されている。 「その証言に偽りはないな?」 コルベールが無言で傾く。 「……いつかはこんな日がくるような気がしていたよ。 まさか、君が一番早く辿り着くとは思わなかった」 男の瞳はどこか虚ろで、どこか悲しげに見えた。 曹操が立ち上がる、もうここには用は無いのだろう。 「ダングルテール殲滅の報酬であった高禄を辞し、軍を抜けたとしても、それは償いにはならぬ」 曹操の鋭い眼光がコルベールに向かう。 コルベールはそれを直... -
割れぬなら……-15
前ページ次ページ割れぬなら…… ページをめくる、文字を目で追う。 ……手にした本を、読んでる訳ではない。 これは対外的な行動に過ぎない。 自身の使い魔、シルフィードの背中の上で、タバサは思考をめぐらせる。 題目は、賈言羽の思惑について。 自分と同じように、シルフィードの背に乗ってエギンハイムに向かうこの男、一体何が目的なのだろうか? 以前ラドクリアン湖増水の原因を調査せよと命じられた時も、この男は同行を申し出てきた。 断ったら、ご丁寧な事にガリア王直筆の命令書を持ち出してきた。 2度目の同行となる今回の任務では、断られる前に命令書を用意してきた。 こうなっては、いくらなんでも置いて行く訳にはいかない。 正直な話、タバサは賈言羽が邪魔でしかたがなかった。 おしゃべり好きの使い魔が、いつ暴発するかわからなかった... -
割れぬなら……-16
前ページ次ページ割れぬなら…… 森を焼く…… 話を聞くと、賈言羽はプチ・トロワを出発する前からこの策を考えていたらしい。 事前に間者を放ち、村の情報を集めさせ、さらに森の複数個所に火薬の詰まった球を埋めさせてある。 後は合図一つでライカの森は火の海に変わるのだ。 これによって翼人達が焼け死ねば良し、逃げられたとしても、彼等は住居を失う事になる。 「先住魔法」 そこまで聞いたところで、タバサがごく簡潔に問題点を提起した。 「消火しきれない程、火勢を強くする事です。 森の要所には火のメイジが8名待機しており、仕込んである火薬の量も併せて鑑みれば、消火しきるのは不可能かと。 また、先住魔法は森の精霊の協力が無ければ有効に作用いたしません。 森が焼ければ、翼人達の魔法も力を失う事となりましょう」 タバサは一... -
割れぬなら……-01
前ページ次ページ割れぬなら…… 「ぬぁにやってんのよアンタわあああぁぁぁぁぁーーーーーっ!!!」 その日、ブルドンネ街にある一軒の肉屋を中心に半径50mメイルに存在した全ての人間にその言葉は届いた。 あるいは、叫びと言い換えた方が適切かもしれない。 「アンタは今の自分の立場をわきまえてるの?宰相よ、行政の最高責任者よ、私よりも断然身分は上なのよ。 そんな事ばっかりしてるから『平民宰相』だなんて不名誉極まりないあだ名で呼ばれるのよ。 そりゃあアンタはそういうのを全然気にしてないけどね、アンタを信任してる姫様や命令される大臣達の気にもなりなさいよっ!」 と、ここまで全力全開でまくしたてる。 彼女は釘宮理恵ではないので、喉に負担をかけない発声方法を知ず、息継ぎも不十分、 それを怒りや気迫でもって無理やり声を絞り出していた。 「ぜぇっ……ぜえっ……み、みず……」... -
割れぬなら……-11
前ページ次ページ割れぬなら…… 「ソウソウ!」「ダーリン!」 修理が終わって間もないドアを蹴破り、2人の少女が曹操の執務室に押し込んできた。 しかし、そこに曹操の姿は無かった。 1人黙々と書類の整理をしていた副官は、まるでこの世の終わりが来たかのような顔をした。 「久しぶりねシン。元気そうで何よりだわ。 ところで、ソウソウと爆死、どっちが良いかしら?」 ルイズは実に爽やかな笑顔で副官に杖をつきつけた。 「貴方が副官さん? いつも噂を伺ってるわ。 ところで、メガネと釣り糸、どっちが良いかしら?」 キュルケは実に爽やかな笑顔で釣り糸に針を結んだ。 その時、副官は自身の死期を悟った。 ……気の毒な事に、彼は曹操の居場所を知らない。 宮殿にある小部屋の一つで、リッシュモンは落ち着かない様子でふらりふらりと足を動... -
割れぬなら……-12
前ページ次ページ割れぬなら…… 「始祖の降臨の日を祝して、悪鬼を追い払う剣舞をご覧に入れましょう」 アンリエッタ、ウェールズといった名士達の前に、女装をした曹操が歩み出た。 軍楽隊はパレードの音楽を止めて、演武用の曲を奏で始める。 リッシュモンがその様子を苦々しく見つめていた。 「戻りました」 そこに先日リッシュモンと密談をしていた男が現われ、そっと耳うちをした。 「首尾は?」 「なんとかワルド子爵の眼を誤魔化して何箇所かに兵を配置できました。 メイジはおりませんが、全員が銃の名手です。 命令があれば、出席者を狙撃する事が可能です」 「良し、すぐに奴を始末させい」 「はっ」 男は再び人混みの中へと消えていった。 当時の鉄砲の有効射程距離はおおよそ200メイル。 甲冑を着込んでいるのなら... -
割れぬなら……-18
前ページ次ページ割れぬなら…… 「よぅっしゅああああぁぁぁぁーーーーーーっ!!」 グラン・トロワに歓喜の叫びが響き渡った。 国王専用のプレイルームから聞こえてきたその声は、確かにガリア王ジョゼフ1世の声であった。 「あらあら、まあまあ」 ……と、中庭でカステルモール夫人が顔を綻ばせた。 「またあのカクとかいう男の人と遊んでらっしゃるのね。 今日は久しぶりにチェスの勝負に勝てたのかしら」 もしそうならば、幸いである。 チェスの名手、ジョゼフにとっても賈言羽は非常に手ごわい相手であり、 彼から勝利をもぎ取れる機会はあまり無い。 その証拠に、ジョゼフが賈言羽に勝利すると、2・3日は上機嫌な日が続くのだ。 もっとも、彼が上機嫌になる理由は、勝利の美酒によるものだけではないのだが…… 「よ... -
割れぬなら……-06
前ページ次ページ割れぬなら…… ワルドは疲れていた、綿のように疲れていた。 何しろ今の彼は逃亡者なのだ。 この2日間で気の休まる瞬間は少しも無かった筈だ。 王党派による落ち武者狩りを常に警戒しなくてはならないが、かつて味方だった者でも容易に信用する事はできない。 どんなに善良そうな顔をしていても、どんなに熱く友情を誓いあったとしても、例え友情合体(勇者的な意味で)が可能な程の間柄であったとしても、 反乱軍に身を置いていた時点で限りなくクロに近いグレーであると言えよう。 仲間を売って自分だけが助かろうとした者は、ハルゲニアの歴史には数多い。 まして今のワルドの精神状態ならば、自分以外の人間は全てが敵に見えた事だろう。 これではどんなに疲れていても眠る事もできない。 本当なら港に近づくのもかなりの危険を伴った行為である。 何故なら国外逃亡を考えるのなら誰... -
割れぬなら……-09
前ページ次ページ割れぬなら…… 「出席をとります。 ミス・ヴァリエール」 「はーい」 「ミス・ツェルプストー」「はーい」 「あれ? 同じ声が2回聞こえたような……」 とうとうルイズは授業を休み始めた。 これ以上曹操達を放っておくと何が起こるかわからないからだ。 それから2日後…… 夜になり城門が閉鎖されると、曹操はいつも執務室で本を執筆する。 その真後ろ、それこそ「あててんのよ」が炸裂しかねない程の至近距離でペンの動きを観察する一人の少女が居た。 彼女は暇さえあれば読書をしているような人物であり、時と場合によっては授業よりも読書を優先させかねない…… 訂正、時と場合によっては授業よりも読書を優先させるような人である。 名をタバサといった。 彼女が王都にまで足を運んできたきっかけはわからないが、ここに留まっている理由... -
割れぬなら……-05
前ページ次ページ割れぬなら…… ~前回までのあらすじ~ ジャン・ジャック・フランシス・ド・ワルドはアンリエッタを裏切り、レコン・キスタの一員となっていた。 彼は味方を装い、ルイズと彼女が持っている手紙を手に入れるつもりだったのだ。 迂闊にも彼と2人きりになったルイズは衝撃の事実を告白され、動揺する。 ルイズは必死の思いでワルドの手から逃れようとするも、彼女の未熟な魔法ではワルドに太刀打ちするのは不可能であった。 とうとう追い詰められ、ワルドに捕らえられたルイズ。 はたしてルイズの運命やいかに!? その時曹操のとった行動とは!? クライマックスは近い! 「……ちょっと待ちなさいよ」 何でしょうか? 今かなりノリノリで執筆中なので止めないでいただきたい。 そもそも貴方はワルドに捕らえられている筈なのですが。 「前回ってそうい... -
割れぬなら……-03
前ページ次ページ割れぬなら…… 「ルイズ、話がある」 未だ熱気冷めやまぬ会議室からルイズが出ると、待ち構えていたかのようにワルドが現れた。 前回描写し忘れたが、居たんだよ。一応。 「どうしたの?」 「姫殿下の手紙は万に一つでもレコン・キスタに奪われるような事になってはならない。だから我々は他の者達とは別のルートで脱出を図るべきだ」 「え? でも他に脱出する方法なんて……」 存在する筈がない。 ルイズはそう言葉を続けようとしたし、実際にニューカッスル城の秘密港を使う以外には脱出経路は存在しなかった。 「あるんだ。実は僕は秘密の抜け道を知っている。少人数しか使えないが、より安全に脱出する事が可能だ」 しかしワルドはそう言い切った。 少し目端が利く者ならばこの嘘を見抜く事もできたかもしれないが、いかんせん当時のルイズには嘘を吐かれた経験が足りなかった。 ワルド... -
割れぬなら……-19
前ページ次ページ割れぬなら…… 「君が賈言羽か」 「はっ」 銃士隊隊長、曹操孟徳。 おそらく、世界に2人しかいない漢人の1人。 賈言羽が彼の顔を見るのは、降臨祭での上申以来であり、 顔を合わせるのは今日が初めてである。 「高祖・劉邦を補佐した張良・陳平のごとき奇才、 そして魔法の使えない身でありながら、あらゆるマジックアイテムを使いこなすと聞いている」 「嘘聞でございまする。 私めに左様な才覚はございませぬ」 曹操は見下ろすように賈言羽の顔を覗くと、ニヤリと口角を上げた。 「野球だったな?」 「はい、トリステインとガリアの友好と交流を深めるため、ガリア王はトリステイン銃士隊との野球による試合を望んでおられます」 「受けよう」 拍子抜けするほど簡単に、曹操は試合の... -
割れぬなら……-14
前ページ次ページ割れぬなら…… 「ほんっ……とに! アイツったら一体全体何を考えて毎日生きてるのかしら」 ヴァリエール家の屋敷の中庭で、不機嫌な少女が小石を蹴りあげる。 両頬をぷくぅっと膨らませて、ルイズは1人ツェルプストーの屋敷のある方向を睨んでいた。 アイツとは曹操の事だ。 降臨祭での上奏、リッシュモンの処刑から2年、ルイズはかろうじて魔法学園を卒業した。 コモンマジック以外全く魔法が使えない駄目メイジの称号は、ついに返上する事はできなかったが。 今は領地で何をするでもなくダラダラと過ごしていた。 アンリエッタは例の一件で貴族に対する不信感を覚え、銃士隊と呼ばれる部隊を結成させた。 その半数以上が平民、残りも比較的中央の権力闘争から縁遠い下級貴族によって構成されている。 隊長は曹操、その下にコルベール、アニエス、さらに魔法学園からギーシュやレ... -
割れぬなら……-08
前ページ次ページ割れぬなら…… 「曹部尉殿、お助けをーっ!」 王都に響く叫び声。 途端にその場に居た全員の注目を浴びる一人の男。 曹操孟徳その人である。 「ならぬ! 100打の刑じゃ!」 丸太のように太い棍棒を手にし、曹操が鬼のような形相でラーケンに迫る。 「部尉殿、100打も打てばどのような豪傑でも死に至るのは確実。あまりにもご無体」 副官らしき男が追いすがるように懇願する。 「口答えするか!」 曹操は剣を抜き、一瞬にして副官の首を刎ねる。 おびただしい流血と共に副官が倒れ伏し、生首が無残にも地面に転がった。 周囲から悲鳴があがり、子供の泣き声まで聞こえてくる。 「ならばわしが打つまでじゃー」 悲鳴をあげて逃げまとうラーケン。 しかし曹操はすぐに追いつき、巨大な棍棒を振り上げた。 「ギ... -
割れぬなら……-13
前ページ次ページ割れぬなら…… 月下斬舞 敵は7万、こちらは1人。 それを戦争だと言い張れる者がいるだろうか。 ルイズは死ぬつもりだった。 味方を逃がすために、1人でも多く生き延びさせるために、ルイズは7万の敵にありったけの魔法を浴びせて死ぬつもりだった。 ……しかし、ルイズはそれを果たせなかった。 幾重にも幾重にも連なる敵兵達を掻き分け、突き抜け、白馬に乗った一人の武人が飛び込んできたのだ! 「チョウウンッ!?」 ……趙雲子龍、ルイズが呼び出した虚無の使い魔。 ルイズは趙雲に撤退を命じていた。 しかしこの男は命を破り、ルイズを救いに敵中を突破してきたのだ。 「遅くなりました」 敵兵が茫然としている中で、趙雲はゆっくりとルイズの前に進み、鋭い殺気と共に敵を睨みつける。 「ルイズ様。 この趙雲の後ろは... -
空と戦士と……-01
前ページ次ページ空と戦士と…… 「空はいい」 それはルイズが召喚した使い魔の口癖。名前をピッツァと言った。 「ピッツァ! 朝ごはん食べに行くわよ!」 桃色の髪をした魔法学院の生徒が寮の窓から空へと怒鳴った。 数秒の沈黙の後、風を斬るような音と共に人影が窓から室内へと飛び込んでくる。 「マスター、食事は不要だと言ったはずだが?」 飛び込んで来たのは、鳥の頭部のような真っ赤な仮面を被り、奇妙な服な服を来た亜人。 裾がギザギザになった緑のマントが翻り、静かに地面へと足をつけた。 「食べられるんなら、飾りでも良いから食べなさい。人の形をした使い魔を虐待してるみたいじゃない」 「ふっ、プライドの問題か。そういう事ならば仕方が有るまい」 無愛想なのはマイナスポイントだが、ルイズはこの使い魔がそれなりに気... -
長編(五十音順)-03
さ行 作品タイトル 元ネタ 召喚されたキャラ 更新日時 虚無の使い魔と煉獄の虚神 円環少女 グレン・アザレイ 2009-01-01 17 29 32 (Thu) PSYFER THE BLAZE サイファー 炎修太 2010-11-07 00 27 24 (Sun) 機械仕掛けの使い魔 サイボーグクロちゃん クロ 2012-02-08 20 35 19 (Wed) 化け猫の使い魔 サイボーグクロちゃん マタタビ 2007-08-02 17 10 42 (Thu) サイボーグ 0009 サイボーグ009 島村ジョー 2010-09-14 18 18 56 (Tue) 使い魔は妖魔か或いは人間か サガ フロンティア アセルス 2014-07-12 00 04 04 (Sat) 時の使い魔 サガ フロンティア 時の君 2010-08-12 13 26 39 (Thu) ゼロの使い魔・ブ... -
空と戦士と……
「勇者王ガオガイガー」より、ピッツァ 空と戦士と……-01 空と戦士と……-02 -
空と戦士と……-02
前ページ空と戦士と…… 「むっ?」 ピッツァがその不信人物を見つけたのは一重にゾンダリアンとしての超感覚の賜物だ。 何時も通りに見上げていた星空から視線を外し、眼下にてコソコソと自分が天辺に立つ搭、つまり学園の寮に入っていくローブの人影。 学園の生徒だろうか?とも考えるが、あんなにコソコソする必要は無い。となれば……侵入者、排除すべき存在だ。 「マスター」 「なっ何よ! ピッツァ?」 声が掛かる場所が予測していた方向と反対だと人は必要以上の衝撃を覚えるものだ。 ルイズもドアに向いていた感覚が窓の外から届く声にビックリ仰天。バッと振り向けばそこには見慣れた使い魔と幼馴染が浮いていた。 ただ問題があるとすれば……幼馴染の顔が真っ青で口をパクパクさせながら、今にも死にそうな点だろう。 「搭に進入しようとしていた不審者を捕縛した。衛兵にでも... -
長編(話数順)-03
長編(ページ数順15P~) ※総ページ数をカウント(例:第○話が前後編なら2ページ分、外伝や幕間も加算) 長編(話数順01~04P)へ 長編(話数順05~14P)へ 80P~ 60~79P 50~59P 40~49P 35~39P 30~34P 25~29P 20~24P 15~19P 80P~ 作品タイトル 元ネタ 召喚されたキャラ 更新日時 マジシャン ザ ルイズ Magic the Gathering(マジック・ザ・ギャザリング) ウルザ 2010-11-06 23 52 26 (Sat) ソーサリー・ゼロ ゲームブック「ソーサリー」 主人公「君」 2014-01-14 22 18 54 (Tue) ウルトラ5番目の使い魔 ウルトラマンシリーズ ウルトラマンA 2020-08-13 22 58 15 (Thu) ゼロの黒魔道士 ファイナルファンタジー9 ... -
THE GUN OF ZERO-20
前ページ次ページTHE GUN OF ZERO 貴族達へ出す朝食が終わり、後かたづけのゴミ出しをしているクォヴレーとリュウセイ。 「そういえば……今日はシエスタを見ていないな」 「ん?ああ、そういやそうだな。何かあったのかね?」 「呼びましたか?」 ゴミ箱を運んでいる二人に、声がかけられた。 「おうシエスタ、おはよ……って何だその格好」 「おはようシエスタ。……重装備だな」 聞き知った声に振り返り、二人で怪訝な顔をした。 「あ、はい。今日から休暇をいただいて里帰りするんです」 「そっか、住み込みで働いてるんだもんな」 「しかし、その荷物……家は遠いのか?」 「いえ。せいぜい歩いて五日ぐらいですよ」 「歩いて五日ぁ!?ていうか歩くのか!?」 素っ頓狂な声を上げるリュウセイ。 文明社会の申し子的なリュウセイにしてみ... -
狂蛇の使い魔-20
前ページ次ページ狂蛇の使い魔 第二十話 ルイズたちが船倉で途方に暮れている頃、空賊船の船長室では、空賊の頭を名乗った男と、杖を持ったタバサとが、船長の机を挟んで対峙していた。 扉の外から突然現れた謎の人物に、男は一瞬驚いたものの、すぐに冷静さを取り戻し、机に置いてあった杖を構えた。 一方のタバサは、開いていた扉をゆっくりと閉めると、手に持った杖すら構えずに立ち尽くしたまま、微動だにしない。 部屋に侵入しておきながら依然として動きをみせない少女をいぶかしみながら、男は口を開いた。 「お前、一体何者だ?」 「私はトリステイン王国の王女、アンリエッタ様の遣いの者。ウェールズ皇太子、あなたに用がある」 侵入者にいきなり皇太子と呼ばれた男は、一瞬その顔をしかめる。 しかしすぐに余裕の笑みを見せると、タバサに言葉を投げ返した。 ... -
ナイトメイジ-20
前ページ次ページナイトメイジ 「どうしよう、じゃないわよどうしようじゃ。何とかしないと。ルイズは生きているんだし、それに力を失ったわけじゃないんだから全部ダメになったわけじゃないのよね。何とか巻き返さないと。えーとえーとえーと、まずは……。うん、そうしましょう」 遠くで戦いの音がする。 それが徐々に近づいてきていてもルイズは泣いていた。 悔しくて泣いていた。 つらくて泣いていた。 悲しくて泣いていた。 そして扉のきしむ音がした。 ルイズはワルドが戻ってきたのかもしれないという期待と恐れを混ぜたまなざしでそれを見たが、その先にいたのはベルだった。 「どうしたの?ルイズ」 ルイズの使い魔はこの礼拝堂に立ちこめる血のにおいなど気にならないのか奥に向かって歩き、ルイズのそばに来ると手を差し伸べた。 「ワルドが、ウェールズ王子が……姫様が……あ、ああああああ... -
萌え萌えゼロ大戦(略)-20
前ページ次ページ萌え萌えゼロ大戦(略) 「……にわかには信じられませんわね。これは」 学院長室でテーブルに置かれた砕けた煉瓦を前にして人差し指を額に 当てるエレオノール。その煉瓦はオスマンの言葉を信じなかった彼女に 真実を伝えるもの――厳重な『固定化』と『硬化』が施されていながら 中心を貫く一条の穴から真っ二つになっている。トリステイン王国が誇る 魔法研究の最先端を自負する王立魔法研究所、通称『アカデミー』の 主席研究員であり、そこで土魔法の研究を行っているエレオノールには、 それが常軌を逸する結果としか思えなかった。 「お前さんもアカデミーの主席を務めるならいい加減理解せんかい。 お前さんの妹が呼び出した使い魔の持っとる銃は、スクウェアメイジが 束になってかかっても防げん。ワシが生徒を傷つけんよう約束させとらん かったら、決闘... -
鷲と虚無-20
前ページ次ページ鷲と虚無 才人はいったい何故学院長が二人を呼び出したのかを考えていた。 二人が何か問題を起こして呼び出された、という事が最初に頭に浮かんだがプッロに関してはここ二日は一緒にいたため、それは有り得ないだろうと思った。 ウォレヌスについては解らないが、彼がそのような事をしでかすとは考えにくい。 ルイズも同じ事を考えていたのか、同じ疑問を投げかけてきた。 「ねえ、なんであいつらが呼び出されたのか知ってる?」 「いや、全然解らん」 「プッロが何かやらかしたとか?」 「昨日と今日はあの人とずっと一緒だったけど、問題になるような事は何もしてなかったぞ」 「じゃあいったい何なのかしら……」 ルイズは困惑の表情を浮かべていたが、すぐに机に向き直って勉強を再開した。 ルイズに声をかけたら邪魔になるだろうし、特にする事も無いので才人はごろんと床に仰向けに... -
毒の爪の使い魔-20
前ページ次ページ毒の爪の使い魔 ――タバサとキュルケの対峙から約20分前―― ――トリステイン魔法学院:火の塔の裏―― そこは既に散々足る状況だった。 草原は所々が炎で焼かれ、風のカッターで深く抉られている。 戦場の一部を切り取ってきた…と言われても納得のいく光景だ。 そんな中、対峙する二つの人影。 ジャンガとコルベールは互いに距離を取り、相手を見据え、構えを取ったまま動かない。 お互い、相手の手の内は大半を知るところとなったが、まだ全てではない。 それゆえに下手に動けないでいるのだ。 ――唐突にジャンガが動いた。 無数の分身を生み出し、突撃する。 分身は複雑に動き、相手をかく乱しようとするが、コルベールは動じない。 分身が飛び交い、コルベールとすれ違う。 その背後からジャンガは爪を振り下ろす。 それをコルベールは杖... -
もう一人の『左手』-20
前ページ次ページもう一人の『左手』 . 「なぜ知っているだと……? テメエ一体、さっきから何言ってやがるんだ」 じわりと声に殺気を込めて、平田がそのままカウンターから立ち上がり、風見ににじり寄る。それはまるで、猫科の大型肉食獣が威嚇するような迫力があった。 ――が、そんな見る者の目さえ背けさせるような圧力を、風見は無言のまま、弾き返すような鋭い眼光で睨み返している。口元の冷笑さえも、いまだ浮かべたままだ。 (――ちがう) 不意にフーケは気付いた。 この男は確かに、風見志郎だ。 顔と体格が同じというだけではない。そんな外見的特徴など、魔法を使えば、いくらでも似せられる。だが、そんなことでは、絶対に解決出来ない内面的特徴というものがある。 そういう意味では、この男は紛れもなく風見志郎本人だ。 この雰囲気、体臭、なにより余人には絶対に... -
虚無の王-20-2
前ページ次ページ虚無の王 * * * 夜が深まると、夏はどこかに姿を消してしまった。 夜風が冷たい手で肌を撫でて行く。火が恋しい。 後、一週間もすれば、気が狂う程暑く、寝苦しい夜が来るなど、全く嘘の様だ。 テントを張り終えて、空は火の傍に戻る。 動けるのは、他にモンモランシーだけだ。今は負傷して意識を失った三人の治療に当たっている。 ルイズはエア・ハンマーの一撃を受けて昏倒した。どこかに頭をぶつけたのかも知れない。少し、心配だ。 もっと心配なのは、襲撃者の二人。 爆発に巻き込まれた一人は湖に転落し、小柄な方は森まで飛んで行った。 「それにしても……」 モンモランシーは洩らす。 「どうして、この二人がこんな所に居るのかしら?」 「さあなあ……目醒ましたら、聞けばええやろ」 ルイズとの壮絶な相打ち... -
虚無と狂信者-20
前ページ次ページ虚無と狂信者 夜になり、村中の娘を村長の屋敷に集めて守ることにした。 怪しいアレキサンドルは、ベルナドットが見張っている。 そして中庭ではメイジ役のセラスとサイトが武器を置いて酒を飲み、管を巻く。 無力を装い酒に酔ったふりをして吸血鬼を誘き出す算段である。 「何だよあいつらー。俺が何したってんだよー」 才人が飲んでいたのは葡萄ジュースの筈だったが、それでも酔っぱらっている。よほど辛かったらしい。 「何でさー、女の子に電流流れる首輪つけられる訳? 俺の国なら普通に警察動くよ? それとも何? これがこの国の貴族のスタンダート何ですか? ねえタバサ!」 タバサは黙って石を投げる。若干正気に戻ったらしい才人はいらないことを言わないように突伏する。 そしてフラリと屋敷のトイレに向かった。 才人が廊下でバタリとすれ違っ... -
ゼロの花嫁-20 C
前ページ次ページゼロの花嫁 キュルケの魔法でぶちぬかれた敵前衛に、アルビオン兵達が殺到する。 しかし流石に本陣を守る兵達は一撃で崩れてくれるほど容易くはない。 すぐに戦列を建て直し騎馬に対するが、彼等は、アルビオンの鬼兵達は、 皆が皆馬から飛びあがって反乱兵達に襲い掛かったのだ。 飛び込み倒れる馬に潰された者達はまだ幸運であった。 その重量に耐える体力さえあれば生き残れるであろうから。 しかし中空を舞うアルビオン兵に降りかかられた者は、一人の例外も無く斬り殺された。 馬で一瞬すれ違う今までの者達とは違い、 狂乱にその身を委ねたアルビオン兵達と面と向かわなければならなくなったのだ。 少なからぬ実戦経験とたゆまぬ訓練に鍛え抜かれた兵達をして、彼等の前に立ち続ける事は至難である。 人の皮を被った獣。そうとしか形容しようのない野獣達は、 自らの身を省みる事すら忘... -
Persona 0-20
前ページ次ページPersona 0 Persona 0 第20話 「始まる……今こそ幻想が剥ぎ取られ、始祖が封じた本当の世界が再生するのですね」 透明に輝く鏡に顔を突っ込みそうなほどに近づけて、ヴィットーリオは血走った目でことの成り行きを見守っていた。 ずっとずっと狂おしいまでに望み続けた、真なる世界の足音を聞きながら、ヴィットーリオは感慨深げに今までの事を思い返していた。 始まりはやはりこの世界が“作られた”ものだと知った時。 この世界が始祖ブリミルが作り上げた偽りの楽園だと気づいた時、ヴィットーリオ・セレヴァレはその幻想を叩き壊す決意を決めたのだ。 思えば幼い頃から偽りに囲まれ育ってきた、とヴィットーリオは回顧する。 脳裏に浮かぶのは虚無の才能がある可能性を持った子供を選抜、隔離するロマリアの宗教施設『神の... -
雪風とボクとの∞-12
前ページ次ページ雪風とボクとの∞ 「タバサ! これを知ってるかい?」 三成は片手に持っている液体入りの霧吹きを指差してタバサに問いかけた。 「……最近発売されたこれの事……」 タバサも同じ霧吹きを指差しつつ三成に答える。 「……めがねにシュッシュ……泡の力で汚れすっきり……その名も『メガネのシャンプー』……だから……ミツナリ……ミツナリのめがね……私がシュッシュしてあげる……」 「くはーっ♪」 撃ち抜かれたかのごとく三成は自身の胸をつかみ、満面の笑みを浮かべた。 (ああ、めがねっ娘の魔女っ娘に自分のめがねをシュッシュしてもらえるなんて、ボクは何て幸せなんだ。この幸せ、しかと眼に焼き付けよう……) しかしその時、三成は戦慄すべき事態に気付いた。 「って、見えなーい!!」 そう、近視でありながら裸眼でタバサの姿を見ようとする三成にとって、今のタバサとの... -
鋼の使い魔-20
前ページ次ページ鋼の使い魔 空賊船として偽装されたアルビオン王党軍最後の戦艦『イーグル』号。巡航速度と小回りに優れ、戦列艦等級では最小の4級艦に分類される。その運動性と引き換えに砲撃能力は低い。アルビオン内乱で王党軍の誤算があったとすれば主力であった空軍の大部分が貴族派についてしまったことだろう。『イーグル』号がその中に含まれなかったのは、当艦が内乱当時に船員訓練の為の練習艦として運用され、直接空軍の指揮系統に置かれていなかったから、という『偶然』だった。 一方、アルビオン内乱の序章を繰り広げた当時のアルビオン空軍旗艦であり、現在貴族連合『レコン・キスタ』の空軍艦隊旗艦となった『ロイヤル・ソヴリン』号改め『レキシントン』号。戦列艦等級では搭載可能人員・火砲共に最多となる1級艦であり、両舷側あわせて108門の砲門を揃えている。艦齢も古く乗員も熟練の船乗り達に取り仕... -
虚無の王-20-1
前ページ次ページ虚無の王 日差しの暖かな時間になると、トリステイン魔法学院学院長オスマンは、少しばかり早く、ほんの少しだけ長い午睡に身を委ねる。 そんな時、秘書のロングビルは主人を起こしてしまわない様、そっとサイレントの呪文を唱えて、席を外す。 毎日の様に繰り返される光景。ロングビルは毎日の様に、一つ下の階に降りる。重厚堅牢な鉄扉の前で足を止める。 宝物庫だ。ここには、学院設立以来の秘宝が収められている。 小さな杖を取り出し、ロングビルは魔法を唱える。 アンロック。効果無し。練金で扉の破壊を試みるも同様――――。 思わず、溜息が漏れた。 魔法学院はメイジの巣だ。守りの堅固にかけては、並の城塞など及びもつかない。 だが、それ故に管理側の注意にも綻びが見える。 齡100とも300とも囁かれる老オスマンにしても、どれ程、油断な... -
お前の使い魔-20
前ページ次ページお前の使い魔 わたしの手に、ぼんやりとした光が灯る。 「何だこれは!? くっ! させん!!」 慌てるワルドの声が聞こえると同時に、一際明るい光がわたしを包む。 「チィッ!!」 その光を攻撃するものと判断したのか、ワルドは舌打ちし、大きく後ずさった。 しかし、この光は誰かを攻撃するものじゃない。 「……ソレは何の冗談だルイズ?」 わたしの手の中に現れた物を見て、眉をひそめたワルドが呟く。 ワルドが見ているもの、ソレは小さな人形。 「見てわからないワルド? 人形よ」 「時間稼ぎのつもりかいルイズ? ならば失敗だよ。事態は何も好転していない」 呆れた様子で鼻で笑うワルドへ、わたしは余裕の笑みを見せ言う。 「いいえ、終わりよワルド」 「……っ!!」 わたしの様... -
ゼロと損種実験体-20
前ページ次ページゼロと損種実験体 タルブの戦の後、アンリエッタとアルブレヒト三世との結婚は白紙に戻った。 これは、トリステインがアルビオンに攻められた折に、兵を出し渋ったゲルマニアへの不信からきたものであり、同時にタルブでの奇跡的 な勝利により、アンリエッタを女王にと言う声が上がったからである。 これにゲルマニアは難色を示したが、文句は出なかった。出せるはずがないのだ。アルビオンはゲルマニアをしても勝利し難い相手である。 それを一国で退けたトリステインを敵に回そうなどと、思えるはずがない。大体にして、アルビオンという脅威はまだ去ったわけではないの であるし。 だから、婚約は白紙になっても、二国の同盟はそのままであった。 それ自体は、アンリエッタにとって幸いなことであったが、納得し難いこともある。 この戦争における奇跡的な勝利は... -
虚夢の盾と剣
茜さす空 一陣の風 囲む焚火は 揺らめいて もしも夕陽が 沈まぬならば ただ今だけを 笑うのに 集う者らの 沈んだ顔に 笑顔も何も ありゃしない “最後かもしんねぇんだろ?” 静けさ斬るは 一振りの剣 文字のまんまの 錆刀 口も無ければ 顔も無く 器用に鍔で 語りだす “だからよ、全部、話しておきてぇんだ” 耳を傾け 聞いてはくれぬか これは誰かの 物語 少し長くは なるかもしれぬ どこか遠くの 物語 虚夢の盾と剣 ~出会 -The Starting of Parting- ~ それはいつかの 星降る夜に 大きな街で 動き出す それはいつかの 祭りの夜で 街の灯りも 眩しくて それはいつかの 星すら見えぬ 袋小路の 片隅で それはいつかの 路地裏の隅 武器屋の棚の その奥で それはいつから あったのだろう 朽... -
ゼロの花嫁-20 A
前ページ次ページゼロの花嫁 ゼロの花嫁20話「ロンディニウム攻防戦」 明るい話題からは数万メイル程かけ離れた場所であったアルビオン王都ロンディニウムのハヴィランド宮殿は、 信じられぬタイミングでの客人に湧き上がる。 現在の実質的指導者であるウェールズ皇太子が誇らしげに紹介すると、今は宴会場となっている謁見の間で、 ルイズ達一行はもみくちゃにされんばかりの勢いで歓迎された。 城の外は敵だらけと聞いていたルイズ達はあまりの陽気さに拍子抜けするも、 ウェールズがこの期に及んで夜襲をかけられる程ロンディニウムに兵は居ない、と言うと納得したのか一緒になって飲み始めた。 まだ夕暮れ時だというのに、誰も彼もエライ勢いで飲んでいる。 完全に巻き込まれたキュルケ、タバサ、燦をさておき、ルイズはこそこそと宴会場から抜け出す。 同じく気配すら消して宴会場から逃げ出してき... -
虚無のパズル-20
前ページ次ページ虚無のパズル 魔法学院の学院長室、オスマン氏の前に立ちながら、コルベールは何度目かの深~~いため息をついた。 見ている方が憂鬱になりそうな、悲しげなため息である。 「……その、きみ。どうしたんじゃね」 オスマン氏が声をかける。 「すみません、いえね、少し悲しいことがあったもので……」 コルベールは粉々に破壊された『愉快なヘビくん』のことを思い出して、せつなそうに言った。 「して、オールド・オスマン。わたしを呼ばれたのは、何用で?」 「ああ、なに。以前きみが届け出ていた休暇届な、受理することにした」 「おお、そうですか!」 コルベールはぱっと顔を輝かせた。 コルベールの変わり身の早さに半ば呆れながら、オスマン氏は言った。 「またタルブかね?飽きんな、きみも」 「ええ、なにしろ実に興味深い!かの地に生える植物には、なに... -
ゼロと魔砲使い-20
前ページ次ページゼロと魔砲使い 少し前の時間。ウェールズの私室。 着飾ったルイズとなのはは、ウェールズから古ぼけたオルゴールを見せられた。 「はい、これが『始祖のオルゴール』だよ」 見た目はそれほど豪奢でもない、むしろ手作り感のある、ごく普通のオルゴールに見えた。 「けどこの通り、なんにも聞こえない」 ねじを巻き、ふたを開ける。普通なら音楽が鳴るはずなのに、なにも音がしない--筈であった。 だが、この場にその音無き音を聞き取れるものが二人いた。 「え、なんで! オルゴールがしゃべってる!」 一人はルイズ・フランソワーズ・ド・ラ・ヴァリエール。 “マスター、間違いありません。これはデバイスの残り半分、ストレージユニットです” 同じデバイスである、レイジングハートであった。 「どうした、一体! それに今の声は!」 ウ... -
ゼロの花嫁-20 B
前ページ次ページゼロの花嫁 三百騎は走る。走る。走る。 幾たびも陣を飛び越え、軍を切り裂き、悲鳴と断末魔を纏いながら。 魔法をまともにくらい、馬から転げ落ちたアルビオン兵は、地面に叩き付けられるなり飛びあがる。 血走った目のまま、トドメを刺さんと近寄って来た兵の首元に喰らいつき、首回りの筋肉ごと咬み千切る。 後ろから槍で突かれ、深々と胴体に刺さったそれを片腕を振り下ろしてヘシ折り、 同じく横から槍で突きかかってきた男に飛びかかる。 槍で脇腹を抉られながら、敵の口と目に指を突き入れ、全力で握り締める。 同時に四方から槍を突き刺されるが、手の力はいささかも衰えず、 くぐもった悲鳴をあげ敵が倒れるのと同時に、男は力尽き倒れた。 ほっと、皆が一息ついた直後、男はがばっと立ち上がる。 全身から垂れ下がる槍を引きずりながら数歩歩いた後、男は再び倒れ、二度と起き上がる事... -
ゼロと電流-20
前ページ次ページゼロと電流 雑談に見せかけた査問。ワルドとの会話を、マチルダはいつもそう感じている。 今もそうだ。任務の確認に続く雑談で、ワルドはティファニアの話題を持ち出しているのだ。 「そうだね。あの子は虚無かも知れない」 しばらくの逡巡の後、マチルダはワルドの言葉を認めた。 否定しても始まらない。いや、否定すれば、否定を許さない証拠をワルドは目の前に出そうとするだろう。 それは避けなければならない。 「まともな魔法は使えないよ。ああ、確かに。それに関してはヴァリエールの小娘と一緒だね」 相手の望んでいるであろう答えを返す。それが出来ている限り、自分は疑われない。 策を講じる者には、策が当たっているのかそれとも当たっていると思わされているのか、見分けを付けることなど出来ない。 だから、当たっていると思わせる。そうす... -
るろうに使い魔-20
前ページ次ページるろうに使い魔 「ここは、どこ?」 気付けば、ルイズは闇の中にいた。辺り一面真っ黒な世界。何も見えない、何も聞こえない。そんな場所。 いきなりそのような所に放り込まれたルイズは、一瞬戸惑いながらも歩き始めた。 このまま真っ直ぐに行けば、ここから抜け出せる、何となくだったがそう直感で思ったのだ。 事実、ルイズの目の前に、小さな光が見え始める。それは段々大きくなり始め、今度は眩い光が、ルイズの視界を覆った。 その先にあったのは、夢の続き。あの使い魔の、始まりとも言える過去。 「…これは……」 次にルイズが見たものは、紅く染まる太陽と、幾多にも並ぶ木の墓標。 枝を折って作り上げた簡単な十字架は、日に当たって大きな影を作っていた。 その中心には……子供の頃の剣心…心太が後ろ姿で立っていた。 「驚いた、親だけでなく、野盗共... -
雪風とボクとの∞-02
前ページ次ページ雪風とボクとの∞ 南雲三成とタバサは嬉し恥ずかし使い魔とメイジ。 ただ1つ困った事は……三成は極度のめがねっ娘フェチだったのです。 「裸眼の女はただの(ピー)だ!!」 「……ミツナリー……」 これは変態南雲と健気なタバサちゃんのめがねチックラヴストーリーである。 「……でも……使い魔の全てを受け止めてこそ真のメイジ……頑張る……」 虚無の曜日、町に買い物に出かけた三成・タバサが眼鏡屋の前を通りかかった時、 「……あ……ミツナリ……ブクブク……」 「ブクブク?」 と三成はタバサが指差した先にある台上に置かれた箱型マジックアイテムを見る。 「ああ、眼鏡洗浄用マジックアイテムの事か」 「!」 そこでタバサは何事かを思いついた表情で三成の眼鏡を外すと、 「……ミツナリの眼鏡……私がブクブクしてあげる……」 「はぐうっ(はぁ... - @wiki全体から「割れぬなら……-20」で調べる