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ニール

<タイプ> <聖騎士> タイプ パラディン
種族 人獣 ジョブ アタッカー
HP 350 ATK 10
DEF 10 コスト 20
アビリティ
召喚 なし
覚醒 エネオブジェアップW
超覚醒 オブジェアタック
陰鬱とした曇り空の下、僅かに火を燻らせながら広がる真新しい廃墟。
そこに、薄青い髪に細面、眼鏡をかけた青年が、累々と積み重なった瓦礫に腰を掛け、
しかめ面で地面に描いた紋様を見つめている。

「う~ん、おかしいな…。あ! そうかそうか、僕としたことが――こうだね」

青年は一人つぶやくと、一転して晴れやかな顔になり、さも楽しそうに小枝で砂をこすり紋様を書き直す。

「…どうかな?」

すると、地面の紋様が橙色に光って空中に浮かび上がり、
木々が枝葉を高速で伸ばしていくかのように広がりながら、大きな球体を構築していく。

「ハハ、いいぞいいぞ!」

子供のような瞳で笑う青年の前で、球体は周囲の空間を吸い込むようにぐにゃりと歪み、
収縮した後、バリンと弾けて何か大きなものを吐き出した。

球体からドシャリと落ちたそれは、二人の人間だった。一人は白銀の鎧をまとった長髪の騎士。
もう一人は無骨な戦棍と円盾を手にし、真っ直ぐに髪を整えた僧兵。

「アハハ! ほらね、やっぱりそうだった。成功成功」

手を叩いて喜ぶ青年。
騎士は頭を振りつつ顔を上げると、青年を視界に収めたと同時に立ち上がり、舌打ち宜しく大剣を抜き構えた。
しかし僧兵が即座にそれを制し、居住まいを正して青年に語りかける。

「…失礼。あなたが、女神の言われた“センドウ”ですかな?」

青年は、僧兵の問いかけに、目をパチクリとさせながら首を捻ると、
一人何かに合点がいったように笑顔でうなづいた。

「せんどう…あぁ“船頭”ね。その通り。僕は敵ではないよ。
ようこそ異世界へ。どうだった? 僕の“図形”の乗り心地は?」
「…なんのことやらだな。あんたは誰だ?」

微動だにすることなく青年に向けられた切っ先が、油断はしないという強固な意思を示す。

「僕はね、アルキメデス。僕も女神様に頼まれてさ。君の先生…マグスさんといったかな?
――と“通信”して君たちを呼び寄せたんだ。
彼、なかなか大したものだね。空気振動の時空転送法を独自に見つけ出すなんてさ。
いや、誰かに聞いたといったかな? 
とにかくだ、受け手に僕がいるとしても、生体が時と次元を超える方法を他者が実行――」
「おい待て。マグスって…あのマグス先生か…?」

騎士に言葉を遮られ、少し不満そうな顔をする青年。

「どのマグス先生か、とか、君達を何故ここに呼ばなけりゃならなかったか、なんてのは知らないよ、僕は。
でも、女神様から『赤き石』の真理に近づく方法を聞けたからね。これくらいはお安い御用さ」

そうか、先生が――騎士はそうつぶやくと、剣をおろし、曇天を見上げた。
その顔にぽつりぽつりと冷たい滴が落ちる。

「あぁ、とうとう降ってきた。僕の図形が完成した後で良かったよ。じゃあね」

そう言って降り出した雨を避けるように、その場から去ろうとする青年。その背中に騎士が声をかける。

「おい、あの金の職棒持った“フクロウの女神”が言ったこと――
本当に、“あいつ”はこの世界にいるのか?」
「フクロウ? …ふーん、その女神様、僕の会った方とは違うようだね。
僕が会った方は、フクロウというよりは、暗黒大陸の巨鳥骨格に似た鋳像に乗っていたよ。
あの標本は確か、アレクサンドリアで見たんだっけ…。
何にせよ、だ。ソフォクレス先生曰く『人間は、神々によって与えられたる運命を忍ばねばならず』さ。
全て致し方無し。つまり、この瓦礫散らばる舞台は、超常なる方々の意思に従い、
君の言う“あいつ”により整えられて既に開演している。だから――」

青年がやけに大仰なそぶりで背後の瓦礫の山を指し示した。

「――彼は、すぐそこにいる」

青年の言葉を聞いた騎士は、ゆっくりと息を吐き、目を閉じた。

「そうかよ。世話んなったな。先生に宜しく伝えといてくれ」
「是非にも」

ニコリと笑い、手首を軽く振って騎士と僧兵を見送る青年。二人は瓦礫の前に歩を進めた。

「これをあいつがな…」

騎士はうず高く積み重なった瓦礫を見つめ、かつて自分が犯した“罪”に思いを馳せる。

「似た者どうし、ということですかな?」

騎士の心を見透かしたような僧兵の言葉に、騎士が口の端をゆがませる。

「あいつの方が男前だと思ってたがよ、そうだったのかもな」
「ならば大丈夫ですな。あなたはこうして戻ってこられた。彼もきっと…」
「…よせよおっさん、涙出ちまうだろ」

騎士は瓦礫の目の前で足を止める。

「オレはあいつを殺したくねぇ。けど、あいつにオレを殺させるわけにもいかねぇ…。
だからよおっさん、『ビショップ』のあんたの力が必要なんだ…頼んだぜ」
「わかっておりますとも。まかせておきなさい」

そう言うと、僧兵はぐぅっと鼻息荒く戦棍を振りかぶり、
爆発でも起きたかのような一撃を瓦礫の山に叩き込んだ。
巨大な瓦礫が爆散し、一瞬にして塵と化す。

もうもうと立ち込める砂煙。
そこに、降り出した雨が燻り火に当たり、立ち昇らせた水蒸気と合わさって更に視界を曇らせてゆく。

ふと、空気が揺れた。

ガキィィィン!――反射的に騎士が立てた刀身が、不意に撃ち込まれた黒い斬撃に打ち震える。
剣を構えなおす間もなく、矢継ぎ早に撃ち込まれる斬撃。

「ホーーーリィィィ ライトォォォォーー!」

僧兵の叫びと共に現れた輝く障壁が、無数の斬撃を一気に跳ね返す。これでひとまず態勢を――

「ぐふぉあっ…!!!」

なぜか、背中から衝撃を受けて吹き飛んだのは僧兵。
いつの間に回り込まれたのか――更なる黒い斬撃が倒れた僧兵に迫る。

「おっさん!」

騎士が僧兵を庇い、その体で斬撃を受ける。雨に混じり廃墟に舞う赤霧。

「キュアアアアア ライトオオオオ!!」

這いつくばる僧兵の戦棍から燐光が瞬き、騎士の傷を瞬時に癒す。

「こりゃあ、きっついな… 悪ぃなおっさん」
「いえいえ、しかし、なかなかにやり手です」
「…だな」

騎士は紅色の大剣を構えなおし、立ちこめる煙に身を隠す敵に呼びかける。

「おい、不意打ちとかよぉ、それでも聖騎士かぁ!?」

次第に雨脚が強まり、地に吸い込まれるように立ちこめていた煙が薄らいでいく。

騎士が顔を向けた先――そこには気炎を上げ、荒く息を吐く黒い影が立っていた。
影は言葉なく騎士を見つめ、騎士もまた影を見つめ返す。
その目には、喜びとも悲しみともつかない僅かな光が滲んでいたか――
騎士はゆっくりと、大きく息を吸い込み、しっかりとした口調で告げた。

「やっと会えたな。待ってろ、今、兄ちゃんが助けてやる」
身長 1.8[meter]
体重 75[kg]
出身 聖堂都市神聖孤児院
現在の場所 レムギア
現在の相棒 ボルボザ
現在の敵 愛すべき家族
イラストレーター 沙汰
最終更新:2017年03月10日 01:33