アットウィキロゴ

犬飼現八

<タイプ> <狂戦士> タイプ 八犬勇
種族 人獣 ジョブ ディフェンダー
HP 500 ATK 70
DEF 90 コスト 50
アビリティ
召喚 なし
覚醒 なし
超覚醒 真揮『二階松山貳十手』
アームズ
裏円花 【アームズ】範囲内にいるターゲット中の敵ユニット1対にダメージを与える。
さらに、自身の移動速度が一定時間上がる。
藍色の鱗と豪奢な金が、天を突くほど幾重にも高く積み上げられた瓦屋根。
夜闇の中、城下に燃え広がる炎の明かりに照らされ、橙色に浮かび上がるその威容は、
滸河公方の御所にかの櫓ありと謳われた、その名も高き芳流閣。

その天辺に、見よ、意気猛々しい焔を放つ若武者が二人。

その一方、二本の十手を二階二段に構えて咲く牡丹の花――音に聞こえた大罪人の獄舎番、
犬飼現八は、目の前で白刃を構えてすいと立つ、女と見まごうほどに美しい剣士をねめつけた。

「はっ、なんとも別嬪な賊がいたもんだ。あんた、名前は?」

「…鎌倉公方が近習筋、犬塚番作が一子――信乃」

「ほぅ、名まで別嬪さんかよ。
なら、鎌倉様の御子である我が殿、滸河公方は、テメェの主君筋ってわけじゃねぇか。
その滸河の親父に何で弓引きやがった? それにテメェ、あの『村雨』の使い手なんだってなぁ…
そのヤッパが村雨か? 村雨といやぁ公方のお家に伝わる宝刀だ。なんでテメェが持っていやがる?」

矢継ぎ早の質問に、信乃は僅かに眉をゆがめると、目を伏せて答えた。

「……これは、村雨丸ではない」

「あぁ?」

「――結城合戦の折、鎌倉様より祖父が託された村雨丸を、
滸河様へとお返しすることが亡き我が父の悲願であった。
しかし、こうして拙者が持参した村雨丸は、何者かに別の刀へとすり替えられていた…」

「はは、何とも間抜けなこったな。それで滸河殿に間者か何かと疑われたってとこか。
だがよ、あながち間違いかどうかはわからねぇよなぁ? 
それにテメェは、あの狒々親父好みの女みてぇなツラしてやがる…
床にすべりこんで、滸河殿の命獲るにゃあ向いてそうだぜ」

そう笑いつつ、にじりと距離を詰める現八を、信乃は目を細め見やる。

「貴様…今、拙者を女と嘲ったか?」

「怒ったかい? だがな、こっちも怒ってんだよ。
あんたが間抜けをかました挙句に大暴れしてくれたおかげで、
あんたを捕らえるように仰せつかった可愛いアタシの元子分共が、打ち首あの世の瀬戸際だ。それに――」

現八は、腰の巾着に目を向ける。その口からは、淡く白い“珠”の光が漏れていた。

「――夢でよ、あんたの面倒を頼まれちまってな…そんなわけだ。
あたしの十手と縄が、あんたが“あの人”の役に立つ野郎なのかどうか見定めてやるよ」

「…夢? そのような世迷言のために、父の無念を散らすわけなど到底いくはずもなし」

信乃が一刀を突きだし構え、ぐぐっと脚を引く。
その刃が指す死線の先を己の喉に感じながらも、現八はなお笑って見せた。

「はっ! 確かに世迷言かもなぁ――だがな、アタシは、アタシの信じたものしか信じねぇのさ!」

言うや否や駆けだす現八。信乃もまた、同時に屋根を駆け登る。

二人はがしゃりがしゃりと瓦を鳴らし、そびえ立つ櫓の屋根を駆けながら、
激しく打ち合っては離れ、離れては打ち合い、剣と十手の火の花を散らす――。


そんな二人の戦いを包む闇の奥、揺れる影がひとつ――
長い黒髪を束ね編んだ男が、芝居見物でも楽しむかのようにその様子を眺めていた。

不思議なことに、決闘の場より三間ほどしか離れていない鬼瓦の上に座す男に、当の二人は気付きもしない。

「あはは、こりゃあいい感じだ。まったくもって謀らい通り。ほうれほれ、死合いなせぇ」

男はケタケタと笑いながら、片手に持った杯をくいっと傾けた。

「いやぁ、酒が旨い。なんとも見応えある大立ち回りよ――おぉっと近い、こりゃあ迫力だぁ」


男のすぐ目と鼻の先に、跳ね飛ばされた現八が着地する。
しかし、やはり現八は、男に気付かずに、信乃の方へと視線を向けたまま、体を捻り十手を引き絞る。

「ちっ、そろそろ本腰いれていくかよぉ…おらぁ! 表円花ああ!!」

現八の体が車輪のように縦に回転しながら跳ね上がり、信乃に打ちかかる。
しかし、信乃は身をそらし、衣一枚を切らせて躱しつつ、
そのまま逆さに反り上がりながら、背後にすり抜けた現八に斬りかかる。

しかし、背に目でもついているかのように、顔をそむけたまま後ろ手の十手で信乃の斬道をいなした現八は、
そのまま裏拳を見舞う要領で、独楽のように体を回転させた。

「そぉら! 裏円花あああ!!」

瞬きひとつの内に繰り出される十手の裏二連撃――
信乃は体勢を崩しつつ、辛くもそれを刀で受けきり反撃を返そうとするも、
現八は回転の勢いを生かして、そのまま信乃の間合いの外に飛び退る。

足場の悪い屋根の上にも関わらず、まさに息をもつかせぬとはこのことか。


「おおっと危ねぇ! そい、そこだ――あぁ、おしい!」

目の前で繰り広げられる戦いに、男もまた白熱の歓声をあげるが、やはりその声は二人に届かない。

そんな光景がしばらく続いた後、男はおもむろに一息ついて、半ば飽きたかのように後ろ手をついた。

「ふぅ、いやはや二人ともやるもんだねぇ…なかなか勝負がつきゃしない」

そして再び杯に酒を注ぎ、一気にあおる。

「ぷはぁ! …しかし、里見のお姫さんも罪なお人だ。
ご自身の中で育てた“徳”を子犬どもに分け与え、それを所以に殺し合わせるなんてなぁ、
確かにこりゃあ良い『鍵』が育ちそうってもんじゃあないですかい。
道を信じる『信』の珠、親に孝する『孝』の珠、こうしてがちんとぶつかり合やぁ、
果たしてどちらの珠がかち割れるんでしょうかねぇ」

男は胸に手を当ててさすり、

「ふふふ、熱い熱い…玉梓さんも嬉しいかい? あっしはちぃと悪い手癖でお手伝いしただけで、
あとはこうして見物してるだけってんだから、“使徒”ってのも楽なお仕事だねぇ――」

そう言って、腰に差した刀を鞘からすらりと引き抜いた。

現れたのは、冷気をまとった透明の刃。
下界の炎に照らされた刃から、水気がぽたりと滴り落ちる。

「――ほうら、村雨さんも、悲しいさだめに泣いてらっしゃる」

男は刃を透かし、向こう側を見やった。その先には、長い打ち合いが響いたか、肩で息する現八と、
体力は勝れども技に劣り、そこかしこに傷を負った信乃の姿。

胡坐のうえに頬杖をついて、男はにひりと笑みを浮かべた。

「さぁて、そろそろ決着ですかい?」

現八が天地に十手を構え、信乃が正眼に刀を構える。さぁ、次が必殺の一撃となるや――


その時、夜闇の黒がゆらりと揺れた。

次いで雲間が破れ、まっ白な光が芳流閣の頂を照らす。

「んんん?」

男が眉をしかめる。

「んだぁ!?」
「くぅっ!」

現八、信乃ともに、体の自由が利かない。二人は首だけを動かし、照り落ちる光の元を見上げた。


そこにあったのは、宙天に浮かぶ大きな――月。


『いけない――』


「うへぇ、物見遊山で終わりってわけじゃねぇんですかい…
この左母二郎さんを謀るたぁ、『教会』の方々もお人が悪い」

男――網乾左母二郎は、辟易とした風に口をへの字に曲げながら、
凶悪な眼差しを輝く月の“中”へと向けた。


『――いけないよ…珠同士が争うなんてのは、とっても悲しいことなんだ』


二匹の犬士は月光の中に見た――天女の姿を。

~『紅焔八犬伝』 肆の②~
身長 5.6[尺]
体重 13.8[貫]
出身 安房国
師匠 階松山城介
育ての親 犬飼見兵衛
性質 飴玉等を舐めてると落ち着く
イラストレーター 木志田コテツ
最終更新:2017年03月10日 01:36