『☆☆☆』/Mitchell&Carroll




その手袋は、寒いからじゃなくて、
指の絆創膏を隠すため?

「ん!」
レジーナが勢い良く差し出す小箱。
「これを……わたくしに?」
戸惑いながらも亜久里は受け取る。
「べつに、アンタの為に特別に作ったわけじゃないわよ!
 みんなの分も作って、アンタのはその余りだからね」

蓋を開けてみると、ハート型のいちごチョコレートと、
蝙蝠型のブラックチョコレートが。
とりあえずそのハート方のを一口いただいてみると……

「ちょっとちょっと!なんで泣くのよ!……おいしくなかった?」
首を横に振る亜久里。

チョコレートを湯煎して溶かすレジーナは何を想っただろうか。
料理には、作った人の気持ちが表れるという。

――たった一口で、解けるなんて。


円家へ向うのは、マナと六花である。
「レジーナ、上手く渡せたかしら?」
「ケンカになってなければいいけどねー……。あっ、いたいた!
 レジーナー!亜久里ちゃ……あ……れ?」

箱を抱きしめながら涙を拭う亜久里と、
背中を向けてしゃがみこんでいるレジーナ。

「あちゃー、やっぱりケンカしちゃったのかな」
「そうなの?亜久里ちゃん……」
亜久里はまた首を横に振って、
泣きじゃくる顔でどうにか笑顔を作ろうとしている。

「レジーナ……」
マナはレジーナの肩にそっと手を添える。
「レジーナ……泣いてるの……?」



fin.


続きは競作2-16
最終更新:2015年02月15日 08:01