『プロローグ』/Mitchell&Carroll




「こぉらっ、ちびうさ!アンタ、あたしの分のおやつまで食べたでしょっ!?」
「知ーらない。遊びに行ってくる~」
「まてーー!!」
ひと足先に勢い良く外へ出したちびうさだったが、そこに天才少女・水野亜美が現れた。
「ちびうさちゃん!ちびうさちゃんの為に、ホラッ!プレゼントを用意したのよ!
 〇大合格の為の超難問・問題集、100冊!」
「ゲッ!今はそれどころじゃない~!」
申し訳無い気持ちと、書物の山を抱える亜美を残して、ちびうさはピューッと走り去って行った。
「待って、ちびうさちゃん!……あら、うさぎちゃん、おはよう」

 2人から追われる身となったちびうさの前に、今度は怪力少女・木野まことが現れた。
「おっちびうさ、ちょーど良かった!ケーキ焼いたんだ。食べてってよ」
「ヒィ~、さっきうさぎの分までおやつ食べたから、お腹いっぱい~!」
「逃げるこた無いじゃないさ、待ちなよ!……おっ、うさぎたち!ケーキ、食べてく?」

 やがて見えてきたのは鳥居である。ちびうさは寺……ではなく、神社に駆け込むことにした。
「レイちゃ~ん、助けて~!……キャッ!?」
火川神社の巫女・火野レイが飼っている二羽の烏、フォボスとディモスが、ちびうさとじゃれ出したのだ。
「いやぁぁっ!なんでこんな目に~!?」
外の騒ぎを聞いて、レイは自室から飛び出して来た。
「こらっ、フォボス・ディモス!ちびうさちゃんが怖がってるじゃないの!
 ……あら、うさぎたち。揃いも揃って息なんか切らして、恋愛祈願か何か?」

 こうして、ちびうさは、うさぎ・亜美・まこと・レイ、そして二羽の烏に町中を追いかけられる破目に
なった。偶然通り掛かったゲームセンターの前で、
「ねーみんな何やってんのぉ?追いかけっこ?私もまぜてー」
愛野美奈子も加わった。さらに、
「うさぎちゃん!おやつ食べられたくらいで、オトナゲ無いわよ!」
黒猫・ルナと、
「美奈ッ!アイスを食べながら走るのは、みっともないぞ!」
白猫・アルテミスも合流した。

 ちびうさは叫ぶ。
「だれか助けてェ~~ッ!!どこか……どこか遠くに行きたぁーーい!!」



最終更新:2015年03月14日 22:52