140文字SS:HUGっと!プリキュア【1】
1.えみる&ルールー「手と手つないで」①/一六◆6/pMjwqUTk
延期になったライブが行われる日。二人で乗った電車は、この前より混んでいた。
「あわわわ」
「えみる!」
電車が揺れた弾みで転びそうになったえみるの手を、ルールーが素早く掴む。
「ありがとう……」
ホッとして見上げるルールーの美しい立ち姿に、えみるが思わずため息をつく。すると、その時。
2.えみる&ルールー「手と手つないで」②/一六◆6/pMjwqUTk
「大丈夫です」
隣から、柔らかな声がした。
「あと二年もすれば、えみるもコレに手が届くようになります。人は成長しますから」
右手で吊革を、左手でえみるの手をしっかりと掴んで、ルールーが微笑む。
「ルールー……」
何だかその笑顔が少し寂しそうに見えて、えみるはブン、と頭を振った。
3.えみる&ルールー「手と手つないで」③/一六◆6/pMjwqUTk
「二年なんて、かからないのです! でも……」
そう言って、えみるはルールーと繋いだ手にギュッと力を込める。
「ルールー。わたしが吊革に手が届くようになっても、こうやって手を繋いでくれますか?」
一瞬大きく目を見開いたルールーは、今度はとても嬉しそうな笑顔で頷いた。
「はい。勿論です」
4.はな&ルールー「眠れぬ夜」①/一六◆6/pMjwqUTk
ベッドに横たわり、両の目を閉じる。そのままの姿勢を数十秒間維持すれば、スリープモードに移行する。
毎日当たり前に実行して来た、最もベーシックなプログラム。しかし――。
「……眠れません」
暗闇の中でパチリと目を開け、ルールーは小さな声で呟いた。
5.はな&ルールー「眠れぬ夜」②/一六◆6/pMjwqUTk
目を閉じても、まるでまぶたの裏がスクリーンになったように、映像が次々に浮かんでくる。こんなことは初めてだ。
溢れ出した想いが、赤と紫に輝いたあの瞬間。光の中から現れた、二つの未来クリスタル。そして一つしかなかったプリハートが――。
「まさか、本当にあんな奇跡が起きるなんて……」
6.はな&ルールー「眠れぬ夜」③/一六◆6/pMjwqUTk
想定外、という言葉は浮かんでこなかった。いや、想定はしていなかったけれど、えみるの身体を抱き締めた時、奇跡を信じたいという心が、胸の奥から確かに溢れたから。
それが何だか嬉しくて、ルールーは柔らかな笑みを浮かべる。
と、その時、部屋のドアを遠慮がちにノックする音が聞こえた。
7.はな&ルールー「眠れぬ夜」④/一六◆6/pMjwqUTk
「はい」
「あ、ルールーも起きてる?」
はなが、そろりとドアを開けて入って来る。そして起き上がったルールーと目が合うと、嬉しそうにニコリと笑った。
「何だか眠れなくってさ」
「私もです」
「じゃあ、少しお喋りしよ?」
「はい。でも、いいのですか? まだ風邪が治っていないのでは……」
8.はな&ルールー「眠れぬ夜」⑤/一六◆6/pMjwqUTk
「もうほとんど大丈夫だよぉ。あ! でも治りかけの風邪って伝染りやすいんだったっけ。めちょっく……」
慌てるはなを一瞬ポカンと見つめたルールーが、クスリと笑ってベッドのスペースを空ける。
「はな。私に人のウイルスは感染しません」
「あ、そっか」
照れ笑いのはなが、隣に潜り込んで来た。
9.はな&ルールー「眠れぬ夜」⑥/一六◆6/pMjwqUTk
「今日は嬉しかったね、ルールー」
「はい、とても」
「本当に良かった、二人一緒にプリキュアになれて。嬉しすぎて、なかなか寝付けないよね」
「……そういう、ものなのですか?」
目の前の戸惑ったような藤色の瞳を、満面の笑みで見つめてから、はなはギュッとルールーの身体を抱き締める。
10.はな&ルールー「眠れぬ夜」⑦/一六◆6/pMjwqUTk
「大丈夫。眠れないのは、きっと今夜だけだから」
「それは、こんな嬉しい気持ちで居られるのは、今夜だけということですか?」
「ううん」
はなは顔を上げると、ルールーにニッと笑って見せた。
「嬉しい気持ちはね、心の中に溜まっていくの。そしていつでも思い出して、味わうことが出来るんだよ」
最終更新:2018年07月07日 19:06