Soliste Echo -プリキュア スーパースターズ Ver.1.1- 花畑
はなの提案で、そのままハグたんのお花畑デビューに参加することになった。色とりどりの花が咲き誇り、視界のすべてがまぶしかった。
「あゆみちゃん」
いちかがかけよってきた。
「ありがとう」
「え?」
「私たちが変身できない間、世界を守ってくれて」
「いえ、そんな」
ふたりの足元ではハリィがグレルを肘で突いていた、
「お前、なかなかやるやないかい」
「ふふん。あったりまえだ」
グレルが胸を張る。エンエンが苦笑した。
「あゆみちゃん」
振り向くとリコの顔はそこになかった。彼女と みらいは深々と頭を下げていた。
「どうしたの?」
「お礼と…あと、ごめんなさい」
「え、なにが?」
「あゆみちゃんは、先輩たちを探してたのに、私、何の役にも立てなくて」
「そんな!」
「お前が気にすることないだろう」
足元からグレルが言う。リコは、横柄な口調と裏腹に小さな体を目をパチクリさせて見ていた。
「僕たちはみんなを探してたんだから、リコちゃんたちが無事なら、何も悪いことなんかないんだよ」
エンエンが微笑んだ。
「そうだよ。
それより、私、ちょっと言い方がきつかったかも。ごめんなさい」
「そんな!」
さっきのあゆみと同じことを叫ぶリコとみらい。
「それに、ウソバーッカの中はとても苦しかったんでしょ? 私はずっとこっちだったから楽だったかも―――」
勢いをなして反論しようとしたふたりに、のぞみの声がかぶさった。
「ほんっとうに、あの中、つらかったよね。体が重くなってさー!」
「ダイエットさぼってるからじゃないの?」
夏木りんが憎まれ口をたたく。
「ウソバーッカのせいだもん!」
「体はつらかったけど、気持ちはそうでもなかったな」
「そうなんですか?」
ゆりの言葉に、みなが振り向いた。何人か、既に先回りをして頷いている。
「希望があったから」
「希望」
「そう。
あゆみが必ず助けに来てくれる、って」
「私――」
「ウソバーッカは、プリキュアを『一組ずつ』始末すると言って、それを実行に移した。
だとすれば、どのグループに属しているわけでもないキュアエコーはその網から漏れる」
あゆみは言葉がないようだった。
「あゆみさんが仲間外れだって言ってるんじゃないのよ」
秋元こまちが助け舟を出すように言う。
そして、愛乃めぐみの明るい声が続いた。
「あゆみちゃんは、みんなのプリキュアだからね!」
みなが頷いた。
「え…」
「あたしとひめが喧嘩したら仲裁してくれるし、いおなと ひめがもめてたら取り持ってくれるし」
「あんたんとこ、けんかばっかりかいな」
「しかも、あたしばっかり!」
大森ゆうこが、まぁまぁ、と 白雪ひめをなだめる。
「みんなの、なんて、そんな」
あゆみの頬が染まった。グレルがニヤニヤと笑っている。エンエンもうれしそうだ。襟のエコーデコルが瞬いているのは、フーちゃんが喜んでいるからだろう。
「坂上さん、わたしたちのこともよろしくお願いしますね」
さあやと ほまれが手を伸ばす。あゆみは、おずおずと二人と握手をした。
「私とも、お友達になって!」
はなとも握手を交わすと、もっと小さな手が伸びてきた。
「はぐたんも、あゆみちゃんとお友達になりたいって」
あゆみは、今度は、おそるおそるという様子ではぐたんの手を握った。その小さな手は、想像よりも強い力で握り返してきた。
「はぎゅ、はぎゅー」
「ふふふ」
ふーちゃんも同じように笑う。はぐたんの目があゆみの襟元で揺れるキュアデコルを追っていた。
「よっしゃ、はぐたんのお花畑デビュー、続けよか!」
ハリーが突然、人間の姿になって言う。あゆみが怯えて三歩下がった。
「あの、どちらさまですか?!」
「え、言うてなかったか。俺や、俺――」
「お前、ネズミじゃなかったのか!」
グレルが叫ぶ。
「お、れ、は、ハリハム・ハリー様やぁっ!」
なんぼ言うたらわかんねーん、という悲鳴が花畑に響き渡ったが、それは少女たちの笑い声にかき消されていった。
最終更新:2018年10月06日 10:23