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140文字SS:HUGっと!プリキュア【3】


1.ハグプリ49.5話『ただいま』①/猫塚◆GKWyxD2gYE


さて、未来に帰ったルールーとトラウムさんと、そして…

「ルールー? そのバナナの皮は?」
「はい、わたしの計算では、これを地面に置くことで、100%、この時代の愛崎えみるに出会えます」
「……??」


2.ハグプリ49.5話『ただいま』②/猫塚◆GKWyxD2gYE


「極端に心配性のえみるならきっと、私がバナナの皮で滑って転んで故障して全パーツバラバラの大惨事になる…などと叫びながら、私のほうへ突っ込んでくるはずです」
「あはは、そんなバナナ……」
「……。別居しましょうか?」
「ごめんっ! 怒らないでっ、ルールーちゃぁぁん!」


3.ハグプリ49.5話『ただいま』③/猫塚◆GKWyxD2gYE


しかし、この日、えみるは現れなかった。
翌日……。

「地面に置くバナナの皮を10枚に増やしてみようかと思います」
「いや、ルールー…」
「では30枚!」
「そうじゃなくてだな…」
「私はえみるに会いたいのです!」
「なら、その気持ちを歌えばいい。この時代の彼女に届くように」


4.ハグプリ49.5話『ただいま』④/猫塚◆GKWyxD2gYE


ルールーは歌った。この時代の人々に、愛と笑顔を届けるために。
そして、愛崎えみるに出会うために。

しかし、えみるは現れなかった。
もしかして、この時代に愛崎えみるは存在していないのだろうか?

「そんな事はありません。えみるはいます。絶対に、わたしの歌に応えてくれます……」


5.ハグプリ49.5話『ただいま』⑤/猫塚◆GKWyxD2gYE


トラウムと共に、ルールーは幾つもの街を渡り歩いて歌い続けた。

やがて、途絶えていた『歌う』という行為が、この時代にも少しずつ復活し始めた。

ルールーの真似をしているのだろうか。
荒廃した街の隅に、時折、誰かの歌声が響くようにもなった。

けど、まだ、えみるには出会えない。


6.ハグプリ49.5話『ただいま』⑥/猫塚◆GKWyxD2gYE


「ふむ、この街には居ない…か」
「では、次の街へ」
「それは明日だ。最近無理が続いているだろう? 今日は軽くメンテナンスを…」
「必要ありません。それよりも次の街へ」
「いい加減にしなさいッ! ルールー!」
「いい加減ではありません! 私の、えみるに会いたいという気持ちは!」


7.ハグプリ49.5話『ただいま』⑦/猫塚◆GKWyxD2gYE


喧嘩して、トラウムのもとを飛び出してきてしまった。
でも、行く当てはない。
次の街へ向かう元気も、歌う気力も、何故か湧いてこない。

トラウムへの態度を後悔しながら、ただ、うつむいて街を歩く。
…………。
…………。
彼女の聴覚センサーに、優しいメロディが引っかかった。


8.ハグプリ49.5話『ただいま』⑧/猫塚◆GKWyxD2gYE


(ここから30メートル! 右の角を曲がった先!)

人間の耳では拾えないレベルの小さな音量から、位置を特定。
反射的にダッシュ。

人のまばらな通りの端を歩きながら、蚊の鳴くような小声で、だが楽しげに口ずさむ女性を発見。

髪型も、体格も、身長も、全然一致しない。
けれど……。


9.ハグプリ49.5話『ただいま』⑨/猫塚◆GKWyxD2gYE


その女性はルールーと目が合うと、一瞬、硬直。
だが、すぐに後ろを向いて、来た道を逆に走り出した。

「待ってください!」
「ごごご……ごめんなさいなのです!」
優しく背後から捕まえたルールーの腕の中で、女性がバタバタと必死にもがいて逃げ出そうとする。


10.ハグプリ49.5話『ただいま』⑩/猫塚◆GKWyxD2gYE


「なぜ逃げるのですか」
「下手くそな私が真似をしたから、あなたはきっと怒っているのです! 捕まったら最後、身ぐるみ剥がされて街から放り出されてしまうのです!」
「しません。というか、もう捕まってますよ?」
「ひーっ! そうなのですっ!」
「とにかく、落ち着いて私の話を ―― 」
(続く)
最終更新:2019年02月10日 22:06