開幕!『オールスタープリキュア!イマジネーションの輝き!冬のSS祭り2020』/一六◆6/pMjwqUTkg




 観星町の町外れにある森の中。人目につかない場所ながら、何だかヤケに人目を引きそうな、ピンク色の可愛らしいロケットが着陸している。その周りで忙しく立ち働いているのは、五人の少女と二体の不思議生物だ。もっとも、二体のうち白くてフワフワした生物の方は、嬉しそうに皆の周りを飛び回るだけで、あまり働いている感はなかったが。

「う~ん! またお話し会でみんなに会えるなんて……。それに何より、ララとユニと、フワとプルンスにまた会えるなんて、キラやば~っ!!」
 折り畳み式の椅子を並べたり、ビニールシートを辺りに敷き詰めたりしながら、ひかるがいつものようにハイテンションな声を上げる。
 プリキュアみんなが集合する、年に一度のお話し会。今年はひかるたちが幹事だ。だが準備を始めた頃にはもう、ララとユニは自分たちの星に帰り、プルンスとフワはスターパレスに留まっていた。

 そこで、ひかる、えれな、まどかで手分けして、50人を超えるプリキュアたちみんなへの招待状を書いたのだが、ひかるはその時、ララ宛とユニ宛、プルンス&フワ宛と、さらにもう一通の招待状も書き上げて、元はトゥインクルブックだった、あの遼太郎にもらったノートに挟んでおいたのだ。
 そのことで、どういう力が働いたのかはよく分からない。だがプルンスの話によると、スターパレスの空に突然、封筒の形の星座が煌めいたのだという。それを見て、「お手紙フワ!」と叫んだと同時にフワのワープ能力が発動し、レインボー星に居たユニと、ロケットで調査に向かっていたララを巻き込んで、再びこの地球にやって来たらしい。

「よし。会場の準備は、こんなもんかな」
「ええ。これならお客様が100人来られても大丈夫です」
 頷き合うえれなとまどかに向かって、プルンスとララも胸を張る。
「プルンス特製・スタードーナツの準備もバッチリでプルンス」
「コスモグミと、おにぎりの準備も出来たルン」
「ところでユニ。今日はまさか、マタークッキーは持ってないでプルンスか?」
「持ってたとしても出さないわ。もうあんな大変な思いは御免ニャン」
 ロケットにもたれ、相変わらず澄ました顔のユニの言葉に、フワを除く全員が笑いさざめく。と、その時。森の木々を揺らして、爽やかな風が吹いた。

「ふわぁ! 気持ちいいねぇ」
 可愛らしい薄茶色の子犬を抱いた少女が、森の中を歩いている。それを見てパッと顔を輝かせたのは、ひかるとフワだった。
「キラやば~っ! あの時の子も来てくれた! もしかして、あの子もフワが呼んだの?」
「違うフワ! あの子が「フワー!」って、フワのこと呼んだフワ~!」
「いや……それはきっと違うニャン」
 ユニのツッコミもどこ吹く風で、満面の笑みで少女に駆け寄るひかるとフワ。少女の方も、ひかるを見て一瞬で笑顔になる。

 彼女とひかるは、つい先日この森で出会った。誤って地球に送られたノットレイダーのマスクを巡ってひかるたちが再び戦う羽目になった時、颯爽と現れて助けてくれたキュアグレースこそ、彼女が変身した姿だ。
 それでひかるは、ララたちに招待状を書いた時、ひょっとしたら……という想いを込めて、彼女に宛てた招待状も一緒にノートに挟んでおいたのだった。

「あなたは、この前会った……」
「うん! あの時は、助けてくれてありがとう! あたし、星奈ひかる。あなたは?」
「花寺のどか。あの……この辺りでプリキュアのお話し会があるっていう、手紙をもらったんだけど」
「やったぁ! やっぱりあたしの招待状、届いてたんだ。キラやば~っ!!」
 さらにハイテンションになったひかるが、のどかを仲間たちの元へと連れていく。

「のどかには、まだプリキュアの仲間は居ないルン?」
 少し心配そうに問いかけるララに、のどかは微笑みながら、ええ、と頷いた。
「でも、パートナーを探している子があと二人居るんで、きっと近いうちに見つかると思うんです」
「そっか。大丈夫、きっと見つかるよ」
 えれなが明るく言い放つ。

「ところで、お話し会って、一体何をするんですか?」
 小首をかしげるのどかに、ひかるが張り切って身を乗り出した。
「えっとねぇ、みんなでお菓子を食べながら、あんなことがあった~、こんなことがあった~って、いろ~んな近況報告をし合う会なんだ。今年のテーマはね、『星』と、『イマジネーション』!」
「え……テーマを決めて近況報告するって、一体どうやって……」
「心配は要りません。皆さんのお話を聞いていれば、やり方はすぐ分かりますから」
 のどかの少し不安そうな声に、まどかが穏やかな声で答えた、その時。

「おーい! ひかるちゃん、ララちゃん!」
「えれなさん、まどかさん、久しぶり~!」
 森の反対側の方から、少女たちがぞろぞろと集まって来た。その予想以上の人数に、のどかが頬を紅潮させて、驚いたような、嬉しそうな声を上げる。
「ふわぁ! この人たち、みんなプリキュアなんですか!?」

「あれぇ? 何だか猫によく似た子が居るっしゅ……。それにほら! 初めて見る子も!」
「ちょっと、えりか! 人に向かって指をささないで下さい~」
 ワイワイとはしゃぎながら近付いて来る先輩たちを眺めながら、ユニがニヤリと笑ってのどかの手を取った。
「さあ、わたしたちも行くニャン」
「は、はい!」

 年に一度、50人……いや、ついに総勢60人を超えるプリキュアたちが集まって語り合う、秘密のお話し会があるという。
 今年の舞台は観星町。でも語られるお話の舞台は、一体どこになるのやら……?
 キラやば~っ!なお話の数々、是非その目で確かめてみて下さいね。
オールスタープリキュア!イマジネーションの輝き!冬のSS祭り2020」、いよいよスタートです!
最終更新:2020年02月15日 01:53